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お題シリーズ5

誰もいない部屋の風船

作者: リィズ・ブランディシュカ



 その部屋には誰もいない。


 けれど風船はある。


 あるのは、色鮮やかな真っ赤な風船だ。


 ぷかぷかと宙に浮いている。


 部屋の中はがらんどうで、家具などは何もない。


 ベッドやタンスなどもないし、カーテンやカーペットなどもない。


「引っ越しする前に、最後に風船だけ残していきましょう」


 それは、一人の女性がやってきて、おいていったものだった。


「ユウタが帰ってきたとき、自分の部屋に何もなかったら悲しいものね」


 ユウタは、その女の子供だった。


 つい先日、事故で亡くしている。


 霊となったユウタが帰ってくることもあるかもしれない。


 女はそう思った。


 しかし。


 事情で引っ越さなければならないから、部屋はそのままにはできない。


 だから、ユウタの好きな風船だけを残していくことにした。


「風船に新しい家の住所を書いておいたから、こっちにも遊びに来るのよ」


 女はそう言って部屋を去った。


 こうして、誰もいない部屋には風船だけが残された。




 その風船は、誰も動かしていないのに、時々ゆっくり動いていることがある。


 それを知るものは誰もいない。




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― 新着の感想 ―
[一言] 空気が揺れて動いただけかもしれないし もしかしたら揺らして遊んでいるのかもしれない 想いを遺していて欲しくないけれど 会えるのならば会いたい そう願う気持ちも理解できて。 部屋の様子が、…
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