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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

地獄の罪人達にある事をしたら皆自分から進んで罰を受けるようになった

作者: 黒澤 白

 ここは地獄。

 生前罪を犯した者達は死後ここで罰を受け苦しみ続ける事になるが罪人達が罰を受ける事に毎回暴れて逃れようとするため一向に罪人達の刑期が終わらずしかも毎日のように罪人達が来るので地獄の者達も困っていたが今回ある方法を試す事にするのだった。


「それで、私を呼んだ理由は?」


 頭に輪っかが浮かんで背中には白い羽が生えている地獄には似合わない天使の女性が地獄の長である閻魔に問う。


「ああ、天使である君にここまで来てくれてすまないと思っているんだが、どうしても君にしかできない事なんだ」


「私にしかできない?」


「ああ、早速だがこいつら罪人の心を浄化させてくれないか?」


「え? 何を言ってるの?」


 天使は閻魔の言っている事が理解できなかった。

 心を浄化すると言う事は綺麗な状態にすると言う事。

 本来なら天国へ行く者達が生前に絶望したり精神を病んだりして亡くなった者が死後天使によってその心を浄化させてスッキリした状態で天国へと行かせる。

 天国行きの者達に行う事を地獄の罪人にするのだ。

 天使にはそれが理解できなかった。


「ここにいるのは罪人よ、罪人の心を浄化させてどうするのよ」


「言いたい事はわかる、どうしても試したい事があるんだ、手始めにあの罪人の心を浄化させてほしい、あいつは何人もの人間を私利私欲のために殺したとんでもない殺人鬼だ」


「そんな罪人の心を浄化させるなんて何を考えてるのよ」


「頼む、これが成功すれば地獄の罪人達の遅れている刑期を終わらせる事ができるかもしれないんだ」


「わかったわよ、けどどうなっても知らないわよ」


 そう言って天使はその罪人に手をかざす。


「うおー!! 離せー!! ふざけるなー!!」


 地獄の者達が数人で取り押さえているが罪人は罰を受けたくないので暴れている。

 すると罪人の身体を光が包み込む。

 光が晴れると罪人は大人しくなる。


「あ、ああー!!」


 すると罪人は突然大声を上げて地面に頭を打ち付ける。


「俺は、俺は何て事をしてしまったんだ!! 自分の欲望を満たすために罪のない関係ない人達を、うあー!!」


「え? え?」


 罪人の突然の変化に天使は困惑する。


「俺みたいなクズはこの世に生まれるべきじゃなかったんだ!! 今更被害者やその遺族の方々に謝っても手遅れだ!! ならせめて」


 罪人は立ち上がり熱い溶岩地獄へと向かう。


「この地獄での罰を永遠に受けよう!!」


 そう言って罪人は自ら溶岩地獄へと飛び込む。


「ぐあー!! もっと、もっと俺に罰をー!!」


 罪人はそう叫びながら溶岩に浸かる。


「え? 何がどうなってるの?」


「やっぱり思った通りだ」


「どう言う事?」


 閻魔は結果に満足しているが天使は何が起きてるのかわかっていない。


「天使の浄化は心を綺麗にするが生前自分が行なってきた記憶はそのままだろ?」


「ええ、あくまで浄化は心をスッキリさせ綺麗にさせるだけよ」


「そう、綺麗にさせるだけ、あいつらは罪人だが一から十まで悪だったわけじゃない、少しくらいは優しい善の部分があるはずだ、浄化させた事によって悪の部分が消えて残るのは善の部分、さて善の部分が残った罪人が自分の犯した罪の記憶を思い返したらどうなる?」


「そうか、善の心が強ければ強いほど自分の犯した罪への罪悪感も強くなる」


「そう、そしてその罪悪感に耐え切れなくなり、罪を償う事もできない絶望、なら残ったのは自分で苦しむ道を選ぶ、だから地獄の罰も進んで受けてくれると思ったんだが、まさかここまで上手くいくとは思わなかったな」


 自分の予想を超えた結果に閻魔は嬉しい誤算を得たのだった。


「一人だとまだ成功とは言えないから、他にも何人かやってくれないか?」


「ええ、わかったわ」


 その後も天使は何人かの罪人の心を浄化させた。


「うあー!! 俺は何て事を!!」


「バカか俺は!! 何であんなくだらない事で殺してしまったんだ!!」


「いやー!! ごめんなさい!! ごめんなさーい!!」


 最初の罪人達と同じ反応をして全員自ら進んで地獄の罰を受けに行った。


「凄いな、この調子で全員の浄化を頼みたいんだが」


「それなら待ってて他の天使達も呼んで来るから」


 それから天使は他の天使達も呼んで来て地獄にいる全ての罪人の浄化を行うと全員が同じように自分の罪に対する罪悪感が出て全員が進んで地獄の罰を受け始めるのだった。

 罪人達が進んで罰を受けるようになってから地獄の者達も仕事がスムーズに行く事になるが別の問題が発生する。


「地獄の罰を増やしてくれ?」


「はい、罪人達が全ての地獄を受けてしまい同じ事を繰り返すだけで苦しむ事ができない、もっとたくさんの地獄を用意してくれ、これだけじゃ罰が生ぬるいなどのクレームが来ております」


「マジでぇ」


 浄化して罪悪感が芽生えて自ら罰を受けたのは良い事だがまさか地獄の罰を増やしてほしいと希望を言って来るとは思ってなかったので閻魔は再び考えるのだった。

 それから考えてたくさんの地獄を用意したり、さらには閻魔自ら天国に行って被害者やその遺族に会って罪人達へどんな罰を与えたいかと聞いたりするのだった。

 また、被害者や遺族の中には罪人への怒りよりも現在の罪人達の状況に別の意味の恐怖でドン引きしている者もいるのだった。

 

 こうして今日も地獄の罪人達は自ら罰を受け続けているのだった。

 


 

 



読んでいただきありがとうございます。


普通な人生送ってるなら地獄って行きたくないですね。

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― 新着の感想 ―
[一言] 鬼かw と思ったら地獄でしたw
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