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うれし泣きの後の恐怖

「えぇ―! それじゃここ最近噂になってた〝捕縛団〟ってあなたの事だったの。」



そう言って話してくれたのは、先ほど挨拶をしたアマネさんだった。うわさって何だろう?そもそも〝捕縛団〟って何?と聞くのが怖くて黙っていると、ミーシアちゃんも話に入ってきた。



「やっぱり、アマネさんの所にもうわさ届いてたんですね。」



「買い物に来てくれるお客さんから聞かれたのよ。」



「何のためだい?」



黙っている私の代わりにアサが聞いた。文句だろうか…?苦情だろうか…? そんなことを考えていた私の耳に届いた言葉は、



「みんな、お礼が言いたいんですって。確かに、自警団、騎士団の人たちもがんばってくれているけど、手が回らないところが多い…。今回捕まえた犯人の余罪を調べて、返ってくることを諦めていたものが返ってきたり、お金は返ってこなかったけど、やっぱり悪いことをする人には罰が当たるって言うのを見れてスッキリしたって言う人たちから正体を知らないかって聞かれたのよ。」




まさかこんなかわいい女の子が〝捕縛団〟だったなんてね。と言う言葉は、私の耳には届いていなかった。それどころでは無かったのだ。またもや涙腺崩壊――…



「あらあら~」



「お姉ちゃんが泣いちゃった!オボロさん、お姉ちゃんが‼」



「あたし、何か悪いこと言っちゃった?」



「大丈夫だよ。これ、うれし泣きだから。トモカ大丈夫、バスタオルあるから!」



「お茶、新しいの入れてくるわ。」



少しづつ、波紋が広がるように素敵な連鎖が続いている。出会った人々が、依存するでもなく、突き放すわけでもなく、見守ってくれているのが分かる。



あぁ、私は大丈夫かもしれない…でももう少しだけ、みんなに甘えていたい。そう思いながら、新しい紅茶が来るまでに涙を止めようと努力した。もちろん失敗に終わったけど――…






「トモカは、注目されるのが苦手だから、このまま黙っていてくれると助かるわ。やむおえない事情がある人だけには伝えてあげる。それでいいかしらトモカ?」



意味ありげにミーシアちゃんに一度視線を送って、私に許可を求めてくれるオボロさんに私は頷くことで了承の意思を伝えた。



「言われてみれば、この辺で唯一生肉を取り扱っているのはあたしの店なのに、買いに来てくれたことないね…。お肉きらいなの?」



ちょっぴり悲しげな顔でこちらを覗き見ているアマネさん。そんなことあるはずがない!お肉大好きです。の気持ちを込めて思い切り首を左右にふる。



「えっとですね…、人が苦手で、基本的に日中外に出ないんです。夜見回りしてて生活時間が逆って事もあるんですけどね。」



「それなら、ご飯はいったいどうしてるの?」



「それ、実は私たちも気になってたのよね。」



「好き嫌いがないのは、家で提供してるご飯を残さず食べてくれてるの見てれば分かるからね。さぁ、洗いざらい吐いてもらうよ。トモカ…」




三面をアマネさん、ナズナ、アサに囲まれてミニマムな人ばかりなはずなのに、圧がすごい。これは逃げられないと、最近やっとパンが手に入り、【種屋】から仕入れた白米が食べられるようになった事を伝えると、ナズナからは笑顔で、アサからはあきれたような顔で、アマネさんからは唖然とした顔でお説教タイムに突入した。



「私、トモカの種族は人族だと思っていたのだけれど、草だけ食べていたら大丈夫な種族だったかしら?」



くッ、草…?野菜は確かに草だけど…




「くッ、果物も…あったよ……。」




余計な事は言うんじゃなかった!ナズナの目からビームが出そうだ。




「トモカは、ナズナを怒らせる天才だね。」




アサ!それ全然うれしくない。




「だからそんなにスレンダーだったのね。」




ボン・きゅ・ボンのアマネさんに言われるとダメージが…、もういっその事、鶏ガラと言ってください。打ちのめされしょんぼりしていると、肩に手を置かれ顔を上げると、ミーシアちゃんがこちらを見ていた。おぉ、救世主(メシア)―――…




「トモカお姉ちゃん、ご飯はちゃんと食べないとダメなんだよ。」




暗殺者(アサシン)だったみたいです。後ろでオボロさんがゲラゲラ笑っていた。それからみんなで、どうやって食材を注文し、受け渡しをするかの話し合いが行われた。



「言ってくれれば、家の食材を買うついでに買ってきたのに。今度からそうしようか?」



アサからの提案はとてもうれしいのだが、これ以上負担になりたくなくて黙っていたのだ。これは自分で何とかしないといけない問題だから…。



「確かにいいかもしれないけど、トモカだって女の子なんだから、自分で食材探したいわよね。その日の気分だってあるし。」



ナズナが気を利かせて、フォローを入れてくれた。



「それなら、注文蝶に書いて発注してくれたら、準備して保存カゴに入れて【レロ】に届けておきましょうか?支払いは八百屋に付けておけばいいのよね?それならできるわよ。」



注文蝶とは何か?お肉屋さんのメニューが分からない。バロルさん、エルダさんに迷惑にならないかなどグルグル考えていたのだが、お試しで今度のパトロールまでの間に手はずを整えておくと押し切られてしまった。



魚と乳製品も、ついでに手に入るように話を付けておくので、心配しなくていいとナズナにいい笑顔で言われると何も反論することはできなかった。



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