36.リスクは常につきまとう
最近寒いですね
皆さんも風邪に気をつけてください
ヘルオーガの1匹くらいとは言ったものの正直帰りたかった
奴らは根本的に頭がヤバいのだ
話は変わるが、オーガと聞くと普通は鬼のようなまさに怪物といったものを想像するだろう
だがそれは普通のオーガに限る
ヘルオーガは簡単に言うと、オーガの進化版だ
外見は逆に人間にそっくりになり、違う所といったら頭に大きな2本の角が生えていて、牙があるくらいだ
肌の色は褐色なので、角を隠して口を開かなかったらもう人間そのものだ
更にいうと言葉も通じる
つまり会話が可能というわけだ
なら何故嫌なのかと疑問に思うだろう
話が出来るなら説得すれば良いじゃないかと
だが彼らにはある特徴があった
彼らはなによりも戦いが大好きな戦闘狂だったのだ
三度の飯より戦いが好き
寝る暇があるなら戦いをする
強者と出会えば勝てるまで挑み続ける、たとえどこに逃げようとも地の果てまで追いかけてくる
そういう性格のためヘルオーガの数はかなり少ない
実力的に絶対勝てない相手でも平気で挑むため返り討ちにあい死んでしまうからだ
つまり残ったヘルオーガは強者の中の強者ということになる
適当に戦っても勝てるには勝てるのだが、それだと一生挑まれるのだ
「はぁ………やだなぁ……帰りたいなぁ」
ヘルオーガをどうするか、考えがまとまらないままよく目撃される場所に着いてしまった
(このまま帰ろうかな………そうだな、別にいなかったって言えば誤魔化せるだろ)
そうと決まれば話は早い
ソウは回れ右をしてすぐに走りだす………ことは出来なかった
なぜなら……
「お前は強そうだな、私と戦え」
目の前にヘルオーガがいたからだ
「逃げるな!大人しく私と戦えー!」
「オレは女性と戦う趣味は無いんですー!」
「なに!?女だからといってバカにするな!」
まったくいったいなんなんだよあのヘルオーガめ、全然諦めやしねえ
まぁヘルオーガが簡単に諦める訳がないのだがな
とりあえずヘルオーガを撒こうとソウは全力で逃げる
幸い森なのでまだ撒きやすい……はずなのだが
(あのヘルオーガ、ただ者じゃねえ!恐らくLvは軽く見積もっても500はあるはずだ)
木の上に登ったり、木の間をジグザグに走ったり、フラッシュバンで目くらましをしても何故か見つかってしまう
どういう事だろう
これだけの事をすれば絶対に撒けるはずなのに
他にもヘルオーガがいるのだろうか
理由はすぐに分かった
森を抜けるとそこに別のヘルオーガがいた
今度は男だった
だがそんな事は気にしてられない
後ろからも来ているはずなので、右に行こうとすると、その先にもヘルオーガがいた
ならば左だ、と思ったがそこにもヘルオーガがいた
その時やっとオレは気づいた
(ちくしょう、やられた!コイツら始めからこれを狙ってやがったんだ!)
そこに最初に出会ったヘルオーガが前に出てきた
「さぁこれでやっと戦えるな」
最悪だ、これは一番最悪な展開だ
1人ならまだしも複数のヘルオーガに囲まれるなんて
(どうしよう!?今はオレ1人しかいないしこいつら強そうだし………ダメだ、何も思いつかない)
今まで人間には秀でた才能や力を持った者が生まれただろう
だが、この世界にはそういう人物が少ない
何故なら今のオレのようにヘルオーガに囲まれたからだ
1人に勝てたとしても次が待っている、もし全員倒せたとしても殺しきれなかったら永遠に狙われる
そうして彼らは死んでいったのだ
だがそれはあくまで一般人の場合だけだ
ヒトトセ・ソウは普通では絶対有り得ない力を持つ“人間”
「そこまで言うなら戦ってやる!後悔するなよ!」
故にどれだけ力を持っていようと、パニック状態になれば普通の人間と同じなのだ
(やっちまった………焦ってつい勝負を受けちまった)
時既に遅し、後悔先にたたず
そんな言葉がソウの頭の中でいっぱいになる
だけどもう覚悟を決めるしかない
そう心の中で呟いた
「あ!まずはご飯を食べなければ、あと休息も大事だな。それがないと全力が出せないんだ」
それでもまだ望みを捨てないソウであった
「もう腹いっぱいになっただろ?さぁ戦おう」
「いやいや!まだ休んでないんだよ」
「さっきまで休んでたじゃないか!?」
あれからずっとこの会話を繰り返している
未だに未練がましく勝負を避けようとするソウである
だがいくらヘルオーガが戦闘以外はからっきしだといっても流石に限度がある
その証拠にイライラしているのがはっきり分かる
「もう我慢出来ない、戦ってもらうぞ」
(ここら辺が潮時だな、仕方ない)
ここでやっとソウは重い腰を上げた
だが彼は何もただ時間を引き伸ばそうとしていたわけではない
ちゃんと策があり、そのために時間を稼いでいた訳だ
それでは準備も整ったことだし始めようか
今まで誰も考えなかっただろう作戦を
「戦う前に1つ言うことがある」
「なんだよ、私は早く戦いたいんだ」
「最初はお前からかよ………そんな事よりただ戦うだけじゃ面白くないだろ?だから勝った方が負けた方に1つだけなんでも命令できるってのはどうだ?」
まずはこれに乗ってこなければ全てが上手くいかない
だが奴らは必ず乗ってくるはずだ
「もしお前らが勝てば合法的にまた戦えるんだぞ?」
「よし乗った」
やっぱりな、チョロいもんだよ
これであとは勝負に勝つだけだ
しかし奴らはバカだな、自分達が負けた時のリスクも考えずに乗ってくるんだもんな
さて、どう料理してやろうかな
さぁ前代未聞の作戦が今始まる!




