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プロローグ
バンッ…………
静かだった部屋に、物騒な音だけが妙に響く。
バンッ……バンバンッ…………
もうとっくにソレは死んでいるはずだが、彼は撃ち続ける。
バンッ……カチッ……カチカチッ……
ようやく弾が切れたのか、彼は何度か空打ちをした。
そのあと、静かに銃を下ろして、舌打ちをした。
愛銃となったソレを懐にしまったあと、彼は歩き出す。そっとドアを開けたあと、男は息を吐いた。
そのあと、部屋の外に置いてあったガソリンを持って、蓋を開けた。
彼は、ガソリンをばら撒きながら、階段を登りだす。
ガソリンを空にすると、彼はライターを取り出して、ガソリンが撒かれた床に放り投げる。
盛り上がった火を背中に、彼は屋上のフェンスを登りだす。
静かに街を見下ろしたあと、彼はそこを飛び降りた。
少しの空虚が、場を支配する。
グシャ……という心ない音とともに、何かが火花とともに散っていった。