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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第5章:楽園創造の設計図

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魔の森の朝、そして最初の宣言

新しい土地での暮らしが始まりました。


魔の森で迎えた最初の朝は、希望よりも、むしろ途方もない現実を俺たちに突きつけてきた。 湖から立ち上る朝霧が、まだ薄闇に包まれた森を、一層幻想的で、同時に不気味なものに見せている。聞いたこともない鳥の声、遠くで響く魔物の咆哮。その全てが、ここが人間の住む世界ではないと、雄弁に物語っていた。


魔王ゼオンと結んだ和平は、あくまで知性ある『魔族』とのものだ。この森に棲む、理性のない『魔物』たちは、その契約の埒外にいる。奴らは、腹が減れば、容赦無く俺たちに牙を剥くだろう。 俺たちの背後には、もう帰るべき場所はない。ここにあるのは、王都から持ち出した残りわずかの食料と、俺を含めた十九人の仲間たちだけ。この何もない土地で、俺たちは生きていかねばならない。


兵士たちの顔に、隠しきれない不安の色が浮かぶ。リリアーナでさえ、その表情は固い。俺は、皆の前に立ち、パン、と一つ手を叩いた。


「さて、と。感傷に浸るのは終わりだ! 俺たちの国造りを始めよう!」


俺がわざと明るく言うと、皆の視線が俺に集まった。


「やることは三つ。家と、水と、食料の確保だ。まずは、俺たちが安心して眠れる場所を作る。次に、命の源である清潔な水を確保する。そして、この豊かな土地から、食料を得る方法を確立する。今日から一週間が正念場になる。俺の指示に、全員、全力で従ってほしい!」


俺の言葉には、もう迷いはなかった。軍師としての俺ではない、この小さな共同体のリーダーとしての、最初の宣言だった。



最初の仕事は、住居の建設。


ギデオンと、手先の器用な兵士たちを集め、俺は地面に木の枝で設計図を描き始めた。


「……領主様。これは、一体?」


ギデオンが、眉をひそめて俺の図面を覗き込む。彼が思い描いていたのは、この世界の標準的な建築物である、地面に直接木を組むログハウスだったのだろう。だが、俺が描いたのは、妙に細長く、そして床を地面から高く離した、奇妙な建物だった。


「これは『高床式のロングハウス』とでも呼ぼうか」


「ろんぐ……はうす?」


「ああ。俺の故郷の世界にはな、こういう細長い一つの建物に、複数の家族が一緒に暮らす文化があったんだ。壁や屋根を共有するから、資材も労力も、個別の家を何軒も建てるよりずっと少なくて済む。それに、最初のうちは皆で一カ所に固まって暮らした方が、防犯上も、共同作業をする上でも効率がいい」


俺は続けて、床が高い部分を指さした。


「そして、床を高くするのは、この森の湿気と、得体のしれない虫や小動物から身を守るためだ。こっちは日本式の、高温多湿な土地で生まれた知恵だな」


「なるほど……! 複数の文化の建築様式を、この土地の環境に合わせて、融合させる、と……! なんという発想だ! 言われてみれば、実に合理的ですわい!」


ギデオンの職人魂に火がついたようだった。彼は目を輝かせ、すぐに作業の段取りを考え始めた。


まずは、木材の伐採。ここでも、俺の知識が役立った。兵士たちは、ただ闇雲に斧を振り下ろすばかりで、作業は一向に進まない。俺は彼らを集め、木を倒す方向を決める「受け口」と、その反対側から切り込む「追い口」の作り方を、実演してみせた。さらに、太い木を運ぶために、ロープと滑車を組み合わせた簡易的な起重機を即席で組み立てる。


「おお……!」

「こんなやり方が……!」


驚きの声を上げる彼らに、ギデオンが檄を飛ばした。


「賢者様の知恵は魔法じゃねえ! 見て盗め! そして自分の技にしろ!」


汗と泥にまみれながら、俺たちは一本、また一本と、未来の我が家となるべき柱を切り出していった。


まずは、家!!

江戸時代の長屋に憧れてたんですよね〜


次は・・・

明日19時に更新します。

どうぞよろしくお願いいたします!

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