2.夏の憂鬱
創作さんに20のお題
L'Arc-en-Ciel編参加中
2.夏の憂鬱
蝉の声がうるさい。
「あっつ」
暑さに耐えきれず、布団をはねのける。
時計を見る。
7時半。
「夏休みなのに。こんなに早く起きてどうするんだよ……」
原因は前日の晩にちゃんとエアコンのタイマーをセットしなかった自分なので、
怒りのはけ口が見つからない。
そう。今日はもう夏休みも一週間過ぎた7月31日。
宿題なんかぎりぎりにやればいいと思っている俺は、毎年この時期はすることがなく暇だ。
でも前はいくらなんでもこんなに暇ではなかったはず…
暑さにぼーっとする頭をフル回転させて考える。
そうだ。前はあいつがいたんだ。
毎日あいつと仲良く電話したり、遊びにいったりしたんだっけ。
あいつがいないから、そんなこともできないのか。
だから暇なんだ。
なんで、あいつがいないんだろう。
頭がガンガンする。
よし、この話はあとで考えよう。俺の今の頭で到底答えのでる話じゃなさそうだ。
とりあえずベットから起きだし、エアコンをつける。
そして下へ降り、冷蔵庫を開ける。
「おはよう、朝ご飯は?」
「トーストだけ食べる」
「そうだ、花を買ってきなさいよ」
なんでだ……?
そう思いながら生返事をし、母からトーストを受け取り自分の部屋へと戻る。
そして……。思い出した。
あいつがいなくなったのは……。
ズットムカシニシンデシマッタカラダ。
ずっと前の今日。
近くの神社でやる夏祭りにあいつと行って…
帰ってくる途中の交差点で。
信号無視のトラックに轢かれてあいつは死んだんだ。
毎年忘れていて、思い出す。
そして俺は花を持ってあいつの墓参りに行くんだ。
これが俺の夏の憂鬱。