7/8
梓の世界
ーあずさー
家に着き、自分の部屋に戻る。
制服にてをかけ、ボタンを一つ一つとっていく。
ボタンをはずしかけ、ベッドにあおむけになる
私の部屋の天井にはひとつのポスターがあった。
金色の髪をした天使の絵。羽は重みのありそうな程多く、しかしやわらかそうな色。
「この絵は私だ」
小さくつぶやき、天使の緑色の目を見つめる。
天使は重そうな手錠をして、足には鎖を。
光に囲まれているが、自分には光の当たっていない
緑色の目は、どこか遠くを深く見つめている。
ゆっくり立ち上がり、カーテンをしめる。
暗くなった部屋に明かりをともす。
制服を脱ぎ切り、またベッドに戻る。
今日の私は何ができていたのか。
きのうのわたしより何ができていたのか。
誰かの役に立ったのか。
誰かに迷惑をかけたのか。
自分の存在価値を確かめるように思い返す。
「私は私をすき?」
この答えは、今は出せない。
この答えは、今も出せない。
少し眠りにつこうか。手を天使に近づける。
「あぁ、天使。私にどうかいい事がありますように。私が、役に立ちますように。」
そう言って目を閉じる