答えを求めて
夏美はキャァァァァァ!と叫ぶと隣人がドアを開け出てきた。
「さっきからうるさいんだよ!」
口裂け女はその男に包丁で刺した。
廊下や壁にその男の血が飛び散る。
夏美はその隙に走ってエレベーターに乗り込み一階へと降りた。
その時、翼がちょうどバイクで夏美の家に到着した。
「わりぃ、信号に何度か捕まっちまって」
「いいから、ここから逃げよう!」
翼が前を向くと、先には口裂け女が構えていた。
「もう一階に・・・」
翼は夏美を自分の後ろに行かせ、夏美を守り、「来るならこい・・・」と震えた声で言った。
口裂け女がゆっくりと翼に近づく、その時口裂け女の後ろから猛スピードで突っ込んでくる車が見える。
口裂け女が後ろを振り向くと同時に、口裂け女は衝突し吹っ飛んで翼のバイクに倒れ込んだ。
車の窓から大塚が乗り込むように合図する。
2人はすぐさま後部座席に乗った。
口裂け女はピクリとも動かない。
「同じ相手を二度もひくのは気が引けるな」
「大塚さん!どうなってるんだよ?」
「話は岐阜に向かう途中で話す」
「え?はっ?岐阜に向かうってどういう事だよ」
突然の言葉に2人は混乱する。
大塚はアクセルを強く踏み、車を岐阜県に走らせる。
しばらくすると大塚が口を開く。
「私はあれから資料を調べてすべてが分かったんだ・・・あいつの正体も、なぜ私たちが狙われるのかも」
大塚はまず自分の過去のことを2人に話し始めた。
車内からはビルなどの光で輝く夜の東京の景色が見える。
次第に車は都市高速に入り、景色は徐々に暗くなっていく。
「今から約30年前、私には彼女がいて、やがてそのいとしい女性と結婚することになり、すぐさま子供を授かった。警察官になることが夢でそれもすぐに叶った。疲れて家に帰ると妻と子が待っていた。あの時は幸せだった」
「なんか理想な家庭ですね・・・」
「あぁ、だがあの年に子供はある事件に巻き込まれこの世を去った。そして妻は子供を亡くしたせいか精神に異常をきたし自殺した」
「その事件って・・・まさか」
「口裂け女が日本中で噂になった年だ。私はもうすぐ定年で静かに仕事を終わらせたかったが・・・なんとも悲しい事だ、最後の最後に過去の恨みをはらすとは」
「でも、どうして岐阜県に?」
「私はその時、岐阜で警察官として働いていた。妻は岐阜県にある精神病院に入ったまた口裂け女の噂そしてあの女が精神病棟にいたという噂も岐阜県だ。おそらく妻は自殺なんかしてない、同じ病院にいた女に殺されたんだ」
「そんな・・・でも、どうして俺達まで?」
「これも憶測でしかないが、夏美ちゃん君はおそらく口裂け女にとって必要な存在なのではないかな?」
「な・・・なつみが?」
「あぁ、昔の口裂け女は子供ばかりを襲っていた。だが、今のあいつは大人ばかり狙っている。もしかするとそれには理由があるんじゃないかな?例えば一つの体では維持するのが難しく、体を転移していかないと生きていけないとか・・・」
「だから、大人の体を求め殺し続けている・・・そして、夏美はその転移が必要ではない体を持っている、つまり適合だから夏美を追っているってことですか?」
「うん、口裂け女が夏美ちゃんの居場所を感知できるのは、きっと2人の間で何らかの信号が出ているんだと思う」
「なんでよりによって夏美なんだ・・・」
「以前、君たちに紹介した霊能力を持つ女性がいただろ?彼女は君たちにこう言わなかったかい?」
『どうして連れて来たんだ?』と
「そういえば言っていたような・・・」
「それは口裂け女の事を意味しているのではなく、その火種の事となるとどうだ?おそらく夏美ちゃんの体にはもう一つの何かが乗り移っているのではないかな?」
「それって一体?」
「それが分かれば納得いくが・・・とりあえずどこに居てもあの女は追いかけてくるんだ。なら、すべての答えがあるかもしれない岐阜の精神病棟に行くしかないだろ」
車内は静まり、3人は地獄化としているかもしれない場所へと向かった。




