表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第8章:父として、領主として

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/66

「ニホン」建国宣言!!

力ではなく、知恵で、故郷を守れ!


ゼオンが嵐のように去っていった夜。


俺は、ギデオンたちが建設を進めている、街で最も高い場所にある見張り櫓の上に、一人立っていた。


眼下には、冬の静寂に包まれた俺たちのトーキョーの街が、光るキノコの柔らかな明かりに照らされて、美しく広がっている。家々からは、夕食の匂いが立ち上り、新しくできた酒場からは、男たちのささやかな歌声が聞こえてくる。黄金色に輝く広大な水田は雪に覆われ、整然と区画された畑も冬の眠りについている。そして、全てを優しく包み込む、湯けむりを上げる温泉。


俺が、俺たちが、この一年で、ゼロから築き上げた全てだ。


「……あなた」


不意に、背後から温かいマントをかけられた。リリアーナだった。


「こんなところで、何をなさっているのです? 冷えますわ」


「ああ、すまない。少し、考え事を」


リリアーナは、何も言わずに、俺の隣に寄り添った。彼女には、俺が何に悩んでいるか、お見通しなのだろう。


「……怖いですか?」

と、彼女が静かに尋ねた。


「ああ、怖いさ」


俺は、正直に答えた。


「俺は、戦士じゃない。ただの本屋だ。人の命が失われるのも、この街が壊されるのも、考えるだけで、怖い。だがな……」


俺は、リリアーナのお腹に、そっと手を当てた。そこには、俺たちの二人目の子供が、宿っている。


「それ以上に、この子たちの未来が奪われることの方が、もっと怖いんだ」


俺は、眼下の街を見下ろしながら、静かに語り始めた。


「王都の連中は、この場所を、反逆者の砦だと思っている。富を独占し、魔族と手を組む、危険な場所だと」


「……」


「だが、奴らは何も分かっていない。ここは、砦じゃない。俺たちの、家だ」


俺は、リリアーナの肩を、そっと抱いた。


「ここは、生まれや身分で人が差別されることのない、新しい国の始まりなんだ」


「新しい、国……」


リリアーナが、俺の言葉を繰り返す。


「ああ。俺の故郷……日本にほんが、そうだった。いや、そうあろうとしていた国だった。王や貴族なんていない。誰もが、努力すれば、自分の未来を切り拓くことができた」


俺は、リリアーナの瞳を見つめ、決意を込めて言った。


「……そうだ。だから、そう名付けよう。俺の故郷の名を、この国の、未来の名前にする。いつか、このトーキョーが首都となり、大陸中の誰もが憧れる、自由で豊かな国……『ニホン』を、この地に建国するんだ」


それは、俺が初めて、自分の野望を明確に口にした瞬間だった。ただ、平穏に暮らしたい、というささやかな願いではない。この理不尽な世界に、俺の故郷の理念を根付かせ、新しい国を創り上げるという、途方もない野望。


リリアーナは、驚くかと思った。だが、彼女は、ただ穏やかに微笑んで、俺の言葉に頷いた。


「ええ。あなたと、アラタと、この子と、そして皆と共に。この『ニホン』を、世界一、幸せな国にしましょう」


俺たちは、迫り来る戦乱の気配の中、二人、寄り添って、俺たちの街を見下ろしていた。


もう、恐怖はない。あるのは、愛する家族と、守るべき国民、そして、共に未来を創るという、鋼鉄の決意だけだった。


春は、もうすぐそこまで迫っていた。


砦ではなく、家だーーー!!


春が来る。つまり・・・


明日から新章に入ります。19時更新。

どうぞよろしくお願いいたします!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ