表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

出会い



意識が戻ると、視界が草で埋め尽くされていた。

起き上がると、記憶に違和感があった。

なんとも、ここは貞操が逆転した世界らしい。

そんな馬鹿な、なんて笑ってしまったけど、様々な情報が脳からにじみ出てくる感じがする。

でも本当にここはどこだよ。


とりあえず周りを見渡す、木や草しか見えない。

僕が住んでいた東京にはこんな景色はなかったなぁなんて考えつつ、適当に周りを散策してみることにした。

自然いっぱいの風景に心が躍る。

小走りで地面を駆け抜ける! 気持ちいい!


――――まあ、そんな気持ちが続くわけないんだけどね。

ちょっと走り回るとすぐ息が切れた。

走るのが面倒くさい。

自分はダメだなと辟易しつつ、今度は歩きで行くことにした――――

ギュルル

――――というか、おなかが減った。


あれから30分ぐらい歩いてみたけど、草しかねえ。

どんだけ田舎なんだよここ! 転生するのはいいけど場所を考えてからにしてよー。

ほらこうやって泣き言を喚き散らすだろ! くそう、なんだよここ、もういいよホント・・・・・・

などと考えていると、ブシブシと音がした。

音は継続的に続いていて、僕は音のなる方を見た。


「ふっ! はっ! せいやあああああぁ!」


甲高い声で県を振り回し、草を切りまくっている女を見つけた。

サイヤ人みたいに血の気が多そうだ。


「ふぉおおおおお! とりゃああ! えいやあああああ!」


「うるせぇ・・・・・・」


思わず本音が出た。

彼女は本当にうるさくて、ちょっと勘弁してほしかった。

こっちは歩きっぱなしで疲れてるのに・・・・・・

しかし、遠くて顔がわからないけど、水色の透き通った髪の毛をみると、雰囲気からして美人だった。

・・・・・・話しかけようかな。

しかし、僕の人見知りと怠け心が行くなと体を引き留めてしまう。

出した結論は、<かまうな休め>だった。


草を刈る音、掛け声がうるさいので少し移動しようと寄りかかっていた木から立ち上がったところで、彼女の声も止んだ。

なんだ? どうした?

と思っていると、彼女がよってきているではないか! まずい、顔が赤くなってきた。


「ねえ」


「ッ・・・」


声がでない。

すごくかわいい、逃げたい。


「ねえ、おーい」


「ッあい?」


くそう、まともに返事が出来ねえ。


「どしたん? 顔赤いんよ?」


「まっじ、すか、平気です」


声が震える、だってよう、こんなかわいい人立体で見るの生まれて初めてなんだもん。

なんか明らかに日本人じゃなさそうだけど、いや、日本語話してるから日本人なのか?


「そう、なんかこっち見てるからさぁ、気になることでもあるのかなぁって話しかけたんだけど」


まじかよ、こいつ思考回路が俺と180度違うぞ、なんで話しかけれるの?

とにかくあれだぁ、無難に答えることに努めよう。


「音が鳴ったんで、その、見たらかっこよかったから・・・」


「え、そう?・・・なんか照れるなぁ// 自分、ここで剣の修行してるんだ。グレシアっていうの、君は?」


「僕は田辺誠です」


「タナベ? ふーん、ここらへんの人じゃなさそうだね! どうしてここに?」


「え? それは・・・」


どうしよう、素直に話そうかないい人っぽいし。

違う世界から来ましたとか言っても結構受け入れてくれそうだし。


「なんか、目が覚めたらここにいたんですよね...」


「ん? どういうこと?」


「違う世界からきたっぽいんです、ははは」


「・・・うっそぉ~! いつからここに?」


こいつ何言ってんだ、とでも考えてそうな間があった。

くそ、恥ずかしい。


「えっと、一週間前からです。」


「へぇ・・・って、い、一週間?! ずっとここにいたの?!」


「まあそうですね、出不精なもんで」


「いや、出不精とかそういうもんだいじゃないでしょ! てことは、食ったり飲んだりどうしてたん!」


う・・・これはストレートに言ったら引かれそうだけど、どうしよう。


「それは・・・ほら、ここらへん木いっぱいあるじゃん、自然に生えてるもの食ってたよ」


「え、ここの木ってなにも生えないよ・・・」


「あ、・・・・・・」


「ま、まあとりあえずさ、よかったら私の家来ない? なにもしないからさ! ほら、体とか綺麗にしたくない? ちょうどスープが余ってるからさ、食べに来なよ!」


「え、じゃあお願いします、ありがとうございます」


「っ! うん、じゃあついてきて!」


なんか、すごくいい人だ。

人の温かさに触れたことなんて久しぶりだな。

かわいいし、親切だし、最高。




「ここだよ、さ、入って入って~」


僕が案内されたのは、木の家。

シンプルだ、という感想が真っ先に頭に思い浮かんだ。

というか、そういうのに全く興味がないので派手なやつ意外みんなシンプルとしか表現できない。


「お、おじゃましいてぇ!」


木の家に入ろうと入口をくぐろうとしたとき、僕の手に刺激が走った。

糞、ここの家全然きれいじゃねえぞ!


「うわ、ごめん! この家友人に作ってもらったから所々ささくれとかあるんだ! 包帯包帯~」


「・・・そうなんだ」


先に言えよおおおおお!

ささくれが手に刺さると皮膚に入り込むかもしれないんだぞ!

あぶねえなこの女・・・・・・

内装は特に凝っている所は無く、なんとなくグレシアは貧乏人なのかな、と思った。

口には出さないけど。


「あったあった~、ごめんね~?」


あれ?こんなに猫なで声だったっけ?なんかあった時よりも凛々しさが薄れてるような・・・

グレシアが僕に包帯を巻きながら、こんなことを聞いてきた。


「ねえ、彼女っているの?」


「・・・いない」


「ほんと? じゃあ私が彼女になってもいいかな?」


いきなりだな!

早いよこの展開。

もうちょっと知り合ってから数週間後、恥ずかしながら聞くもんだと思ってた。

もちろん大丈夫だが。


「え? ほんと? ほんとにホント? ああああわわああわわ」


バタンッ


「え、大丈夫?! ちょっと、おーい!」


突然気絶して倒れたグレシアに、僕は声をかけ続けた。

だけど、反応はない、死んでしま


スー スー


ってないな、寝てるだけだな。

取りあえず、起きるまでゆっくりさせてもらいますか・・・

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ