第四十九話 飛龍とシナノ、愛するもの達・・・
前回
シナノは病院に運ばれて治療を受けたが、闘気がシナノの余命二ヶ月と宣告されてしまった
シナノ誘拐事件から二週間後
病院内病室
シナノ
「・・・・・・・・・」
病院のベットで一人空を眺めているシナノ、そこへ・・・
飛龍
「こんにちは~」
シナノ
「あ、飛龍君・・・」
飛龍が病室に入ってきた
飛龍
「体調はどうですか」?
シナノ
「大丈夫だよ・・・って言ったら嘘になるかな・・・食欲が最近ない・・・」
飛龍
「そうですか・・・」
シナノ
「そう言えばお兄ちゃんとヒュウガは」?
飛龍
「多分・・・マスコミから逃げていると思いますよ」
その頃の大和達
マスコミ1
「ねぇ、教えてくれてもいいでしょ?大和君とヒュウガ君」?
マスコミ2
「シナノちゃんがさらわれたのはやっぱりお父さんの責任」?
マスコミ3
「少しぐらい話してくれよ大和君にヒュウガ君~日本の皆が知りたがっているんだよ」?
大和
「・・・今帰宅途中なんで・・・取材は父だけにしてくれませんか」?
ヒュウガ
「・・・正直迷惑なんで・・・あ、正晴さん」
大和達の周りにマスコミが群がっていたがヒュウガが正晴を見つけた
正晴
「お迎えに上がりました」
大和
「ヒュウガ、急いで乗るぞ」
ヒュウガ
「了解」
マスコミ4
「ねぇ大和君達、黙ってないで少しぐらい教えてもいいじゃないか」?
マスコミの質問攻めを逃げて車に乗り込んだ、車はそのまま発進した
ふたたび病院視点
シナノ
「やっぱり会社の株下がっちゃったかな・・・」?
飛龍
「大和の話では闘気さんはあまり気にしていないと言ってましたよ」?
シナノ
「でも・・・」
飛龍
「もう会社の事は心配しなくていいですから寝てていいですよシナノさん」
そう言って、飛龍はシナノに布団を掛けた
シナノ
「・・・うん・・・ありがとう」
飛龍
「じゃあ、僕はこれで・・・」
そう言って飛龍が立ち去ろうとした時
ガシッ!
シナノが飛龍の服の裾を掴んだ
飛龍
「ん?・・・どうかしました」?
シナノ
「・・・一つだけ聞いてほしい事があるの」
飛龍
「何ですか」?
そう言って飛龍が椅子に座った
シナノ
「・・・私は・・・貴方の事が・・・好きです」
飛龍
「へっ」!?
突然のシナノの告白に飛龍は驚いた
飛龍
「じょ、冗談は止めてくださいよ、ハハハッ・・・」
シナノ
「冗談でこんな事を言えると思うの」?
飛龍
「いえ・・・」
シナノ
「・・・飛龍君がいつまでたっても告白してくれないから・・・私からしちゃった」
飛龍
「えっ!?・・・ばれていたんですか」?
シナノ
「まぁね・・・」
両方の顔は真っ赤である
飛龍
「・・・僕も・・・貴女の事が好きです・・・付き合ってくれますか」?
シナノ
「喜んで・・・」
そう言ってシナノは起き上がって飛龍の唇に自分の唇を押し付けた
飛龍
「っ」!?!?!?
シナノ
「・・・・・・・・・・」
長くて短い数秒間であった・・・
二人は唇を離した
飛龍
「・・・・・・・・・・」
飛龍には突然の事だったので少し混乱しているようだ
シナノ
「・・・ありがとう飛龍君・・・さようなら」
飛龍
「へっ?・・・それってどういう・・・」?
飛龍がシナノの言葉で飛龍が我に帰って、シナノを見た
シナノ
「・・・・・・・・」
シナノは顔に小さな頬笑みを浮かべて目を閉じていた・・・
飛龍
「し、シナノさん?・・・シナノさん」!?
飛龍がシナノを揺する、だが反応が無かった
飛龍
「シナノさん!!!だ、誰か!誰か来てくれ」!!!
飛龍が急いで病室を出て、医師を呼んだ、すぐさま医師が駆けつけシナノの脈を取ったが・・・
医師
「残念ですが・・・」
医師は首を横に振った・・・
飛龍
「そ、そんな・・・シナノさん・・・クッ・・・」
飛龍はその場で泣き崩れた・・・あの時のキスは別れ際のキスだったのだ・・・
最後に自分への思いを告白して・・・愛する人と一緒にいられた最後の時間・・・
飛龍はそう思うと・・・涙があふれ出た・・・
2010年、11月30日、午後18時30分24秒、矢野家長女、シナノ・・・永眠・・・
この事は大和・時風達にすぐ伝わり、シナノは無言のまま家に帰宅した・・・
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シナノ・・・