57.可哀想な二人
クーラーの効いた部屋にいると、なかなか外に出たくなりませんよね?
「「あああぁあぁぁぁあああ!!」」
現在ソウとトウヤは神国アマターに向けて一直線に飛んでいる。何故二人が叫んでいるのかというと、神国アマターに近づくにつれて大きくなっていくホモ達への恐怖を紛らわす為である。
しかしそれも10分程で終わった。飛び始めてから結構時間が経つのになかなか神国アマターが見えてこないのだ。だが、飛んでいる間はどうする事も出来ないのでただ飛べ続けるしかない。全然見えてこないことを心配に思うこと30分、ようやく神国アマターが見えてきた。斜め下から見ているのだが、浮かんでいる国が「♂」の形をしている。流石は初代アマターが作っただけの事はある。
「なぁソウ………」
不意にトウヤが聞いてきた。どうしたのだろうか、やっぱり神国アマターを前にして恐怖が湧いて来るのだろうか。
トウヤが独り言のように呟いた。その内容は……
───俺達どうやって着地するんだろうな
それを聞いて頭が真っ白になってしまった。
そうだよ!それを考えて無かった!ヤバイヤバイ!?このままじゃ時速何キロか分からないけど、かなりの速さでぶつかるか、そのまま通り過ぎていくかしかないじゃねえか!
どうしよう………最近クーに教えてもらった重力魔法でいくか?………いや、あれはまだ上手く使えないし、もし失敗したらペチャンコになっちまう。だからクーと一緒に重力魔法で飛んでいかなかったんだよ。失敗したら怖いからな。
「トウヤ、方法ねえわ………」
ソウが方法のない事をそのままオブラートに包まず直接言うと、トウヤは笑顔のまま涙を流していた。
すまねぇ、けどもうどうしようもないんだよトウヤ。潔く諦めようや、な?
これは全てアマタツが悪いって事でいいんだよ。だから………な?
なにが「な?」なのか分からないが、結果を先に言えば、二人はちゃんと神国アマターに着くことが出来た。
それは少し時を遡る事10分のことである。
■□■□■□■□■□■□
────10分前
「うんしょ、うんしょ、これとっても重いね〜。」
「そうね。いったいどれだけの数を入れているのかしらね?」
クーとシアの二人はソウに頼まれて、大きな布に包んだ大量の爆弾を運んでいる最中だった。
いったい幾つ入れたのか、パッと見ただけでは分からない程の量が詰め込まれている。
(いったいソウはコレを使って何をするつもりなのかしら?)
疑問に思ったが、どうせろくでもない事だろうと思ってそれ以上は考えなかった。
そろそろ神国アマターの真上という所で、ふとシアが話しかけてきた。それは他愛もない話。話をして、オチを言ったら互いに少しクスッと笑う………ただそれだけの話。
「最近お兄ちゃんが────」
「へぇ、そんなのね。私は────」
楽しげな会話しながら、布を運ぶクーとシア。ずっと運び続けているせいか、段々と腕が痺れてきた。
結構な重さがあるので、ずーっと運び続けるのはかなりしんどいのだ。
事件は痺れた腕から反対の腕に持ち替えようとした時だった。ちょうど持ち帰るその瞬間に、タイミング悪くシアがくしゃみをしてしまった。
「くちゅん!」
シアの可愛らしいくしゃみはクーの痺れた腕にとってかなりのダメージとなり襲いかかった。結果、掴んでいた布は手をすり抜け、布の中身は全部落ちてしまった。
「あっ!…………落ちてしまったわ。」
「………どうしよう。」
神国アマターに降り注ぐ大量の爆弾。それはソウがやろうとしていた事と全く同じ事であった。
しかし、タイミングが悪かった。ソウの予定では爆弾を落とすのはまだまだ先の事だったのに、予定が狂ってしまったのだ。
このタイミングで落としてしまった事が、ソウとトウヤにとって最悪の展開となってしまうという事に今の二人には気付ける筈もなかった。
■□■□■□■□■□■□
クーとシアが間違って爆弾を落としてしまうという事件発生から10分後、クーから念話が来た。
その内容はソウとトウヤを更に絶望的状況へと追い込む為の要因となる。
『ソウ………ごめんなさい、落としてしまったわ。』
…………へ?お、落とした?アレを?オレが大量に用意したアレを落としたってのか?
なん………だと?もしかして冗談か?オレ達を和ませる冗談なのだろうか………いや、クーはそんな冗談を言わない子だったな。ということは本当に落としたんだな……
『貴方が指示した高さより遥かに高い所で落としてしまったから、かなりの速度で落ちている筈よ。』
「分かった、こっちでなんとかするか────」
ソウは最後まで言葉を話すことが出来なかった。何故なら彼の頭に高速で落下してきた爆弾の一つが直撃したからだ。しかも、ソウだけでなく一緒に飛んでいたトウヤまで、同じように直撃し、二人仲良く落下していった。
『ソウ?どうしたの?………ねぇ、返事してよ!ソウ!!』
クーの悲痛な叫びも虚しく、ソウは既に気を失っていた。
■□■□■□■□■□■□
「うぅ………頭痛え。」
どうやら気を失っていたようだ。どうしてだろうか。
とりあえず今の状況の確認をしなくては………ここはどこだ?
ソウは自分の周囲を見回したが、何処にいるか全く分からなかった。だが、周りが石のブロックで囲われていて、正面に鉄格子がある。これはどう考えても牢屋じゃないのか?
今ひとつ状況が理解出来ないソウに、横から話しかけてくる奴がいた。
「やっと起きたのか。」
「………トウヤじゃねえか。」
声の主はトウヤだった。ソウは自分の知っている人がすぐ側にいて少しだけ安心する。
「トウヤ、どうしてオレ達は牢屋なんかにいるんだ?」
ソウが何気無く聞いたこの言葉の返事は、ソウを絶望の底へと導くものだった。
「────神国アマターの奴らに捕まったんだよ。」
結局アマタツ君は出ませんでしたね
次こそ、次こそは………




