1乙女ゲーの悪役令嬢に転生……した?
甘味大好き作者です
「はっ!ここはどこだ」
目が覚めると私はふかふかなベッドの上にいた。起き上がり、周りを見てみると私が使っているベッドが置いてある部屋は広く、私が借りているアパートの部屋の2倍はありそうだ。
―――す……すごい……でも私、ホテルなんて泊まってたっけ?
そんなことを考えていると、
「お嬢様!よかったです!お目覚めになられたのですね……もうお目覚めにならないかもしれない、とお医者さまもおっしゃっていたので……うっ」
とメイド服の女性が号泣しながら言ってきた。
「だっ大丈夫ですか!?あと、あの……私の名前ってなんて言うのでしたっけ?」
「?ぐすんっリューナ・クワソン伯爵令嬢様ですけれど、どうされたのですか?もしや、記憶喪失でもなってしまったのですか!?ううっ」
リューナ・クワソン?それって、あの「身分の壁をぶち壊せ!!ドキドキ♡学園」の病弱な悪役令嬢じゃないの!?私の名前は桑岡里奈だけど……え、何かの間違えじゃ……少し頭が痛くなってきた。
情報を整理しようと近くにある姿見で自分を見てみると、なんと驚いたことに、5~6歳の幼女の姿が映っていた。それも、陶器のようにきめ細かい色白の肌、朱色の絹糸のような腰まで伸びた美しい髪、ルビーのようにきれいな瞳、まるでゲームの中のリューナの幼少期版みたいな……だが、知っている姿よりももっと顔色が悪く、やせ細っていた。
あ!わかった!わたしはリューナに転生したんだ!すごいなあ
あははははは。お菓子食べたいなあ。
と現実逃避をしていた。
そういえば、今何歳なのだろう……もし、今頑張ったら、悪役令嬢にならないのでは!?
「私はいまいくつでしたっけ」
「えっと……昨日、5歳になられました。うっうわあああああん」
落ち着いてきていた(多分)私のメイドさんはそれを聞いてまた泣き出してしまった。
「お、落ち着いてください。私は今こうして生きているのですから、ね?」
といい、メイドさんをなだめた。そうして、私は、情報を紙にまとめようと、紙とペン、それとお菓子をもってくるように頼んだ。
そこで私は、絶望を知った。
「え……おかし?なんですかそれ?」
というメイドさんの一言によって。
「お菓子……まさかないなんてことはありませんよね!?」
鬼気迫る気配で迫る私。しかし、
「申し訳御座いません。私そのようなものは知らなくて」
はえ?お菓子がない?まさか甘味のもの全部がない……とかなんて訳ないよね。聞いてみると……
「かんみ?というものは存じあげませんね。辛味や苦味などは知っているのですが……」
あ―――終わったぁ。生きる希望がないという虚無感、私はこれからどうすれば―
あ!そうだ!ないなら作ればいいんだ!どうやって作ろうかな、あははははは―――
そんなことを考えていると、元々感じていた頭痛が強くなり、私の意識はとんだ。
「お、お嬢様ぁ―――
そんな悲鳴に似た叫び声がどこか遠くで聞こえた―――気がする。
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