38.使えるものは使う
テストが返ってきました
………泣きそうな結果です
次の日…………
「準備は済んだしそろそろ行くか……」
ソウはまた朝早くからなにやら準備をしていた
「どこに行くの?」
「おわぁ!?……ってクーじゃないか、脅かすなよ」
靴を履いてさぁ出かけよう、とドアを開けた先にクーが立っていた
しかし何故クーは怒っているのだろうか
また自分は何かやらかしてしまったのかと思い、謝罪の言葉を考えていたらいきなりクーが抱きついてきた
「お、おい!どうしたんだ?」
「嫌な夢を見たの………アナタが死んでしまう夢を」
それはまたベタな夢だな
というか今から出かけるのにそんな不安になるような事を言わないでほしい
「大丈夫だって!オレがそんな簡単に死ぬわけないだろ?」
「違うの。アナタが簡単に死ぬわけがないのは分かってるわ……」
ん?どういう事だ?
普通こういう夢を見た人は死なないか心配するもんじゃないのか?
「正確には嫌な夢ではなくムカついた夢よ……」
余計に分からなくなってきた
ムカついた夢なのに何故オレが死ぬ事になるのだろう
「どういう事なんだ?いまいちよく分からないのだが」
「すぐに生き返れる筈なのに、死後の世界で遊び呆けてる夢を見たのよ………夢なのに物凄く腹が立ったわ」
………実際にやってましたとは口が裂けても言えない
実はソウ達は、天国で自分達のステータスを弄っている時、あまりにも失敗が続くのでおよそ100年程遊んでいた時期があったのだ
「そ、そうか……ま、まぁオレは出かけるからこれで……」
「いってらっしゃい……夢のような事にはならないよね?」
「は、ははは、もちろんじゃないか!」
ソウは逃げるように家を出た
そんな事をすれば頭の良いクーにすぐバレてしまうのだが、今の彼はそれに気付かない程動揺していた
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「昨日戦ったのは多分この辺りだと思うんだが………」
ソウが出かけた先は、昨日ヘルオーガ達と戦った場所だった
すると昨日一番最初に会ったヘルオーガにまた出会った
「あっ!お前は昨日の奴じゃないか、また戦いに来てくれたんだな!」
「そんなわけあるか!?」
また戦うとか冗談にも程があるぞ
昨日オレがどれだけ苦労したとおもってやがる
もうコイツらと戦うのはお断りだ
おっと!そんな事よりやることがあったんだった
「今日来たのはお前らと戦いに来たわけじゃない。約束を守ってもらおうと思ってな」
「約束?………勝った方が負けた方になんでも1つ命令できるってやつか?」
そうそう、それだよ
いやぁ、勝負に勝てて本当に良かった
これであの王様を雇わくても済むよ
あれよりも使えそうな“人材”が手には入ったからな
「それだ、オレはお前らに勝ったから1つ命令を聞いてもらうぞ?もちろん全員だ」
勝負するってなった時は本当に冷や汗ものだったが、結果オーライだな
「お前らにはオレの店で働いてもらう!」
「え?………えぇえぇええぇえ!!」
これで下僕…………従業員は大丈夫だな!
しかもオレの店で働くという事は、オレに逆らえない!
万が一、勝負しろと言って聞かなければ、トウヤに相手をさせるもよし、男ならアマタツに任せるもよし、辞めたいと言ってきたらもう戦ってやらないぞと言えばいい、といった風にも出来るからな
後、ただ単純に人手が欲しいのもある
そこへ1人の女の子が飛び出してきた
「待て待て!そんな事を勝手に決められたら我が困る!」
「ん?お前は………昨日のロリババアじゃないか」
何故コイツがここにいるのだろう
まぁ同じヘルオーガだし、いても問題はないのだが
「ち、長老!お下がりください、話は私どもがしますから」
「ならん!長老たる我が直にする!」
コイツ長老だったのかよ
まぁそんな事はどうでもいい
「話なんてどっちでもいいんだよ。それより
お前らは早くついて来い」
「ちょ!?何を勝手に連れて行こうとしているのだ!」
うるさい長老だな
コイツらはオレとの賭けに負けたんだよ
「別に奴隷にするわけじゃない、ただオレの店出働いてもらうだけだ。それにちゃんと給料も払うし、なんなら3食部屋付きでも構わない」
「いや…それは確かに魅力的…………いやいや!騙されるな、そんな都合の良いことなんて罠に決まってる」
随分と疑い深い長老のようだ
たが一族の長であればこれくらいは普通なのかもしれない
「そんなに疑うなら自分の目で確かめたらどうだ?」
「へ?」
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「トウヤ、コーヒー2つに紅茶が3つ、フレンチトースト5つ」
「はいよ、長老これ2番に持ってけ」
「………」
ソウはヘルオーガ達を連れて店に戻ったのだが、店は客で溢れていたためヘルオーガ達に仕事を教える時間がないため、彼らには荷物の運搬を頼んでおいた
しかしどうもヘルオーガ達だけでは心配なので、アマタツもそちらに行かせた
これで男のヘルオーガは理解するだろう
逆らったらどうなるか
意外にも物覚えが良かった長老にはシアやクーと一緒にウエイトレスをやってもらっている
「どうした長老?」
「どうして我は働かされておるのだ!?」
どうしてって言われてもな………
働かざる者食うべからずと昔から言うからかな
「おかしいぞ?我はただ確かめるだけのはずなのに、どういう訳か働かされている……」
う~ん、初日からは流石に無理があったかな
さっきからブツブツと小声で何かを呟いているし
よし、少し休憩してもらうか
「長老、少し休憩してきな。あっちに休憩できる部屋があるから……クー案内してやってくれ」
「仕方ないわね……こっちよ」
1人減ると少し厳しいな
今日はこの辺で店をしまうか
「ちょっと聞いてくれ!今日はこれで終わりだ、また明日来てくれ」
──えぇ……まじかよ、明日また来るか
──仕方ないわ、帰りましょう
──明日こそは絶対に!
せっかく来てもらって悪いのだが客には明日にしてもらった
従業員の体調管理も店長(仮)の仕事だしな
とりあえず店の掃除が終わったら会議を開くことにした
店長(仮)というのはまだ正式に決めていないからです




