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6話 見えない罠

(なんだよ…今の…)


突然感覚がないはずなのに頭が痛くなったように感じ、悶えていたら突然治った。


(何が起きたんだ?)


突然の頭痛に襲われたのには何か理由があるはずだと考え、とりあえず何が起きたかを確認する。


(頭が痛くなって…治った…だめだ分からん)


まあそう簡単にわかるはずもなく、時は過ぎていく。


(というか寒いな…なんでだ?)


今の彼は骸骨人(スケルトン)のはずであり、寒さや暑さなどはわかるはずがないのだ。


(さっきの頭痛が原因か?)


自分の身に何が起きたのか分からないが、確認のために自分の姿を魔力探知で確認する。


(…なんだよこれ!?)


そうして守はおそらく人生で一番驚くことになる。


(なんで…俺がさっきの子なんだ…)


そう。今の彼はさっきの少女そのものであり、さっきまでの骸骨姿ではなくなっていたのだ。


今彼が“世界”に与えられたスキルは『変身(ディスガイス)』という、簡単に言うと、自分の思った姿形に自分自信を”変身“させることができる。この時は、『人間になったら』と言う想いから、目の前の少女に変身したと思われる。


(俺が…人間だったらと願ったからか?)


そうして本能的に自分のスキルを理解する。


(俺は人間に戻ったのか…だがもう人として生きられないだろうな…)


実際、その体にはナイフでザクッとされた跡があり、血は出ないものの体は多分冷たい。


(ってか俺裸じゃねーか!着る物どうしよう…)


そうして閃いた。


(ちょっとアレだけどさっきの子から拝借しよう)


死んだ人間の着ぐるみを剥ぐのは少し…いやかなりの抵抗があったが背に腹はかえられないと思い、少女の場所に移動する。そしてさっきの少女の場所に着いたが…


(服ボロッボロじゃねぇか…どうしよう…)


ただまあ無いよりマシと思い、思い切ってその女の子から服を拝借した。


(すぐに埋葬しよ)


そしてその死体が荒らされる前に、埋葬することにした。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


視点:紗羅


(もう監視されるのはうんざりね…ここまで来たらもう確信してもいいわよね?)


ここ数日間ずっと自分をつけてくる気配を紗羅鬱陶しく感じていた。


「ねぇ拓人。守はまだ見つかってないの?」


(もうこうなったらこの話題を全力で広めてやるしか方法はないわ)


「まだらしいなぁ。団長はすぐ見つかると言ってくれたけどなぁ」


守についてはそろそろクラスメイト全員が不審に感じて来ているのだ。まあ何日も行方をくらませている事件は地球にもあったが、この世界には“探知魔法”があることをほとんどが知っている。つまり一向に見つからないのは不自然なのだ。


「何かおかしいと思わないの?この世界には魔法があるのよ?」

「だからって俺たちには待つことしかできないじゃねぇか。魔法があろうがなかろうが俺たちには探す手段がない」


こいつどこまで鈍感なのよ…


「あの村の周りに探知魔法を使えば本来ならすぐ見つかるはずなのよ…でもいまだに見つかってない」

「そう言われると…」

「だからさ、今度一緒に探しに行こ?」


これが言いたかった。

探しに行くとしてもおそらくすぐに捕まるだろう。だがそこに行動したという事実が残るのだ。なので王国にもこの話は知ってもらえる。そうしたら近衞騎士だけでなく、国の兵士にも探してもらえるだろう。


「…わかったよ。俺もちょっと不思議に思って来たからな」

「そうと決まれば明日にでも許可もらっていこ!」

そうして徐々に周りの人間も飲み込んでいく…


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


視点:白神


(僕の力なら人の嘘を見ぬける)


彼もまた真実に近づいている人間の1人。そして珍しく今日は光正以外のことを考えていた。


(クラスメイトは全員白。ただ部隊長と王女がグレーかな…)


そして彼の能力では、裏の悪事など丸見えなのだ。


(光正さん以外にあまり興味はないけど、もし守が傷ついていたら光正さんが悲しむだろう…明日にでも探しにいくか)


彼は肉体でオラオラするよりも、最近知った魔法でオラオラする方が性に合っていると気づき、密かに魔法を極めていた。そしてその一つに『不可視化(インビジブル)』というものがある。それによってこの城を出ようという計画だ。


(光正さんには伝えておくか)


そして光正の部屋に向かっていくのだった


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


視点:光正


(おかしい)


最近全く守君の姿が見えない。


(森の中で迷子になったと聞いたが、全く帰ってこないじゃないか。なぜだ?)


彼は根っから人のことを恨むことはできない。そういう人間なのだ。


(まさかどこかで寄り道しながら帰って来ているのか?)


…だから平気でこういう判断をする。人は信じたいものを信じる生き物だから。


(そうだろうな。あいつの人間性は知らないが、多分どっかに寄り道しているのだろう)


そんなこんなしていると、部屋の呼び鈴が鳴った。


「白神でーす」

「ああ白神か。どうぞ入って来てー」


そして部屋に白神が入ってくる。


「なんで突然来たんだ?」

「…話したいことがありまして…」

(話したいこと?俺こいつになんかしたかな?)

「守についてなんですが…」

「ああ、あいつは多分どっかに寄り道して帰って来ているんじゃないかな?」

「え?ああはいソウデスヨネ」

「あっとすまん。これから用事があるからちょっと部屋で待っててくれないか?」

「あっはいわかりました。ちなみに誰からですか?」

「王女から。これからについてだそうだ」

そして部屋から光正が出ていった。


…十数分後


「火事だーーーーーー!!!!!!!」

という叫び声が城に響き渡った。




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