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赤いくち  作者: yiyi
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はじまり

「ねぇ~口裂け女って知ってる?」


「知ってるよ~てか、古くない?」


「じゃあ~口裂け女のキメ台詞言ってみてよ」


「そんなの簡単だよ~」



「わたし、きれい?・・・・でしょ?」


この言葉が流行したのは、1979年の春から夏にかけての事だった。

マスクをした若い女性が、学校帰りの子供に「わたし、きれい?」と訊ね、「きれい」と答えると「これでも?」と言いながらマスクを外し、耳元まで大きく裂けた口を見せ襲い掛かるという社会問題にまで発展した都市伝説。


パトカーの出動騒ぎや学校で集団下校が行われるなど、社会を巻き込んだ。

この出来事で口裂け女は存在しないかというとそうでもない。

1978年12月に岐阜県で農家のおばさんがトイレで口裂け女を見て腰を抜かした。

また1979年6月、25歳の女がいたずらで口裂け女の格好をし、包丁を持ってうろつくなど・・・

本物かどうかはわからないが少なくとも口裂け女らしき者は存在した。


口裂け女の特徴は地方によって異なったが、目はキツネのように細く、声は猫に似ていたり、身長は2m以上で、赤または白のコートを着ていて、髪は黒で長く、手には包丁や鎌、はさみなど凶器を持っている。

また口裂け女は三姉妹だったとか、走る速度はとても速く逃げ切れないそしてポマード犬が苦手など噂は多く広まっている。


その噂を追及すると口裂け女は日本のある地方に封印されていると言われている。

もし彼女が封印を解き、この世に再び舞い降りたとしたら人々はどうするだろうか・・・


口裂け女が封印されたのには理由があった。

1979年の夏の終わり頃・・・

彼女の噂がいつも通り世間を騒がしている中、一人の少年の前に口裂け女は包丁を持って現れた。

口裂け女はいつものように「わたし、きれい?」とその少年に訊ねた。

すると少年は「きれいだと思うよ」と答えた。

口裂け女は「これでも?」と言い、裂けた口を覆う大きなマスクを外した。

しかしその少年は顔色ひとつ変えなかった。

怯えない少年の顔の前に包丁を向けた。

それでも少年は逆に笑顔のままだった。


口裂け女は「おまえ、わたしが怖くないのか?」と訊ねた。

少年は言った。

「ぼく、生まれてすぐ目が悪くなって何も見えないんだ。だから、お姉さんがきれいかどうかぼくには分からないんだ。ごめんなさい」

その少年の言葉に口裂け女は涙を流し、その場を去った。

それ以来、口裂け女の目撃情報はなくなった。

おそらく彼女は目の見えないのにしっかりと生きている少年に何かを気付かされ、自ら自分自身をお寺の中で封印されたのであろう。

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