第五十話 シナノの居ない日々・・・
前回
シナノは、飛龍に思いを告げて、静かに永遠の眠りについた・・・
2010年12月8日
矢野海上警備会社、駆逐艦時風格納庫にて・・・
格納庫では海上警備会社の社員が忙しそうに、時波と時に物資を詰め込んでいた
駆逐艦時風、会議室
時風
「ソマリア沖へ海賊退治の任務に行くんですか・・・」
時波
「うむ・・・日本の大手海上運搬会社が我々の護衛を依頼したのでござる」
時
「本当は時風お姉様も一緒に行く予定だったのですが・・・お姉様の機関の調子が少し悪いので私達二人で行く事になったのです」
時風
「二人で行かせるのは少し心配ですけど・・・頑張ってください・・・」
時波
「分かっているでござるよ姉上」
時
「・・・ヒュウガさんと大和さんが心配ですけど・・・大丈夫なんでしょうか」?
時風
「・・・あの後からこなくなっちゃったからね・・・私もやっと立ち直れたんですけど・・・」
時波
「・・・人間はいずれ死ぬる者・・・シナノ殿はそれが早かったのでござる」
時
「でも・・・やっぱりシナノさんが居ないと・・・うっ・・・ひっく・・・」
時はシナノの事を思い出して泣き出した・・・仲が良かったシナノはもういないのだ・・・
時風は時を抱きしめて宥めた・・・だが、時風の目にも涙があふれていた
時波
「・・・大和殿とヒュウガ殿は何をしているのでござろうか」?
大和・ヒュウガの家
大和の部屋では大和が布団にくるまっていた
大和
「シナノ・・・なんで・・・なんで・・・くっ・・・」
大和は一人で泣いていた・・・大切な妹が死んだ・・・この世でたった一人の大切な妹が死んだ・・・
大和はまだその事実を受け止められなかった・・・
大和
「うっ・・・シナノ・・・そうだ・・・」
大和はベットからでると、備前長船を持ってベランダに出た、外の天気は曇っていた・・・
ヒュウガ
「兄さん・・・」
ベランダに出たらヒュウガが和弓を持ってベランダに居た
大和
「ヒュウガ・・・どうしてここに」?
ヒュウガ
「・・・兄妹での約束を果たそうと思ってね・・・兄貴は」?
大和
「俺も同じ事考えてた・・・一人でやるより、二人でやる方がシナノも喜ぶだろう・・・」
ヒュウガ
「・・・それもそうだな・・・じゃあ、やりますか」?
大和
「あぁ・・・」
そう言うと、大和は備前長船を鞘から抜き、ヒュウガは和弓に弦を張った
・・・そして、二人はまったく、一寸の狂いも無く、踊り始めた
・・・数年前・・・
大和6年生、シナノ・ヒュウガ4年生の時に兄妹はこんな約束をしていた
シナノ
「ねぇ、お兄ちゃん、ヒュウガ」
大和
「何だい、シナノ」?
ヒュウガ
「なんかあったの姉さん」
シナノ
「約束してほしい事があるの」
大和
「ん?どんな約束だい」?
シナノ
「もしね・・・もしの話しだよ?私達の兄妹の誰かが・・・事故か何かで死んだら・・・その誰かの為に
舞うって約束」
ヒュウガ
「なんだ?その約束」?
シナノ
「踊りはね、私が考えてきたから覚えてね」
大和
「えっ!?もう踊るの決定なの」?
ヒュウガ
「まぁ・・・事故で死ぬなんてそんな事はありえないけどね」
シナノ
「きっとだよ!絶対約束を守る事」!!!
シナノと交わした約束を覚えていた二人は、ベランダに出て、シナノから教わった舞いを踊った
大和
「・・・(シナノ・・・見てるか・・・)」?
ヒュウガ
「・・・(姉さん・・・見ていますか・・)」?
大和とヒュウガはお互い、涙を流しながら舞いを踊っていた・・・
大切な兄妹の為に・・・もう居ない兄妹の為に・・・
しばらく舞いを踊っていると曇っていた空が晴れて来た
それを見て、大和とヒュウガは舞いを止めた
大和
「シナノ・・・見ててくれたか・・・」?
ヒュウガ
「姉さん・・・」
大和
「シナノは・・・もう居ないんだ・・・それを受け止めて・・・シナノの生きるはずだった人生を・・・俺達で生きていこうな・・・ヒュウガ」
ヒュウガ
「・・・あぁ・・・分かったよ兄貴」!
大和
「それじゃあ・・・時風達に会いに行くか」?
ヒュウガ
「ちょっと待ってくれ、準備してくる」
大和とヒュウガは立ち直った、シナノの分まで自分たちがその人生を生きようと・・・
次回へ
ご意見ご感想お待ちしております
作者
「本編が大変だなこりゃ・・・」
シナノ
「そだね・・・」
作者
「って!?シナノいつの間に」!?
作者の隣に、頭上に丸い輪が着いているシナノがいた
シナノ
「もう本編で、出れないから後書きにでも出ようかと・・・」
作者
「じゃあ、架空兵器達の戦史からこの二人でも呼びますか・・・」
備中
「呼んだ」?
備後
「・・・お久しぶりです、シナノさん」
架空兵器達の戦史で、戦死した備中と備後登場
シナノ
「お久しぶりだね備中さんと備後さん」
備中
「貴女もこっちに来たの」?
備後
「・・・逝く者達が集う後書きに」
作者
「怖い事言うな・・・」
備中
「時風ちゃんの所も出ちゃったか・・・」
備後
「・・・いろんな人からシナノさんの復活を望む声が上がってますが」?
作者
「いや・・・もう本編ではシナノの遺体は火葬したし・・・」
シナノ
「私はここでお兄ちゃんや時風ちゃん達を見てるからいいけど・・・」
作者
「・・・(すまんな)」
ではこの辺で・・・