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第71話 気づかれていた

 敵はいつ、ミリスを求めて学校に攻め込んでくるかわかりません。

 なので生徒たちには、一時的に実家に帰ることが許されていました。

 帰らない、もしくは帰る場所がない生徒は、寮で待機となります。


 実に3分の2の生徒が学校から去っていきました。


 聖女の寮にて、セーナはベッドの上で体育座りをしていました。

 暗い面持ちで、ぼーっと壁を見つめています。


 扉がノックされ、返事をすると、


「キリちゃん!」


 親友のキリコが入ってきました。


「聖女の寮って一人部屋なんだね」


「え!? あれ? 帰ってなかったんですか?」


「いくらここが危険でも、地元になんか帰りたくないし。そっちこそ、帰らないの?」


「わ、わたしも……似たような理由……ていうかキリちゃん、勝手に寮から出ていいんですか!?」


「大丈夫だよ、先生たち忙しくてバレないから」


 キリコはセーナのベッドに座りました。


「ねえ、噂で聞いたんだけど、悪い魔法使いの仲間になったラスカってやつさ」


「校長先生にも聞かれました。私と同じ出身地です」


「どんなやつ?」


「あんまり喋ったことがないので、記憶が朧げで……」


 キリコの瞳がセーナの肩を見やりました。

 怯えているのでしょうか、小刻みに震えています。

 あの天真爛漫な普段からは、想像もできない姿です。


「私たち、大丈夫でしょうか」


「サーニャ先輩やコペニュ先輩がいるんだし、大丈夫」


「そ、そうですよね!! ありょま先輩もいますもんね!!」


「もしセーナになにか起きても、私が絶対に守るから」


「キリちゃん……」


 ぽっと、セーナの頬が赤くなりました。

 ラスカの目的は、魔法使いの殲滅。すべては、セーナへの歪んだ愛情のせい。

 敵との戦いに彼女たちは無縁ではないのです。


 どうか、どちらも欠けることがないよう、神に祈ります。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 幽霊として気合を入れて、学校の外に飛び出してみました。

 あちらこちら、怪しいところを巡った末、なんと学校からほど近い山小屋で、幸運にもマリトたちを発見したのです!


 私は観測しかできませんが、それでも、じっとなんてしていられません。

 しばらく彼らの様子を伺うことにします。


 苦しそうにうずくまるラスカに、マリトが近寄りました。


「ったくだらしねえな。まだ戦えるよな?」


「もちろんだ。魔法使いを、皆殺しにするまで」


「頼むぜ。もうじき学校に攻め込み、ミリスの力を手に入れるんだ。足を引っ張るなよ」


「……」


「ま、とにかく暴れてくれたらいい。雑魚どもをオレ様に近づけないようにな」


「……あぁ」


 椅子に座ってくつろいでいたゼウルが問います。


「なんでそこまで魔法使いを恨んでる」


「お前には関係ない!! 己が最強だと驕り昂り、他人を見下しているお前には!!」


「あ? 俺がいつ他人を見下したよ」


「セーナの復讐を俺が果たした暁には、お前だって……うっ!」


 ラスカは胸を押さえて、悶えだしました。

 皮膚のほとんどは黒く変色し、不気味な体液がどこからか漏れています。

 生物として、着実に終わりへ向かっているのです。


 どうして、あなたは気づいてくれないのですか。

 あなたがしていることは、独りよがりの妄想でしかないのに。


「あっそ。せいぜい頑張れよ。死ぬ気でな」


「言われるまでもない。この命に変えても、次こそは……」


 苦しむラスカを無視して、ゼウルの視線がマリトへ移りました。


「わかってると思うが、学校襲撃に俺は参加しないぜ」


「あぁ、思う存分、メイスと戦ってろよ。学校側で最も厄介なのがメイスだからな。ミリスを奪うには、あいつが邪魔すぎる」


「いつやる」


「もう少しまて。まだあいつが起きてない」


「あいつ?」


「次の神だ。ラスカに渡した力は、もともとそいつのだった……てかよ、いい加減鬱陶しいぜ、エリーナ」


 なっ!?

 どうして私の名を?

 私の存在は誰にも認知されないはずです!


「このオレ様が気づかねえと思ってたのかよ。消えろ」


 魔法陣が私に迫り、学校の上空へ転移してしまいました。

 マリトは、私の視線を感じ取れる。だから私に気づかれず『青いやつ』を演じられていたのですか?


 もう一度山小屋に向かうと、彼らは既に居なくなっていました。

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