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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第12章:トーキョー籠城戦

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万策尽きた戦場に舞い降りたのは!?

消耗戦が続いています。


籠城戦が始まって、一週間が過ぎた。


街の防壁は、もはや満身創痍だった。俺たちの矢も、尽きかけている。そして何より、兵士たちの疲労は、ピークに達していた。


そして、ついに、その時が来た。


「正門に、敵の魔術師団が集中! 何か、巨大な魔法を発動させようとしています!」


見張りの悲鳴のような報告。俺が望遠鏡を覗くと、数十人の魔術師たちが巨大な魔法陣を形成し、その魔力を一つの杖に集中させているのが見えた。その杖を握るのは、王国主席魔術師の称号を持つ、老人だ。まずい。あれは城門を破壊するためだけの戦略級の破壊魔法だ。


「総員、正門から退避! 衝撃に備えろ!」


俺の叫びと、魔術師が杖を振り下ろすのが、ほぼ同時だった。


世界から、音が消えた。


次の瞬間、閃光が迸り、轟音と共に魔鋼石でできた巨大な正門が木っ端微塵に吹き飛んだ。ぽっかりと空いた絶望的な大穴。そして、その向こうから鬨の声を上げ、王国軍の重装騎士団が濁流のように、なだれ込んできた。


「……ここまで、か」


俺は、奥歯を噛み締めた。


だが、その時、俺の隣で、ずっと戦況を見つめていた人影が、動いた。


「――まだだ!」


凛とした声が、俺の隣で響いた。そこに立っていたのは、俺が預けた聖剣を手に決意の表情を浮かべたガイだった。


「ケンタ! お前は、皆を率いて、地下通路から西の森へ逃げろ! ここは、俺が喰い止める!」


「ガイ!?」


「俺は、もう、人形じゃない。俺は、俺の意志で、守るべきものを見つけた。……行けぇ!」


ガイは、そう叫ぶと、一人、櫓から飛び降り、殺到する騎士団の前に仁王立ちになった。


「……俺は、勇者ガイ! この先へは、一歩も通さん!」


彼の体から、今度は禍々しい気ではない、純粋な黄金の闘気が天を突くほどに立ち上った。



だが、多勢に無勢。


覚醒したガイの力は凄まじかった。だが、彼の奮戦も、無限に湧き出る兵士たちの前には長くは続かない。俺たち民兵も、必死に応戦した。ボルグが、レオが、ギデオンが、血反吐を吐きながら、故郷の土を踏ませまいと、絶望的な戦いを繰り広げる。街は、炎と、血と、悲鳴に包まれた。俺たちの楽園が、地獄へと変わっていく。


俺は、司令塔を降り、自らも剣を取ってシェルターへと続く、最後の防衛線に立っていた。


もう、万策尽きた。


リリアーナと、アラタの顔が、脳裏をよぎる。


すまない。俺は、結局、何も……。


俺の目の前に、王国軍の騎士が、その剣を振り上げた、その時だった。


空が、にわかに、かき曇った。


いや、違う。


空を、無数の巨大な影が覆い尽くしていたのだ。


「……あれは……」


ドラゴン。


だが、一匹ではない。十、二十……百を超える、ドラゴンの大群。そして、その先頭を飛ぶ、一際巨大な黒竜の背に立つ見慣れた人影。


「――待たせたな、友よ!」


ゼオンの声が、戦場に響き渡った。彼は一人ではなかった。彼の後ろには、武装した魔族の精鋭部隊が、ずらりと控えている。


「我が同胞を、これ以上、好きにはさせん!」


次の瞬間、百を超えるドラゴンたちが、一斉に炎のブレスを吐き出した。その劫火は、トーキョーの街ではなく、街を包囲していた、王国軍の後方部隊と補給部隊、そして、投石機群を正確に、焼き尽くしていった。


戦場の全ての人間が、天から舞い降りた、圧倒的な破壊の光景に、言葉を失っていた。


ゼオン様ーーーーー!!


明日も19時に。

よろしくです!

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