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スキルなしの最弱勇者、追い出された先が実は宝の山だったので、日本の知識で楽園国家を建国します  作者: 鈴城幻司
第4章:絶望の地は、約束の地

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チート知識で楽園化計画!?

第一の関門、突破しました。


森の中は、まさに異界だった。


地面には、血管のように赤い蔓植物が張り巡らされている。ギデオンが

「あれが触れるとかぶれるという『血吸い葛』ですな」

と顔をしかめた。


俺は、その蔓をアリアにもらったナイフで慎重に切り取り、断面を観察した。そこから滲み出る、白い樹液。そして、この独特の匂い。


「……いや、これはかぶれない。というか、かぶれるけど、使い方次第では宝になる。これ、日本の『漆』にそっくりだ」


防水、防腐、接着。漆は、最高の天然塗料であり、工芸品にもなる。俺の目には、赤い蔓が金脈にしか見えなかった。


さらに奥へ進むと、洞窟の中に、ぼんやりと青白く光るキノコが群生していた。


「『爆発茸』です! 触れると、胞子を撒き散らして爆ぜるという……!」


その言葉に、俺の脳裏に、懐かしい記憶が蘇った。小学校の理科の授業で習った、ホウセンカ(鳳仙花)だ。熟した実に触れると、パン! と弾けて種を遠くまで飛ばす、あの植物。


「……爆発、じゃない。これは、弾けて種……胞子を飛ばすための仕組みだ」


俺は、光るキノコを注意深く観察した。火薬で爆発するなら、こんな場所に群生しているはずがない。これは、ホウセンカと同じ、外からの刺激に反応して、蓄えた力で胞子を遠くに飛ばす、極めて合理的な種の保存戦略だ。


「なら、刺激を与えずに、ゆっくり、そっと……」


俺は、アリアにもらったナイフを抜き、爆発茸の根元に、ゆっくりと刃を入れた。ホウセンカの実が、急な衝撃で弾けるのなら、その衝撃を与えなければいい。刃を滑らせるように、慎重に切り離していく。周りの仲間たちが、固唾を飲んで見守っている。そして、

「……取れた」

キノコは、弾けることなく、静かに俺の手に収まった。ぼんやりと青白く光るそれは、まるで小さな月光のようだった。


そして何より、この土だ。


俺は、地面の土をひとつかみし、その匂いを嗅いだ。瘴気と同じ、微かな硫黄の匂い。そして、この驚くほど黒々とした、豊かな土壌。指の間で、しっとりと、生命の重みが感じられる。


「……火山灰土だ」


火山灰が降り積もってできた土は、ミネラルが豊富で、農業には最適だ。瘴気も、植物にとってはむしろ栄養になる成分が含まれているかもしれない。


人々が呪いと恐れたもの全てが、俺の知識を通してみると、ことごとくが「資源」に変わっていく。


俺たちはやがて、森の中心にある、陽光が差し込む開けた土地――湖畔の広大な平原にたどり着いた。ここを、俺たちの新しい村の拠点とすることに決めた。


リリアーナや兵士たちが、まだ目の前の不気味な森に不安そうな目を向けているのを見て、俺は振り返り、満面の笑みを浮かべてみせた。


王都を追われた時の絶望は、もうどこにもなかった。あるのは、これから始まる新しい生活への、胸が躍るような期待感だけだ。


「みんな、ようこそ。ここが、俺たちの新しい故郷だ」


俺は、広大な森を見渡し、高らかに宣言した。


「心配するな。この場所は、呪われた土地なんかじゃない。宝箱だ。……俺たちで、ここに、楽園を創ろう」


全部使える素材です!


やっと楽しくなってきたーー!!


明日も19時に。

どうぞよろしくお願いいたします。

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