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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第7章:楽園の誓いと、王都の影

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傷だらけの再会

日ごとに大きく、豊かになるトーキョー村。


ある日の夕暮れ、見張りの櫓から、緊急を知らせる鐘がけたたましく鳴り響いた。


「西の森で、戦闘!強力な魔物の気配多数!」


俺は、民兵の精鋭部隊を率いて、現場へと急行した。森の奥、巨大な岩壁を背にして、孤軍奮闘する一人の騎士の姿があった。


その真紅の髪と、白銀の鎧に見覚えがある。


「アリア!?」


彼女は、無数の影のような魔物―――俊敏な動きで集団で襲いかかるシャドウウルフの群れ―――に囲まれ、消耗しきっていた。騎士としての腕は超一流でも、数の暴力には勝てない。


「ケンタ殿……! なぜ、ここに……!」


「説明は後だ! 援護する!」


俺は、剣を抜く代わりに、叫んだ。


「全隊員、閃光玉、用意!」


それは、俺が錬金術の知識を応用して作らせておいた、強い光と音を発する魔道具だ。シャドウウルフが、光に弱いという本での記述に賭けたのだ。


「投げ込め!」


号令と共に、十数個の閃光玉が狼の群れの中に投げ込まれ、一斉に炸裂した。夜の森が、真昼のように白く染まり、耳をつんざく爆音が響き渡る。光に焼かれたシャドウウルフたちが、悲鳴を上げて混乱する、その隙を、俺たちは逃さなかった。


矢の雨を降らせ、包囲を崩し、アリアを救出することに成功した。 街の医務室で、リリアーナがアリアの傷の手当てをしていた。幸い、傷は深くない。俺は、人払いをして、アリアに尋ねた。


「なぜ、ここに? 確か、王都で謹慎処分になっていたはずじゃ……」


「……逃げてきた」


アリアは、悔しそうに言った。


ダリウスから、密かに知らされた。バルドル宰相が、近々、この村を完全に破壊するため、討伐軍を編成している、と。そのことを、一刻も早く、貴様に知らせなければと……」


「そうか……。危険を冒してまで、すまない」


「……礼を言われる筋合いはない。私は、騎士として、正しいと思ったことをしたまでだ」


アリアは、一度、言葉を切った。そして、治療された腕を見つめながら、ぽつりと、呟いた。


「……また、貴様に、助けられてしまったな」


「……」


「私は、ずっと、貴様のことが理解できなかった。力こそが全てだと信じていたから。だが、貴様は、いつも私の知らないやり方で、私よりも、ずっと多くのものを救っている……。私は、貴様に会いに来た。警告のためだけじゃない。私は……」


アリアは、顔を上げ、その真剣な瞳で、俺を射抜いた。


「私は、貴様のようになりたいのかもしれない。いや……貴様のそばに、いたいのかもしれない」


それは、あまりにも真っ直ぐな、告白だった。生まれて初めて、異性から、好意を真正面からぶつけられた俺は、狼狽した。


だが、その瞬間、俺の脳裏に、雷に打たれたように、一人の女性の顔が、浮かび上がった。 ――リリアーナだ。 アリアの言葉を受け止めた俺の心が、迷うことなく、彼女の笑顔を、彼女の声を、彼女の温もりを、求めていた。ああ、そうか。俺は、ずっと、彼女に……。 俺は、アリアに向かって、深く、頭を下げた。


「……アリア。あんたの気持ちは、嬉しい。本当に、感謝している。あんたは、強くて、気高くて、素晴らしい騎士だ。だが……俺には、もう、心に決めた人がいる。この村で、生涯を共にしたいと願う人が」


俺の言葉に、アリアは、一瞬、悲しげに瞳を揺らがせたが、すぐに、ふっと、自嘲するように笑った。


「……そうか。そうだろうな。……リリアーナ殿か。……敵うはずも、ないか」


アリアとの対話は、俺の心を、完全に決意させた。もう、迷っている時間はない。俺は、自分の本当の気持ちを、彼女に伝えなければならない。


アリアちゃん・・・

あなたのおかげで、物語が進みますよ。


次回は明後日19時に投稿します。

どうぞよろしくお願いいたします!

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