表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/6

第一話 「深淵」

雨が降っていた。

それは、とても芸術的でかつ、凄惨たる光景だった。


彼は、傘を持っていなかった。

だが、雨宿りはしなかった。

目的に一直線だったからだ。


彼は、涙を流していた。

虚ろな目が下を向いていた。

それはまるで深淵のようだった。

同時に、芸術のようでもあった。



雨が止んだ頃、彼はバーの椅子に座っていた。

カウンターを挟んだ向こう側に、マスターらしき男が立っていた。

注文も聞かずに、ただただ立っていた。


「マスター、ジン・トニックを一つ頼む。」


少しの静寂を破ったのは、先ほどまで涙を流していたとは思えないほど、冷静な声だった。


少し経つと、カウンターに酒が置かれる。

それとほぼ同時に、彼は酒に手を伸ばして、口元に運ぶ。


喉仏が上下したあと、表情を変えないまま、彼は酒を置く。

少し経つと、彼は鋭い歯を見せてほくそ笑んだ。


どうやら、夜は始まったばかりのようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ