私は銃を撃ち、10年前の弟を殺した(上)
「Z国とY国の戦いはいつ終わるんだ、クソ、痛い!」
一人の兵士が、大雪に埋もれた廃墟から這い出てきた。
「なんだよ、ただ爆撃で気を失ってただけなのに、お前らなんでみんな死んでるんだよ。」
辺りを見渡すと、応えてくれるのは、周りに横たわる戦友の冷たい死体だけだった。
「お前らがもう帰れないんなら、せめて遺品を持って帰ってやるよ。」
そう言って、彼は戦友の厚い上着を脱ぎ始めた。
「寒い、本当にありがとう。最後まで吹雪から守ってくれて。生き残ったのは俺だけなんだ——」
どこへ行けばいいのか、兵士自身も分からなかった。初めての戦場だった。司令部からの連絡は途絶えたままで、きっと殲滅されたのだろう。
家に帰ろう
「じゃあ家に帰ろう。母さんが待ってるんだ。戦争なんてバカどもにやらせろ!」
彼が逃げ出そうとした瞬間、森の中から身の毛もよだつ音が聞こえてきた。
敵の足音だ。
彼は大きな木の陰に隠れた。幹は太く、体を隠すには十分だ。こんな木は森中に幾千もあった。
そっと首を出して、二人の敵の顔を確認した。一人は彼と同じくらい、十七歳前後。もう一人は年配で、三十歳くらいに見えた。二人は生き残りがいないか点検に来たようだ。
「ひどいな、こんなにたくさん死んでる。」十七歳の少年が、血に染まった雪を見てつぶやいた。雪はバラの花畑のようだったが、残酷で息苦しい美しさだった。
「気をつけろ新兵!こいつらは仮死かもしれない。近づいたら一緒に死ぬと言い出すぞ。離れろ。」中年の男が言った。
「こんな奴が、俺に反抗できるわけないだろ?」少年は一つの死体を指した。若い体はもう息絶え、二度と目を覚ますことはない。地面に横たわる死体は、みな彼と同じ年の少年たちだった。
訓練すらまともに受けていない少年たちが、一番輝くべき年齢で、戦争のミートグラインダーに放り込まれたのだ。
「みんな俺と同じ少年だ。悪い気なんてない。ただ強いられたか、利用されただけだ。そんなに悪意を持って見るなよ。」少年が中年の男に言った。
中年の男は黙っていたが、数秒後に言った。
「お前がこの世界の悪意を知る瞬間は、お前が死ぬ時じゃない。」
二人の会話は、兵士にすべて聞かれていた。嘆いている暇はない。見つかれば確実に死ぬ。
投降するか?それでも捕まり、結局死ぬだけだろう。それじゃ母さんに会えない。
どうせ武器もないし、人を傷つける気もない。素直に出て頼めば、見逃してくれるかもしれない。
きっと そうだろう。
「おい!武器も持ってないし、戦友もいない。ちょっと待ってくれ——」
「バァン!」
弾丸は兵士の足元に着弾した。中年の男は警戒心が強く、即座に銃を構えた。外した一発は、警告撃ちだった。
「待て。口調からすると、お前もZ国の人間か?」少年が聞き、中年の男に銃を下ろすように合図した。
「うん。故郷はZ国だけど、小さい頃からY国で育った。今回の戦争でここに派遣された。家に帰りたい。人も殺してないし、一発も撃ってない。爆撃で気を失ってただけなんだ……」
兵士の声は震えていた。死にたくない、家に帰りたい、その気持ちでいっぱいだった。
「大丈夫。こっちに来て一緒に行こう。連れて帰る。説明すれば家に帰れる。」少年はそう言い、手を差し伸べた。
目の前の少年は、兵士と同じ年だ。兵士は信じた。この少年が故郷まで連れて帰ってくれると信じて、彼は歩み寄った……
彼の体には、まだ戦友の軍用コートが羽織られていた。
二人がすぐそばまで近づこうとした時、中年の男は再び銃を構えた。




