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赤いくち  作者: yiyi
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闇の住人

大塚はまず翼達の話をすべて聞き、これからどうするかを相談した。


「なんせ相手は幽霊?だからな・・・警察はいくら殺人鬼でも人間を相手にしてるから、こんな状況は難しいな」

「とりあえずあいつは東京都にいるんですよね?なにか街に呼びかけでも・・・」

「『口裂け女が渋谷や銀座にいるから気をつけましょう』とでも言うのか?今時信じんだろ?」

手がかりもなく時間だけが過ぎ、翼と夏美はそれぞれ自宅に帰り、2人にも仕事があるので後は大塚達に任せて帰った。

それから数日後、身体を切りつけられたり、口を裂かれたりといった口裂け女の仕業だと思える事件が頻繁に起きた。

事件現場には死体しかなく、指紋など手がかりになるようなものがない。

大塚達は頭を抱えている間、口裂け女はさらに犯行に及ぶ。



ある日の夜、一人の若い女性が飲み会から帰宅途中、突然後ろから襲われめった刺しにされた。

口裂け女は呆然と立ち、倒れた女を見ながら言った。


「この・・・お、んな・・・ちが・・・う」


そして左右に身体を揺らしながらその場を去って行った。



日曜日の朝、大塚は翼の自宅へ訪れた。

「あれからなにか進展はありましたか?」と翼が尋ねると大塚は頭を左右に振る。

「進展はないが、君達に少し協力してほしんだ」

「はい、なにか出来る事があるなら・・・」

大塚はある提案を翼と夏美に言った。

それは翼には大塚が、夏美には中田が付き添って夜の人通りが少ない道を歩くということだった。

「ハイリスクだが、もう誘き出すしかないと思う」

そしてお互いに会話できるように小型マイクを服に付けて耳にはイヤホンをして大塚と中田は2人から少し距離をとって後ろから監視する。


翼は人通りが少ないものの車は通る道を、夏美は住宅街をゆっくりと歩いた。

しかしそう簡単に出くわすわけではなく、一日目、二日目と何度も繰り返し同じ通りを歩いた。

そして開始から12日目・・・

夏美を監視する中田に無線が入る。

「中田さん・・・たぶんだけどいたわ」

中田は夏美の方を見たが、先は暗く人がいるのかさえ分からない。

「どんな格好ですか?」

「私もよく見えないけど、たぶん白色の服を着てます。ずっと立ち止まってるんです」

「もう少し近づけますか?」

夏美は中田に言われたように一歩一歩ゆっくりと前に進んだ。

同時に中田も前に進みながら、腰につけている拳銃を手にした。


翼と大塚も無線を聞き、急いで2人の元へと向かう。

夏美はさらに前に進む。すると次第に姿がくっきりと見えてきた。

長い黒髪に大きな白いマスク、目は魚みたいに死んだような黒色に赤い血が所々付いている白い服、手元にはハサミを持っている。

「中田さん、私はどうすれば・・・」

中田は銃を向けて言った。

「あなたの近くに奴が来たら僕が合図するんでしゃがんでください!その時に撃ちますから・・・」

案の定、口裂け女は夏美に気付きゆっくりと近づいてきた。

夏美は近づいてくる口裂けが何か言ってるのに気付く。


「わたし・・・キレイ?わたし・・・キレイ?」と言いながら進んでくる。

夏美は徐々に攻めてくる恐怖に怯え、身体が震えている。

握っているハサミの刃の部分を開けたり閉めたりしながら、さらに近づき夏美と女の距離は5、6mになった時、今だと思い中田は大声で「しゃがんで!!」と叫んだ。

その声を聞き、夏美はすばやくしゃがんだ。

「パァーッン!!」と一発の銃声が夜の住宅街に響く。

弾丸は女の肩の部分に当たった瞬間、女は目では追えない速さで中田の元に行き、喉仏にハサミを刺した。

それを見た夏美は、腰が抜けて動けない状態で叫んだ。

中田はガクガク震え、口から血を吹き出し倒れた。


そこに一台の車がやってきて、ドアが開いた。

そこからは翼が出てきて、夏美を車に乗せた。

そして大塚は死んでいる中田を見て、アクセルを強く踏み口裂け女の方に突っ込んだ。

女はぶつかり数メートル吹っ飛んだ。

立ち上がる女の肩は脱臼して、身体が変形している。

もう一度轢こうとしたが、女はその場から走って逃げて行った。


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