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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第11章:月下の救出劇

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王城に眠る恩人を救え!元勇者との決死の共闘

『アリア救出作戦』発動です!


数日後の夜。


俺たちは、闇に紛れて、王都へと潜入した。メンバーは、俺、ガイ、ボルグの息子をはじめとする五名の精鋭。総勢七名の、決死隊だった。


ガイの先導は、完璧だった。俺たちは、彼の記憶だけを頼りに、下水道の暗渠を抜け、城壁の死角にある、古い水路から、城内への侵入に成功した。


「……南塔は、あそこだ。警備が、最も厳重な場所でもある」


月明かりに照らされた、天を突くような塔。その最上階に、アリアはいる。


俺たちは、息を殺し、影から影へと、塔を目指した。だが、塔の入り口で、俺たちは絶体絶命の窮地に陥った。塔を守る衛兵たちの指揮官が、そこに立っていたからだ。その顔を、俺たちは誰もが知っていた。


「……ダリウス、殿……」


ガイが、絶望的な声で呟いた。王国最強の騎士。彼がここにいる以上、突破は、不可能だ。


だが、ダリウスは、俺たちに気づくと、剣を抜く代わりに、静かに人差し指を、自らの口の前に立てた。そして、彼は衛兵たちに聞こえるように言った。


「……異常なし! お前たちは、東側の巡回を強化しろ!」


衛兵たちを意図的に遠ざけたダリウスは、俺たちの前に、一人、進み出た。


「……待っていたぞ、ケンタ殿。お主らが来ることは、分かっていた」


「ダリウス殿……なぜ」


「騎士の忠誠は、国に捧げるものだ。王ではない。ましてや、国を私物化する宰相などでは断じてない」


彼の瞳は、深い悲しみと、鋼の決意に満ちていた。


「バルドルの非道は、もはや、目に余る。我が娘アリアを、無実の罪で投獄し、国を二分する内乱を起こそうとしている。こんなものが、俺の愛したアストリアの姿であっては、断じてならん。……俺も、連れていけ、ケンタ殿。俺の剣と、俺の部下たちの命、お主に預ける」


彼は、この日のために、信頼できる部下だけを、この塔の警備に集めていたのだ。



ダリウスの手引きで、アリアの救出は、呆気なく成功した。


だが、バルドルの密偵網は、俺たちの動きを、完全に察知していた。俺たちが、アリアを連れて塔を出た瞬間、城中にけたたましい警報の鐘が鳴り響いた。


「侵入者だ! 南塔を取り囲め!」

「裏切り者、ダリウスを捕えろ!」


城内は、一瞬にして、蜂の巣をつついたような騒ぎになった。


「行くぞ!」


ダリウスの号令一下、彼に従う数十名の騎士たちが、一斉に剣を抜いた。


「アリア様をお守りしろ! 我らが、道を開く!」


ガイも聖剣を抜き放ち、その隣に並ぶ。


「もう、俺は、誰の駒でもない! 俺の剣で、道を切り拓く!」


俺たちは、ダリウスとガイを先頭に、城門目指して決死の突撃を開始した。壮絶な脱出劇の始まりだった。城門で、ついに俺たちは、分厚い兵の壁に完全に包囲された。もはや、これまでか。


俺は、懐の念話石を、強く握りしめた。


『ゼオン! 聞こえるか! 頼む!』


その瞬間、王都の上空に、巨大な黒い影が、音もなく、出現した。


「……な、なんだ、あれは!?」

「ド、ドラゴン……!?」


月を背に、巨大な翼を広げる黒竜。その背には、仁王立ちになる元魔王の姿。ゼオンは、攻撃はしなかった。ただ、そこに、存在するだけで、王国軍の兵士たちを、絶対的な恐怖の底に叩き落とした。その一瞬の隙を、俺たちは、逃さなかった。


「今だ! 突破するぞ!」


俺たちは、恐慌状態に陥った兵士たちの壁を突き破り、王都からの脱出に、成功した。



傷つきながらも、トーキョーに帰還した俺たち。


その隊列には、救出されたアリア、そして、王国最強の騎士であるダリウスとその部下たちが、新たな仲間として加わっていた。


バルドルに、政治的にも軍事的にも大きな一撃を与えた俺たちは、万全の態勢で王国の総力を挙げた「トーキョー籠城戦」を、迎え撃つことになる。


最強の騎士ダリウスも仲間になりました。


明日も19時に。

どうぞよろしくお願いいたします!

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