↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

3000文字で、小説家を目指すの甘えですか?

作者: 奥村 俊
掲載日:2026/08/31

佐藤(さとう) 武(たける)は、昔から何をやっても続かない性格、全部がダメで自分の人生なんか中途半端で終わると思っていた。


(友だちもろくにできやしない、我ながらホンマに終わってんな……)


ピピピピピピピピ――

時計のアラーム

そろそろ大学に行かないといけない時間、

あまり偏差値の高い大学ではないが、

大学卒というブランド名を取りに行くために通っている。

そして、その日常を進めるアラームがまた朝になってから、鳴り出した。


♢講義

「地球の環境において、ダイオキシンとは……」

世界で一番長い時間、ただ楽と聞いたから履修登録(りしゅうとうろく)を済ませただけの講義。


「そして、焼却の過程で……」

目が段々とたるんで、視界がぼやける。

気が付いたら、講義は終わっていた。


さっきまで遅かった時間は、

あっという間に加速をし、

自分以外の存在が二倍速に見える。


この謎の現象は何だろうか……


「佐藤君、今日サークルきますか?」

 後ろから聞き覚えがある声がした。


「会長……予定も何もないので参加する予定です」

「良かった!!」


話かけてきたのは、影山(かげやま) 雫(しずく) 執筆サークルの会長をしている。

レンズの大きい眼鏡に、性格とは真反対のピンク髪をしているのが特徴だ。

髪色は、友人から無理やりされたと笑っていた。

なんとも、彼女らしいと言えば、彼女らしいのかもしれない。


「あ~そろそろ、次の講義に行くからまた放課後ね」

ピンク色に染めた髪をなびかせ、彼女は颯爽(さっそう)と走って行ってしまった。


♢


放課後

123号室へ、長い廊下を歩いて向かう。

ここは、普通の講義でも使われる教室、部員数が少ない執筆サークルはまだ自分たちの活動部屋を貰えていないのだ。

そこで、普通の教室を使うという、何とも悲しいことをしている。


「お疲れ様」

「お疲れー」

「お疲れ様です」


このサークルには嫌気がさしてならない。

たるんだ空気感、そして……

「タケルン、何で怖い顔してるんだよ~」

「もともと、この顔です」

「ちぇ、可愛げのないヤツ」


僕の頬に人差し指をぐいぐいと押しつけくるこの女は、

四つ上で一浪目の先輩、秋山(あきやま) 実(みのる)。

黒髪ボブで、いつも何かしらの研究に没頭している。

はっきり言って、苦手な人間。


浪人した理由も、タイムマシンを作っていたら履修登録(りしゅうとうろく)をし忘れたと話していた。

そんなことで、執筆サークルのメンバー、僕を合わせて3人が集まった。

少ないと思うが、これが現実だから仕方がない。

今日も僕たちはこの人数で活動を続けている。

思い返せば、あの時の勧誘を断ればよかったのに、僕のバカ。


♢★♢★♢★♢★♢★♢★♢★♢★


つい一年前の春、入学式を終えた僕は、サークルの勧誘活動を見ていた。


『テニスサークルどうですか?』

『いやいや、大学は笑いあってこそでしょ!お笑いサークル見てってや』

『茶道部、日本の伝統を肌で体験しよ!』


どのサークルも、僕の心には響いてこなかった。

というよりかは、興味がなかった。

そんな時に、木の下に奴がいた。

秋山 実、彼女は僕を見るなりニコッと笑顔を向け、変な装置に身体をねじ込んだ。

『『少年、いいところに来てくれた!これは、宇宙が私たちを結びつけるために与えてくれた機会なのだよ。機械だけにね、ワハハハハ』』

何を言っているのかが分からなかった。

多分、誰だってコイツが何を言っているのか、理解できないと思う。


「ちょっと、あなたは誰ですか?やめてください」

「いいから、いいから。この中に入って」

そして、強制的にドラム缶ほどのスペースの、乗り物に押し込まれた。

中は暗くて何も見えない、そして、何も説明もなく外側から鍵を掛けられた。

「少年!歯に力を込めて、そのレバーを私の声と同時に押し込むんだ」

この声に、皆の注目は集まった。いや、それどころではない。

大学の教授たちまでが押し寄せて、なんだなんだと覗きに来たのだ。

「じゃあ行くぞ!3、2、1、GO」

彼女の掛け声のもと、僕は力いっぱい前にあるレバーを引っ張った。


ボスン――

すかしっぺのような音だけが響いた。


「うわ~~~また失敗か~~~」


彼女の残念そうな声だけが、暗いスペースの中で聞こえた。

秋山が、外側から入り口のドアを開こうとした時、もう一つのレバーに僕の足が当たった。

そのレバーは、奥に押し込まれると……


ドン――


と、衝撃波が体を襲う。

そこからの意識はない。

次に意識が戻ったのは、自分の部屋だった。


♢


ピピピピピピピ――

いつもと変わらない時間。

(なんで僕は自分の部屋に?)

(さっきの、変な女は?)

その時は、なにが起こったのか理解ができなかった。

それは、後になっても分からない。

その不思議な体験から、彼女たちへ接触を図るようになったのが、サークルへ入るきっかけになった……


♢


僕は大学に着くなり、あの女、秋山を探した。

「見つけたぞ!この前はよくもやってくれたな」

「この前?私と君が会うのは今日が初めてだが、誰かと人違いしていないか?」


そのしらばっくれた顔は、見間違えることは絶対にありえない。

そもそも白衣を着た人間は、この大学には浮きすぎている。

「こんな白衣を着てるやつ、見間違えるほど僕はバカではない!」


彼女との口論は、10分も続いた。

そこで終止符を打ったのが、影山 雫。

「ちょっと、ちょっと。二人とも落ち着いてください」

「しずく~コイツ変なんだよ。急に、怒ってきて怖いよ~」


(?!)

(怖いのはこっちだっつ~の、急に変な乗り物に押し込まれて)

そこから雫が双方の話をまとめてくれた。


「ふむふむ、佐藤さんは雫の変な研究材料に使われて怒っていると……」

「そうそう」

「雫はそんな研究に巻き込んだ覚えがないけど、タイムマシンを研究しているのは事実……」

「これは、どういうことだ~」

雫は双方の意見をまとめたのはいいが、脳内がパンクしそうになっている。

最終的に2時間が経過した。

この長い戦いは、結局……

「多分、夢じゃないかな……そうだよ‟夢“だ」

雫のあっけない言葉で幕を閉じた。

「わかりました。それで、手を打ちましょう」

内心、納得なんかしていなかった。

あれは確かに現実だったから。

けどそうしないと、いつになってもこの話は終わらない。

僕は歩いて去ろうとした。

「ちょっと、ちょっと待って!!!!!」

「何ですか?」

「サークルまだ探してる?よかったら、執筆サークル入らない」

不思議な話かもしれないが、これが彼女たちとの出会い。

そして、僕が一番後悔している経験だ。

あの時、断っとけばよかった。

♢


『今日はこの辺でペンを置こうかな』


僕は執筆サークルに入ってから、小説家を目指すようになった。

多分、雫の言葉が大きい。

文字を書く楽しさを知ってしまったからだろう。

しかし、小説家を目指すのが、長続きするか分からない。

文字数だって3000文字程度しか書けていない。

(はぁ~、我ながら情けない)


とりあえず、この学校で起こった不思議な体験を文字で書いてみた……

この後の展開は、僕でも理解できない。

「まぁ、小説なんか書いたことないし、初めはこんなもんだろう」


「どれどれ……」

僕が椅子に座っている背後から、小説を二人が覗き込んでくる。

「私、こんな変な女じゃないんだけど!!」

秋山が顔を赤くして訴えてくる。

(いや、十分変だろ)


なんだかんだ言って、彼女たちと会話するのも楽しいのかもしれない……


ピピピピピピピピ――

遠くから、自分の部屋に置いてある時計のアラーム音がした。

「何か聞こえない?」

僕は首を横に振り向いた。

けど、そこには誰一人の姿も…………ない


ピピピピピピピピ――

最後まで読んでいただきありがとうございます!

「この後の展開気になる!」

「続き読みたい!」

 と思ったら、☆マークで作品応援お願いいたします!

 リアクションやブックマークなども残していただけると嬉しいです!

 これからもよろしくお願いします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。