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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
サイドストーリー:騎士の誓い、愛の誓い

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第一部:改革の光と、旧体制の影


ニホン国でニイガタ建都の槌音が響いていた頃。アストリア王国の王都は、静かだが確かな変革の時を迎えていた。


稀代の奸臣バルドル元宰相が捕らえられ、その罪が白日の下に晒された王都では、あの戦いの後、国王アルフォンスの名において、大規模な粛清と改革が行われていた。その実質的な指揮を執っていたのは、新たな宰相に任命された元王国騎士団長ダリウスだった。


彼の剛腕のもと、バルドル派の腐敗貴族たちは次々とその地位を追われ、不当に課せられていた重税は撤廃された。民衆は、ダリウスを「鉄血宰相」と呼び畏れ、そして熱狂的に支持した。


その父の元で若き騎士団長として、軍の再編という重責を担っていたのが、アリア・フォン・ローゼンベルクだった。


その日の王宮評議会は荒れていた。


「アリア騎士団長! あなたの提案は、到底承服できかねる!」


甲高い声で、アリアの提出した予算案に反対の声を上げたのは、旧バルドル派の筆頭格であるゲルハルト公爵だった。彼はバルドルの失脚後も巧みに立ち回り、その権力基盤をいまだ維持している。


「辺境要塞の維持費を削減し、その予算を王都の治安維持部隊の増強に充てる、だと? 馬鹿げている! 魔族との和平などいつ覆されるか分からん! そして何より、あの『ニホン国』! 元は我らが飼っていた、ただの反逆者ではないか! 奴らが、いつ我らに牙を剥くとも限らんのだぞ!」


その言葉に同調する古い貴族たちが次々と頷く。


だが、アリアは冷徹なまでに落ち着き払っていた。彼女は立ち上がると、一枚の報告書を皆の前に提示した。


「公爵。これが、ここ半年の国内の犯罪発生率の推移です。ご覧の通り、旧バルドル派の貴族たちが、不当に蓄えた富を没収された領地において、盗賊行為や暴動が急増しています。現在の我が国の最大の脅威は、国境の外にはありません。内にあるのです」


彼女はゲルハルト公爵を、射抜くような鋭い目で見つめた。


「そして、ニホン国は我らがアストリアの対等な同盟国です。彼らが我々の農具を改良し、もたらしてくれた新たな食文化が、どれだけ我が国の民の飢えを救っているか。ご存じないとでも?」


アリアの理路整然とした反論に、公爵は顔を真っ赤にして押し黙った。


会議はアリアの辛勝に終わった。だが彼女の心には、改革のあまりの困難さが重くのしかかっていた。腐敗は、彼女が思うよりもずっと深く、この国の根を蝕んでいた。


執務室に戻る途中、アリアは城の中庭を横切った。そこで彼女は見慣れた人影を見つけた。


ガイだった。


彼はあの戦いの後、与えられた全ての勲章と貴族としての地位を返上した。そして自らを罰するかのように一介の平騎士として王都の治安維持部隊にその身を置いていた。


その日、彼は市場で起きたチンピラたちの喧嘩を仲裁しているところだった。かつての彼ならば、その圧倒的な力で両者を叩きのめしていただろう。だが、今の彼は違った。


「まあ、待て。お前たちの言い分も聞こうじゃないか。腹が減ってるなら、俺がパンでも奢ってやる。だから剣を収めろ」


彼は、粘り強く一人一人に語りかけていた。その腰の低い誠実な態度は、いつしか荒くれ者たちの心をも解きほぐしていった。やがて、彼らはバツが悪そうに剣を収め、互いに頭を下げて謝罪を始めた。


しばらくして、今度は荷馬車の車輪が壊れて立ち往生している老婆を見つけると、彼はその巨大な馬車をたった一人で軽々と持ち上げ、車輪の修理を手伝っていた。その姿に周りの民衆から喝采が上がる。


今の彼には、かつてのような「勇者」の輝きはない。だがその代わりに、泥にまみれ民と共にあり、その小さな平和を守ろうとする一人の真の「騎士」の姿がそこにあった。


その背中を、アリアは柱の影から静かに見つめていた。その表情は、騎士団長としての厳しいものではなく、どこか誇らしげで、そして微かに切なげな一人の女性の顔だった。


あれあれあれあれ |´-`)チラッ


明日も19時に更新します!

どうぞよろしくお願いいたします。

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