下田が選んだ仕事はなんと○○○○だった
久しぶりの投稿です。お待たせしました。
なんとなく書く気が起こらなくて遅くなりました。すみません。
今回の話は下田が職を得る話です。この世界では就職は簡単らしいので、下田でもできます。
一体どんな仕事に就くのでしょうか?
下田が壊した部屋の外に広がっていた森は、なかなか大きいように見えた。大小様々な木が密生している。
ただ行く道だけははっきりしていて、この道に沿って進めば、言われた施設にたどり着けるらしい。舗装されていない細い道だ。下田はじゅげむに尋ねた。
「仕事を選べる施設って何なの?」
「その名の通りですけど何か。この世界は(頭の悪い)光の神によって創造されたわけです。あなたがかつて生きていた世界のように複雑な経済体系は存在しません。従って就職も単純。今から行くところで仕事を紹介してくれるので、適当に選びましょう」
「就職とか苦労しなさそうだね。どんな仕事があるの?」
「それも行ってみないとわかりません。その時々で空いている仕事を紹介してもらえるので」
「へー、楽なのがいいなー」
「都合がいいですね、あなたは」
――――
しばらく歩くと鬱蒼とした森を抜けた。前方には広い野原が広がっていた。手紙に書かれてある通り建物も一つぽつんと立っていた。
「え? これ?」
下田はきょとんとした。手紙に添えられていた地図によると間違えなく例の建物なのだが、どう見てもそんな施設とは思えない。
木造平屋建てで屋根は茅葺き。土壁は一部剥がれており中の骨組みが見えている。入り口と思われる戸の上には薄く消えかけた字で書かれた看板がある。確かに「職業斡旋所」とあった。下田は半ば信じられない様子でじゅげむに尋ねた。
「本当にここであっているよね?」
じゅげむのほうを見ると、彼女も口をぽかんと開けている。どうやら彼女もよく知らないらしい。
「私も実物ははじめて見ました。いや、そういうと語弊がありますね。この世界には他にもいくつか同じような施設は存在しているのですが、この建物自体ははじめて見ました。今まで見てきた他のとはあまりに違いが大きすぎて、大変困惑しております」
じゅげむにもそんなことあるんだ。彼女もびっくりするのだからよっぽどなのだろう。
「他の場所では、ビルの中に入っていたり、そうでなくてももうちょっと近代的な建物なのですが……。でも職業斡旋所とは書いてあるので間違いではないと思います。一旦入ってみましょう」
じゅげむに促されて下田は戸を開けた。障子がことごとく破れているこの戸は、動かしている間ずっとギシギシ音を立てた。
中は思った以上に狭く、前方に小さなカウンターがあるだけだった。電球がいくつかぶら下がっており、中を照らしている。周囲の壁の隙間からは太陽の光が差し込んでいる。頭上注意と書かれたバケツが中央に置いてあり、その上を見上げると天井からも小さく光が差している。雨漏りする場所のようだ。
外見だけでなく中も相当ボロボロだ。下田とじゅげむは、これもまた驚かされた。しかし、驚いているばかりではいけない。本来の目的を思い出したようにカウンターへ向かった。
カウンターの上には、小さなベルが「御用の方は鳴らして下さい」という手書きの紙とともに置かれていた。下田はベルを手に取り、鳴らした。
ビービードドドド、グォーーゥ$¥〆〜-*&・^( ''
とてもこのベルから発せられた音とは思えない奇妙な音が響いた。下田もじゅげむも耳を塞いだ。
「うわー、何この嫌な音! 耳をつんざくよ!」
「私も生まれて初めて聞いた音です! 耐えられません!」
音はすぐに消えたが、2人の脳には、嫌な響きがまだ鳴り続いていた。2人とも間違ったところに来たのだと感じた。
「なんかやばいよ! 早くここから立ち去ったほうがいいよ」
「私もそんな気がします。出ましょうか」
そのときだった。カウンターの奥から低い声が聞こえてきた。
「お呼びでしょうか。就活の方ですね。今そちらに参りますので、しばらくお待ちください」
下田とじゅげむははっとして、視点をカウンターの奥に集中させた。立ち止まって奥を凝視したが、いつでも逃げられるように構えていた。2人は、何かやばいものが中から出てくるように感じたのだ。その直感は当たっていた。
中から出てきたのは…………モ、モンスター!? 大きな体で体長は6メートル超、全身が毛に覆われている。巨大な熊のような見た目だ。下田は後ずさりした。じゅげむは既に戸に手をかけて逃げる準備をしている。
「お客様、逃げないでください! 私がここの職員です!」
体長6メートル超のモンスターは人語を話した。え、ここの職員!?
「きゃー! 喋ったー! 無理ーー!」
普段はツンとしているじゅげむが、この時ばかりは全力で外に逃げて行った。意外に臆病なのかもしれない。下田は1人残されてしまい、このモンスターと対峙することになった。
「どうもはじめまして。メガテリウムの職員、ポチです」
モンスターは、大きな威圧的な見た目に反して、穏やかで優しい口調で話しかけてきた。
「メ、メガテリウム? それは何ですか……?」
「一万年前まで南米大陸に生息していた超巨大なナマケモノです。私は、光の神様のおかげでこの世界に転生できました。しかも人語まで話せるようになりまして、今はこのように平和にお仕事をさせていただいています」
「…………」
メガテリウムのポチはこう言って、カウンターの方へ向かった。ただノロい。めちゃくちゃノロい。1メートル進むのにどれだけかかるんだ!
(ポチがカウンターにたどり着くまでしばらくお待ちください)
――――
「ふー、お待たせしました。お客様は新しく職をお求めの方ですね」
(待たせ過ぎだよ、クソノロマ)「はい、そうです。どのような仕事があるのかもまだ知りません。どんな仕事がありますか?」
「そうですね、具体的にはこちらになります」
ポチはタブレットを取り出して下田に渡した。そこには現在選べる仕事が全てリストアップされていた。
「このリストは初めて見られますよね。ではしばらく眺めてみてください。気になった場合は、詳細も見ることができます。なんとなくこれかな、と思った仕事を見つけたら私にお知らせください」
こう言ってポチは眠りについた。大きないびきをかいていて、うるさい。下田はタブレットで殴り倒してやろうか、と腹が立ったが、反撃されると怖いので止めておいた。下田はタブレットに記載されている中から仕事を探しはじめた。
会社の事務員や、工場での肉体労働、飲食店の接待といったよくありそうな仕事がほとんどだった。中にはゲームボスのお話相手とか地面師といったよくわからない職種も並んでいた。(地面師が行うのは、不動産をめぐる詐欺行為です。犯罪ですので、絶対にしてはいけません)
下田が考えているときに、じゅげむが静かに戻ってきた。まだ警戒している様子だ。
「大丈夫だよ、じゅげむ。危害を及ぼすような人(?)ではない」
「で、でもなんかやっぱり怖いです……」
じゅげむは、下田の両肩にそっと手を置いて背中の後ろから前で寝ているポチを見た。下田は不思議なことにドキドキしてきた。緊張してきた。
下田は前世ではもちろん、彼女なんていないし、むしろ女子から引かれるような学生だった。こんなことは体験できるはずがない。
下田は静かに高揚した。転生して良かったと心から思った。冷たくて冴えないやつだと思っていたけど、実はめちゃくちゃ可愛いんじゃないか! じゅげむは顔もいいし、スタイルもいい。
「大丈夫だよ。何かあったらそのときは俺が守るからさ!」(キリッ!)
下田は史上最高にカッコつけて言った。下田の声は史上最悪の寒気を伴ってあたりに響いた。
「……キモいです」
こうなると、下田の頭の中はじゅげむの心を掴むことでいっぱいになった。なんとかしてカッコいいところを見せたい。
その衝動から下田はある職を選んだ。すぐさまポチを起こして、その旨を伝えた。
「あの、ポチさん。俺はこの仕事にします!」
「う、ん? 何ですか、これですか? ……え!これ?」
下田が選んだ仕事はなんとハンターだった。正常な下田からは一生飛び出さないような単語だ。どうした、下田! 頭がおかしくなってしまったのか。いや、理由は単純。
――――
☆下田の頭のフローチャート
ハンターとしてのスキルを身につける
↓
獣を見ると多分じゅげむはビビる
↓
そこで俺が獣を狩ってじゅげむを守る
↓
じゅげむが俺に憧れを持ってくれる
↓
俺とじゅげむの距離が縮まる
↓
それから先は秘密
――――
相変わらず下田らしい短絡的で浅はかで現実的には難しい理屈だ。
いや、待てよ! もしかすると、このままだとタイトル詐欺につながりかねない! ハンターが主になってはいけないのだ。この話はあくまで課金の話だぞ。ハンターの話じゃないぞ。ハンターになってもいいけど、あくまで課金のためのツールだよね?
もし、この先課金をほったらかしにして、ハントばかりしていたときは、タイトルを「下田陸はじゅげむの心を掴むために今日も狩に出かけます」に変えます。
ってかそもそもハンターになれる? そこから疑問が湧くところですが、作者もそろそろ手が疲れてきたので、今回はこのあたりでいいですか? 次回はこの続きから書きます。
第4話読んでいただきありがとうございます。
いかがでしたか?
徐々に話が進み始めています。
次回もご期待ください!
(いつになるかわかりませんが)




