3.明日から本気だす精神で
「はぁ!はぁ!くそっ!なんでこんな事になったんだよ!?」
オレは今真っ暗な森の中を走っていた
理由は簡単、ドラゴンに追いかけられてるからだ
何故こうなったかというと、話は数時間前まで遡る
数時間前…………
「異世界きたぜー!」
サリエルの説明を聞いた後、オレ達は二つ返事で行くことを了承した
そして光がオレ達を覆い、目を開けるとそこには大草原があった
「綺麗な所だな、宗」
「想像してはいたんだが、それ以上だな」
ここからオレ達の無双が始まるぜ
オレ改めオレ達の時代だー!
この時はこの後に起こる出来事を誰も予想出来なかった
──ガサガサ!
「ん?何の音だ?」
オレ達が揃って振り返ると、そこにドラゴンがいた
…………………へ?
「グォォォォォォオ!!」
見つめ合うこと数秒間
オレ達が発した言葉は
「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあ!!!」」」
悲鳴だった
「みんな逃げるぞ!」
十夜がいち早く正気に戻り声を張る
だが、思う様に足が動かない
これが足が竦む、ということか
それでもなんとか歯を食いしばり、足を動かす
「一旦バラバラに逃げよう」
そうしようと思い、逃げようとすると、いきなり尼断Ⅱが前に出てきた
そして………
「ここは僕に任せて先に「ガァァァア!」」
「「尼断Ⅱぅぅぅぅ!!」」
………食われた
残されたオレ達2人は必死に逃げた
だが、追いつかれたとき十夜が、自らの命を使って時間を稼いでくれた
「くそっ!くそっ!くそっ!」
残されたオレは逃げた、必死に逃げた
だけど呆気なく壁に追いやられ、オレも食われた
「はっ!………ここは天国か……」
どうやら死んだので、またここに来たみたいだ
それなら十夜と尼断Ⅱもいるはずなんだが
「お!宗おかえりー」
「案外早かったね」
コイツらなんでそんなにリラックスモードなんだよ
こっちはさっきまでドラゴンに追いかけ回されてたっていうのに
「あ!おかえりなさい、早かったわね」
「………もういい、異世界なんて行かない、ここで暮らす」
もうオレここで暮らそうと思うんだ
だって、わざわざ異世界とか行く必要ないし?まぁ若気の至りってやつだな
「え!?ちょっとそんなの困るわよ!」
悪い……もうあんな思いは嫌なんだ
十夜や尼断Ⅱもそうだろ?
オレの考えを察したのか、2人はうんうんと頷いてる
「とりあえず寝るか」
「そうだな」
「「「おやすみー」」」
何か数千年後………………
「今日は何する?」
「サリエルのスカート捲りは?」
「ラファエルの仕事の邪魔しようよ」
オレ達は地球のニートなんて目じゃないくらいだらけていた
毎日、飯食って、遊んで、疲れたら寝る生活を何千年も繰り返してきた
「今日はさ、行ってないところの探検でもしようぜ」
オレがそう提案して、オレ達は探検を始めた
しばらく散策をしていると、なんだがSFチックな施設を発見した
中はドームのようになっていて、中央に光の円があり、その手前に機械があった
「なんだこの機械……」
「ちょっと触ってみるか」
十夜が機械の画面に触れると、声が響いた
『ようこそ、画面の指示に従ってステータスを決めて下さい』
ステータス?なんのステータスなんだ?
とりあえずやってみよう
「お、おい、勝手にいじるとやばいんじゃないか?」
「大丈夫だって十夜、なんか面白そうだろ?」
というわけでいじるか!
ヒトトセ ソウ[Lv1]
HP 100/100
MP 100/100
SP 100/100
ツユリ トウヤ[Lv1]
HP 100/100
MP 100/100
SP 100/100
アマタツ ケント[Lv1]
HP 100/100
MP 100/100
SP 100/100
ふむ………高いのか、低いのかが分からないな
とりあえず全部限界まで上げちまおう♪
「あ!あなた達こんな所にいたのね!」
げっ!サリエルだ、しかもかなり怒ってる
やべえ、逃げないと
『決定ボタンを押して下さい』
こんな時にうるさいな、押せばいいんだろ押せば
「十夜!、尼断Ⅱ!あの光の円に逃げるぞ!」
「了解!」
「分かった!」
3人同時に飛び込み光に包まれた
「やばっ!間違えたか!?」
てっきりただのワープゾーンかと思ったんだが違う、これは転生の時とそっくりだ
そう思った時には、すでに周りは見えなくなっていた
「頼むわよあなた達、世界が壊れるような力の使い方だけはしないでよね」
消えゆく意識の中、最後にこんな言葉が聞こえた気がした
これでやっと異世界生活が始まる…………………はずです