「結婚式、めんどくね?」「それな。」
「結婚式、めんどくね。」
式場やらなんやらを調べていた俺は同棲している彼女にそうこぼした。
「それな。金かかるし、ドレスとかめっちゃ動きにくそう」
「いや、ドレスは動きやすいかどうかとかいうモンじゃねえから。にしてもそうか。お前もめんどいなら、俺ら籍だけ入れて式はしなくてもいいか。」
「ん、そうしよう。」
「大体式って、昔から嫌いなんだよなぁ。」
学生時代なんて事あるごとに団結式だのなんだのという何のためにやるのか分からん事で校長の長い話を聞かされたものだ。
「ん、私も嫌い。」
「だよなぁ。俺、死んでも葬式とかしてもらわんでいいわ。」
「私もしなくていいなぁ。お金かかるし。」
「お前、全部金だな。死んでんだからそんな金のこと気にしなくていいだろ。あー、あと俺墓も立ててもらわんでいいわ。」
「いや、それは私は作って欲しい。」
「おろ?これまた墓だけどうして?」
「それは、その」
何だか言いにくそうにモジモジしている。はっきり言うタイプのこいつにしてはめずらしい。
「………から。」
「え、なんだって?」
俺は難聴系主人公ではないが流石に声が小さすぎて聞き取ることができなかった。
「だから!死んで骨になってもアンタと一緒にいたいって言ってんの!」
顔を真っ赤にしながらそう言うのだった。
うん。墓は絶対に作ろう。
あまりの彼女の可愛さに俺はそう思うのだった。