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17.帰ってきた日常

時は少し遡って買い物中のトウヤとシア


トウヤ視点


「今日はどこで食べるの?」


「今日はというか、これからは家で食べる事がほとんどになるな」


シアと2人でソウ探しの旅の時は、宿屋やいろんな店で食べていた

だが、ソウとアマタツの3人の時は、今のように誰かが食材を買いに行って、家で飯を作って食べていた


「お家で食べるの?」


「あぁ、今日は俺が作るのだが、もう食材が無いから買い物に来たわけだ」


いつもは食材が無くなりそうになったら、作る奴以外のどっちかが食材を買いに行くのだけどな

今回俺が行こうとした理由は、買い物のついででシアにこの街を案内しようと思ったからだ

どちらかと言うと、買い物がついでになるけどな


「お兄ちゃん料理出来るの!?凄ーい!」


「まあな、今日はカレーライスだ、楽しみにしてな」


「かれぇらいす?何それ?」


あぁ~、こっちでカレーライスは無かったな

こっちの飯も旨いのだが、やっぱり地球の飯が食べたくなるのだ

そこで、こちらの世界で地球の料理を作ろう!という感じになり、いろいろ試していた

カレーライスは一番始めに出来た地球の料理だ

幸いこちらの世界の食材と、地球の食材はほぼ変わらない

だが3人とも味は分かってても作り方は分からないので、レパートリーは少ない


「かれぇらいすがどうゆうのか分かんないけど、楽しみにしてるね」


こりゃあ責任重大だな

腕によりをかけて作るかな








「ふぅ、こんなもんか」


肉、ジャガイモ、人参、玉葱などなど

カレーライスに必要な食材は全て入手完了

後は少しぶらぶらとシアにこの街を案内しつつ帰るか


「さて少し寄り道をしてから帰るか」


「うん!でもどこにいく………あっ!?」


「うん?なん……あっ!?」


気づいたら食材の中から肉が消えている

周りを見ると、さっき買った肉を持ちながら逃げている人物を発見した


(ちっ!めんどくせえな、だが見逃す気はない!)


シアに荷物を預けて、すぐさま追いかける


「シアは待っててくれ、すぐに終わらせてくる」


「うん、待ってるね」


さて、俺から逃げ切れると思うなよ







1分後


「さぁ、もう逃げれないぜ?」


異常なステータスである俺なら、1分程度全力疾走したところで全く疲れない

さらにスタミナだけでなく、速度も異常なので、200m程差があったのだがすぐになくなった

肉を盗んだのは小さな男の子だった

俺が怖いのか、さっきからガタガタと震えている


(悪いな、こういうのは一度見逃すと何度も繰り返すからな)


肉を返して貰おうと一歩踏み出そうとしたその時


「待って下さい!」


俺のうしろから若い女性が飛び出してきて、男の子を庇うように前に立った


「この子は悪くないんです!悪いのは私なんです」


「………どういう事だ?」


理由を聞くと、最初女性は言いにくそうだったが、少しずつ話してくれた

簡単にまとめると、男の子と女性は姉弟で、彼ら姉弟は貧乏なので、その日食べる物の入手も難しいようだ

見かねた彼……弟君がなんとかして食べる物を手に入れようとしてあんな事をした訳だ


「ごめんなさい、私が弁償しますのでどうか弟を責めないでください」


(はぁ………こんな話を聞いたあとじゃ返せって言いにくい)


肉はもう一度買うことにしよう


「あ、あぁ!よく見たら俺の買った肉じゃねえな、似てるから間違えたみたいだ」


「え?……でもこれ兄ちゃんの袋から…」


「あ……あぁ~、思い出した!それ貰い物だ!だからお前にやるよ」


「え!?………いいの?」


確かに貰いにくいよな、だけどあんな話を聞いた俺も返せとは言いにくい


「人の好意は素直に受け取っとけ、じゃあな」


「あっ!……行っちゃった…………」


はぁ、また肉だけ買い直しか

あれ結構高かったんだけどなぁ……


「あっ!トウヤおかえり」


「シア、もう一度買いに行くぞ」


「またお買い物に行くんだ?」


さて、あの肉はまだ売ってるかな










ソウ視点


「という事があったんだよ」


「へぇ、そうだったのか」


先程トウヤ達が買い物から帰ってきたが、まさかそんな事があったなんてな

だが、その前に1つ言いたい


「なぁトウヤ……肉買うのにオレの金使ってんじゃねーよ!」


「ん?……買い物代は全てお前の金だぞ?」


こ、こいつ……後で買い物代分アイツの金から奪ってやる


「あ!後で俺から出すとかないからな」


「てめぇ!勝手に人の金使っておいてなんだその態度は!絶対返して貰う……」


「さて、そろそろ昼飯でも作るかな………もちろんソウの分は無しで」


「………というのは無しで、オレにも昼飯作って下さいトウヤさん!」


この一連の流れを横で見ていたクーが一言


「バカの集まりね………でも悪くないわ」


と呟いた事に誰も気づかなかった










「ただいまー」


アマタツが帰ってきたようだ

だが残念だったな、もう少し早かったらなぁ


「今日はカレーだね?さて僕の分は………無い!?なんで無いの!」


そんなの決まっている!………既に全部食べたからだ!

お前の昼飯は白飯と福神漬けだけだ

それならたっぷりと余ってるぞ?


「酷いよ!」


そんなの知らないな

さぁ、たーんとお食べ

相変わらずのアマタツ君

彼が弄られ役を卒業する日は来るのでしょうか?

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