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プロローグ:声なき呼び声

初めての投稿となります。


完走できるようのんびりと行きたいと思います。

 終わりは、静かだった。

 誰にも看取られず、誰の記憶にも残らないまま、ひとつの命が尽きた。

 それは、ありふれた死。

 名もなく、誇りもなく、選ばれぬままに過ぎ去った人生だった。


 その男――かつて「ユーグ」と呼ばれていた者は、老いさらばえた体で冷たい床に横たわっていた。


 手には、何もなかった。

 剣を握っていたこともある。筆を持っていた日もあった。

 だが最後に残されたのは、震える指と、言葉にならない後悔だけだった。


「もっと……生きられたのかもしれないな……」


 それが、最期にこぼれた言葉だった。

 誰もいない天井に向かって、吐くように紡いだ。


 そして、静かに瞼が閉じられた。


 ――だがその瞬間、世界は「終わり」を拒んだ。

 光も、闇もない空間で、何かが彼を見つめていた。


 それは、“存在の境界”に在るもの。

 神でもなく、悪魔でもない。名を持たず、意志すら定かでない、“異質な何か”。


 声はなかった。けれど、それは確かに「語りかけていた」。


「汝、悔いるか」

「その命、その過去、その選ばなかった日々を、悔いているか」

「ならば――巡れ」

「名を変え、姿を変え、魂のままに、世界を渡れ」


 ユーグは問わなかった。

 何も拒まなかった。

 ただその言葉に、静かに、ゆっくりと頷いた。


 その瞬間、彼の魂は引き裂かれ、七つの光の粒となって宙に舞った。

 それぞれが異なる地へ、異なる時代へ、異なる生へと飛んでいく。


 剣を持つ者。

 怒りを抱く者。

 知を求める者。

 祈りを重ねる者。

 命に従う者。

 魂を記す者。

 そして――すべてを統合する、最後の者。


 これは、ひとつの魂が「選び直す」ための物語。

 七度目に至り、なおも答えを探し続けた、“ただの人”の物語。


 何度でもやり直せるわけではない。

 だが、一度でも「自分で選びたい」と願ったなら――


 その声は、きっと世界に届く。


そして、物語は始まる。


はじめはある程度の寄稿ペースで頑張っていきたいと思います。

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