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赤いくち  作者: yiyi
12/13

終結

「大塚さん!あいつはもうあなたの奥さんでは無いんですよ!!」と翼は大塚に大声で言った。

しかし、大塚は翼の言葉など聞かず奥さんの名前を呼びながら暗闇の先にゆっくり歩いて進む。

大塚と謎の物体との距離が徐々に縮む。

「ともえ・・・悪かったな。俺がちゃんとお前を守ってあげれなかったばかりに・・・」と泣きながら言った。

おそらく大塚の目の前にはあの口裂け女がいるはずだ。

「大塚さん離れて!」

翼と夏美の目には大塚の姿は見えない。

2人は手に懐中電灯を持っているのに気づき、とっさに大塚の方へかざした。


そこには予想通り口裂け女がいた。

口裂け女も泣いているように見える。

大塚は口裂け女の大きなマスクに手をやり、それを外した。

翼と夏美は目をそむけた。

大きな傷が大塚の瞳に映る。

「可哀相に・・・こんなことになるなんて」

大塚はその傷元を手で触れる。

口裂け女も大塚の頬に触れる。

突然、口裂け女は大塚の口の中に手を突っ込み手に持っているメスで口元を裂いた。


「ギャアァァァ!」と大塚の叫び声が響く。

大塚はそのまま地面に倒れる。

「おおつかさん!!」

口裂け女が翼達の元へ近づいてくる。

「逃げるぞ!」と夏美の手を取り、暗い廊下を走り抜ける。

2人は階段を上ったりして、ある病室の隅へ隠れた。

翼は落ちているガラスの破片を取り、カーテンの生地を破り、破片に巻きつけてガラスをナイフ代わりにした。

そして、それを夏美に渡した。

「これを持って、俺はあいつをおびき寄せてここからなるべく離れた場所に連れて行くから」

「それじゃ、どこかで待ち合わせしましょう」

2人は地図を見て、出口を確認し、ここまで来た車で待ち合わせることにした。

その道中、夏美は大塚のポケットから車のキーを取って逃げることになった。

「それじゃ、またな」

「うん、絶対に会いましょう」

2人はキスを交わすとそれぞれ違う方向へと向かった。


翼は大声で口裂け女を呼びながら懐中電灯一つで暗闇へと走り抜けて行った。

夏美にとって翼の声が聞こえるだけで、生存が確認できるため少し安心できる。

夏美は大塚の元へ到着し、恐る恐る胸ポケットやズボンのポケットを探り車のキーを見つけ出した。

その時、腰にある拳銃を発見し持ち出した。

距離が遠いせいかいつのまにか翼の声が聞こえないことに気付くが、夏美は不安をも持ちながら外へ出た。

全速力で病院の庭を走り、車がある場所へ向かった。

翼はまだ病院内にいるみたいだ。

しかし外からも翼の声は聞こえない。

夏美は車にキーを挿し込み、エンジンをかけた。

前方を見ると翼が走って、こちらに向かって来ている。

夏美は手を振り、無事な翼を見て安心した。

翼の姿が徐々に大きくなるにつれ、翼の顔もはっきり見えてくる。

少しでも笑ってくれているかと思えば、何故か慌てた素振りで何か合図している。

夏美は訳も分からないままふっとバックミラーに目を向けた。

すると、後部座席には口裂け女が座っていた。


夏美は叫びながらとっさにアクセルを踏み込んだ。

口裂け女はメスを夏美の顔に向け、夏美の頬をメスで浅く切った。

車はジグザグに前進し、もの凄いスピードで病院の壁に衝突した。

翼は様子を見に煙が出ている車へと駆け込んだ。

夏美の座席にはエアーバックが膨らんでおり、身体を支えてくれている。

車のフロントガラスは割れており、口裂け女は前に飛んだのだろう。

翼は車から夏美を連れ出し、体を左右に揺らした。

すると夏美の意識が回復した。

「つ・・・ば・・・さ?」

夏美はさきほどの衝撃で頭を怪我したのか、頭から血が流れている。


頭が朦朧とする中、突然翼が視界から消える。

手で頭を抑えながら、辺りを見渡すと口裂け女が翼の髪を掴んでいる光景が見える。

「やめてっ!!」

口裂け女はメスを高々に上げ、振り下した。

その時、翼は大声で叫んだ。

「なつみっー!!にげろっー!!」

メスは翼の口の中へと入っていった。

そして何度も刺す抜くを繰り返した。

夏美は泣きながらそして翼の名前を叫びながら目を瞑った。


口裂け女は翼の死体を横に投げ捨て、夏美の方へ近づく。

「やっと・・・お前の体が・・・手に入る」

夏美は立ち上がることができず、座りながら後ろにさがる。

車の助手席に大塚の銃が落ちているのに気付き、それをとっさに手に取り、口裂け女に構えた。

「私はあなたのモノじゃない!!」

そして、引きがねを何度も引いた。

銃弾はすべて口裂け女に当たり、服は真っ赤になっていく。


カチッ カチッ


弾丸がゼロになり、夏美は銃を下した。

口裂け女はその場に倒れた。

血は大量に出ており、まるで今まで殺してきた人間の数だけ出ているような感じだった。


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