ゆうかの世界
ーゆうかー
「……ただいま。」
「あー!ゆうかぁ!まま、今からちょっと用事あるの♪ごめんなさいねッ」
楽しそうに喋る母親
「あ……わかった。ママ、夜ご飯は?」
「食べてくるわっ!じゃーねん」
『ガチャ』
勢い良くドアが閉まる。
「……は?普通娘がごはんは?って聞いて、いらな言って答える?……私の分に決まってんだろ……ありえない……育てる気ないなら、産んでんじゃねぇぞ……?」
そう言って私の部屋に戻る。
ムカつく……ありえない。ありえない……
椅子に見せかけた箱から一つの黒いノートを取り出し、鍵をとる
「うざいうざいうざいうざいうざいうざいうざい」
赤色のペンで小さく気が済むまで書きつづる。
「……はぁ……。」
かごの中の黄色の鳥を見つめる
「チュン!」
元気に飛び回る。
「キイロ……キイロは、かごの中なんて嫌じゃないの?キイロはそのかごだけが世界なのよ?あまりに狭い……苦しい……」
「チュンチュ」
「……ふふ。まあ、そんなポエマー、キモいか……私は、私はね、嫌いなの。うるさいのは。静かなのは嫌いじゃない。でも、キイロ位の鳴き声があるくらいでちょうどいい。」
鳥に話しかけているのが虚しくなり、椅子にノートを戻し、椅子に座る。
「あぁ……」
こんなの、こんな気持ち要らない。
私は速く、いい人と結ばれたい。私のような気持ちを持った人と。
ジロりと机の上の鏡を見つめる。
「祈りの声よ。我が命令だ。私に幸運がありますように。私が私であることに喜んでもらえるよう」
中二ックな祈りを捧げる。これはわたし自身に言っているのだ。鏡の私は、私だ。
そのまま眠ろうと、ゆっくりと目を閉じる