王城に眠る恩人を救え!元勇者との決死の共闘
『アリア救出作戦』発動です!
数日後の夜。
俺たちは、闇に紛れて、王都へと潜入した。メンバーは、俺、ガイ、ボルグの息子をはじめとする五名の精鋭。総勢七名の、決死隊だった。
ガイの先導は、完璧だった。俺たちは、彼の記憶だけを頼りに、下水道の暗渠を抜け、城壁の死角にある、古い水路から、城内への侵入に成功した。
「……南塔は、あそこだ。警備が、最も厳重な場所でもある」
月明かりに照らされた、天を突くような塔。その最上階に、アリアはいる。
俺たちは、息を殺し、影から影へと、塔を目指した。だが、塔の入り口で、俺たちは絶体絶命の窮地に陥った。塔を守る衛兵たちの指揮官が、そこに立っていたからだ。その顔を、俺たちは誰もが知っていた。
「……ダリウス、殿……」
ガイが、絶望的な声で呟いた。王国最強の騎士。彼がここにいる以上、突破は、不可能だ。
だが、ダリウスは、俺たちに気づくと、剣を抜く代わりに、静かに人差し指を、自らの口の前に立てた。そして、彼は衛兵たちに聞こえるように言った。
「……異常なし! お前たちは、東側の巡回を強化しろ!」
衛兵たちを意図的に遠ざけたダリウスは、俺たちの前に、一人、進み出た。
「……待っていたぞ、ケンタ殿。お主らが来ることは、分かっていた」
「ダリウス殿……なぜ」
「騎士の忠誠は、国に捧げるものだ。王ではない。ましてや、国を私物化する宰相などでは断じてない」
彼の瞳は、深い悲しみと、鋼の決意に満ちていた。
「バルドルの非道は、もはや、目に余る。我が娘アリアを、無実の罪で投獄し、国を二分する内乱を起こそうとしている。こんなものが、俺の愛したアストリアの姿であっては、断じてならん。……俺も、連れていけ、ケンタ殿。俺の剣と、俺の部下たちの命、お主に預ける」
彼は、この日のために、信頼できる部下だけを、この塔の警備に集めていたのだ。
ダリウスの手引きで、アリアの救出は、呆気なく成功した。
だが、バルドルの密偵網は、俺たちの動きを、完全に察知していた。俺たちが、アリアを連れて塔を出た瞬間、城中にけたたましい警報の鐘が鳴り響いた。
「侵入者だ! 南塔を取り囲め!」
「裏切り者、ダリウスを捕えろ!」
城内は、一瞬にして、蜂の巣をつついたような騒ぎになった。
「行くぞ!」
ダリウスの号令一下、彼に従う数十名の騎士たちが、一斉に剣を抜いた。
「アリア様をお守りしろ! 我らが、道を開く!」
ガイも聖剣を抜き放ち、その隣に並ぶ。
「もう、俺は、誰の駒でもない! 俺の剣で、道を切り拓く!」
俺たちは、ダリウスとガイを先頭に、城門目指して決死の突撃を開始した。壮絶な脱出劇の始まりだった。城門で、ついに俺たちは、分厚い兵の壁に完全に包囲された。もはや、これまでか。
俺は、懐の念話石を、強く握りしめた。
『ゼオン! 聞こえるか! 頼む!』
その瞬間、王都の上空に、巨大な黒い影が、音もなく、出現した。
「……な、なんだ、あれは!?」
「ド、ドラゴン……!?」
月を背に、巨大な翼を広げる黒竜。その背には、仁王立ちになる元魔王の姿。ゼオンは、攻撃はしなかった。ただ、そこに、存在するだけで、王国軍の兵士たちを、絶対的な恐怖の底に叩き落とした。その一瞬の隙を、俺たちは、逃さなかった。
「今だ! 突破するぞ!」
俺たちは、恐慌状態に陥った兵士たちの壁を突き破り、王都からの脱出に、成功した。
傷つきながらも、トーキョーに帰還した俺たち。
その隊列には、救出されたアリア、そして、王国最強の騎士であるダリウスとその部下たちが、新たな仲間として加わっていた。
バルドルに、政治的にも軍事的にも大きな一撃を与えた俺たちは、万全の態勢で王国の総力を挙げた「トーキョー籠城戦」を、迎え撃つことになる。
最強の騎士ダリウスも仲間になりました。
明日も19時に。
どうぞよろしくお願いいたします!




