怠惰
ったくどうして俺ばっかり
タバコを咥えながら家に帰る途中、またこれまでの人生の嫌なことばかりを思い出す
俺の名前は湯治兵太 名前があっても中身はない
つい先ほど短期の仕事で入った金を競輪とパチンコですったばかりだ
嫌なことがあればこうして一瞬の享楽にふけりさらに嫌な思いをする
分かってはいる 理解もしている
どうせこんなギャンブルで数万数十万手にしたところですぐに何か意味のない事に消えていく
ならそんなギャンブルに手を出さなければいいじゃないかと自問したところで意味はない
俺は世の中は死ぬまでの時間つぶしだと思っている
いや、そんな考えに捉われている 何か物事に熱中したり興奮したりしてもそれは一過性のものですぐ心の中には空虚な怠惰が幅を利かせてしまう
心が病んでいる
医者にはそういわれた
精神科に通い始めたのが大学の6年目
そこからもう数えて10年は薬漬けだ
ここから自分の人生をどうにかする術も無し
どうしようという心意気もない
心の中に沈んでいく澱の中で、また自分が
いや自分を構成してる自我が軽くなっていくのをタバコで誤魔化し今日も堕落した一日をどうにか潰そうとする