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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第10章:偽りの英雄、真実の対話

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賢者の過去と哲学は、聖剣に勝る

トーキョーの「人道主義」は伝わるのか!?


それから、俺の日課に、ガイとの対話が加わった。


最初の対話は、ただ彼の怒りを聞くだけだった。


「なぜ俺を殺さない!」

「偽善者め!」

「お前さえいなければ、俺が、真の勇者だったのだ!」


その言葉の端々から、彼の、承認への渇望と、劣等感が、痛いほど伝わってきた。


次の対話で、俺は、俺自身の過去を、赤裸々に語った。色のない毎日、何者にもなれないという諦観、そして、物語の主人公への、密かな憧れ。


「……何が言いたい。同情でも引くつもりか」


「違うさ。俺は、あんたが羨ましかったのかもしれない、と言ったんだ。俺にはなかった、生まれ持った才能も、皆からの期待も、あんたは、その全てを持っていた。その重圧は、俺の想像を絶するものだったんだろう」


ガイの表情から、少しずつ、敵意が薄れていくのを、俺は感じていた。


「あんたは、王国中の期待を背負わされて、苦しかったんじゃないか? 『勇者』とは、こうあるべきだ、という重圧に、押し潰されそうになっていたんじゃないか?」


「……だ、まれ……」


「本当の強さとは、なんだと思う? 俺は、ただ敵を倒す力じゃないと思う。守りたいもののために、どれだけ知恵を絞れるか。どれだけ、自分の弱さと向き合えるか。それこそが、本当の強さじゃないのか?」


最後の対話で、俺は、彼に、何冊かの本を差し入れた。それは、俺が書き写した、故郷の歴史書や、哲学書だった。


「読んでみろ。そこには、あんたが振るう聖剣よりも、ずっと多くの、戦いと、勝利と、そして敗北の記録が詰まっている。あんたが倒すべきは、目の前の敵じゃない。あんた自身の、心の弱さだ」


ガイは、俺が出ていった後、初めて、食事に手を付けた。そして、その日から、彼は、貪るように、俺が差し入れた本を読み始めた。


ふふふ、勇者が変わってきましたね。


明日も19時によろしくお願いします!

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