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第ニ話 「視線」
夜に輝く赤い月の月光が、彼を照らし続ける。
そんな彼の口元は、まだ弧を描いていた。
それを見つめ続けるマスターは、口を開いて言う。
「ところで、あの件はどうなった。」
一瞬の沈黙が場に流れる。
バチリ。
お互いの視線が交わった瞬間、彼は口を開いた。
「明後日の十二時、殺しに行くつもりだ。」
その言葉に、マスターは目を見開く。
それと同時に、マスターの口は彼と同じような弧を描いた。そして、マスターは言う。
「やっぱりお前に頼んでよかったよ。」
そう言うと、また視線が絡んだ。
その後、悪い気はしなかったのか、彼は薄く微笑んだ。