表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第9章:愚者の進軍、賢者の城塞

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

33/66

生命の季節と、静かなる要塞

この美しい場所を守るために戦え!


春が来た。


魔の森、いや、俺たちのニホン国の始まりの地を覆っていた雪が解け、黒い大地に若草が芽吹き始める、生命の季節。アラタは、生まれて初めて見る蝶々を、きゃっきゃと声を上げて追いかけていた。リリアーナの畑では、冬を越した麦の穂が、力強く天を突き刺すように伸びている。


だが、その穏やかな風景とは裏腹に、俺たちのトーキョーの街には、静かな緊張が張り詰めていた。建設を終えたばかりの城壁の上では、見張り櫓の数を倍にし、民兵たちが交代で、昼夜を問わず東の空を監視している。女子供までが、有事の際の避難訓練を繰り返し、その動きに無駄はない。男たちは、農具を置けば、すぐさま民兵として武器を取れるよう、常にその傍らに槍や弓を置いていた。


決戦の前夜、俺は完成した城壁の上を、一人歩いていた。眼下には、俺たちの街が、光るキノコの柔らかな明かりに照らされて、静かに息づいている。この光景を、俺は守らなければならない。


「領主様」


声をかけてきたのは、ギデオンだった。彼の手には、ゼオンの魔鋼石を使って改良された、城門の仕掛けの最終設計図が握られている。


「準備は、万端です。奴らがいつ来ようと、度肝を抜いてやる準備はできておりますわい」


「頼むぞ、ギデオン」


次に訪れたのは、民兵たちの詰め所だった。ボルグの息子をはじめ、若い兵士たちが、黙々と矢羽を整え、槍を磨いている。彼らの顔に恐怖の色はなかった。


「俺たちの家族も、畑も、全部、あの壁の内側にある。一歩だって、踏み込ませるわけにはいかねえんだ」


ボルグが、静かに、しかし力強く言った。


そして最後に、俺は我が家へと戻った。リリアーナは、眠るアラタのそばで、静かに何かを縫っていた。それは、俺が初めてこの世界に来て、戦場へ向かう時に彼女がくれた、あの、星の刺繍のお守りだった。古い布は、新しい糸で、丁寧に補修されている。


「……また、作ってくれたのか」


「はい。あなたの、お守りですから」


彼女は、そっとそれを俺の手に握らせた。


「必ず、ご無事で。アラタと、お待ちしております」


その言葉が、俺の最後の迷いを断ち切った。


いよいよ、この時が来てしまった・・・


どうやって戦う!?


明日も19時に更新します!

どうぞよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ