4.退場
「黙って見ていれば好き勝手しやがって! 殿下への無礼決して許されると思うな!」
将軍の静止を無視して飛び込みフレアを蹴飛ばしたのはマリガン・ナックルパート。
彼はチャールズの幼馴染にして親友である。将来は近衛騎士となり彼を護ろうと決めていた。
敬愛する殿下いや親友を傷つけられた彼の堪忍袋がついに切れた。
マッチョな男に横合いから蹴りつけられフレアは無様に転がる。
衛兵がフレアとマリガンを取り押さえなければフレアは殺されてもおかしくなかっただろう。
「その痴れ者を殿下から遠ざけよ」
ようやく将軍が出した指示に衛兵に無理やり引き立てられフレアはホールの出口引きずられていく。
将来の近衛騎士隊長とすら噂されている男の蹴りを横合いから食らったフレアは自力では立てない位のダメージを追っていた。
(もう終わり。この後は処刑されるかよくて幽閉だろう)
朦朧とした意識の中、やり残したことが無いか考える…もう指1本動かすくらいしか出来ないけど…
すっかりグロッキーなことに加えて公爵令嬢という立場にまだ遠慮があるのだろうか、口は塞がれていないしそれほど強く引っ張られているわけでもない。
フレアは残りの体力を振り絞ってチャールズのほうに向きなおると中指を立て吐き捨てた。
「弱虫王子が命拾いをしましたわね! もし次、戦うことがあればこの鮮血の魔女が5分いや3分で血の海に沈めて差し上げますわ!」
呆然とする殿下、対照的なのが衛兵に抑えられていなければ今にも殺しに来そうな目をしたマリガン。
そして視界の隅に収まったカリーナは熱狂が収まっており、死者を見送るような悲しい目でこちらを見ていた。
(次に戦うことなんてあるわけがない…)
混濁した意識の中、フレアはこの世界の父親のことを思い出していた。
転生をする前には生まれた時から父親はいなかった。
だから記憶を引き継いでも実感は湧かないかと思っていた。
だがわがままだったフレアにとても優しかった父親の記憶が逆に鮮烈に感じられた。
(追放どころか処刑かな…パパ悲しむかな…パパに罪が及ばないといいな)
そんなことを思いながらフレアは気を失った。




