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♡第7話♡ 謎の敵?

 突然現れた謎の美少年。

 いきなり仲間にしてくれと頼んできたわけですが、どうも怪しい。

 コペニュも同様に疑っているようで、ジトーっとマリトを見つめました。


「なるほどねぇ」


「な、なんですか?」


「あんたが犯人なんでしょ! エリーナ事件の!!」


「え? 犯人? エリーナって、前年度に殺されたっていう……」


「さしづめ、捜査している私たちに接近して進捗を確かめようとしてるのね」


 な、なんだってえええええ!!??!?!?

 そうか、こいつか、こいつが犯人だったのか!! そう言われると犯人な気がしてきました。

 男ってのはみんな信用ならない悪人ですもんね。私じゃなくておっぱいデカい女を選ぶし、校長のくせに生意気なクソガキに頬赤くしちゃうし。

 ゆ、許せない! 呪い殺してやるぅ! 末代まで祟ってやるうう!!!!


「あの、なに勘違いしているかわかりませんが、ボクはただ仲間にしてほしいと頼んでるだけですよ?」


「具体的な理由を述べよ!!」


 そうだそうだあああ!!


「シンプルに面白そうだから、ていうのもありますが、本音を言えば……みなさんが美少女だからです」


 ……あ?


「ボクは可愛いです。可愛い男の子。しかし男子の制服を着ているのですぐ男だとわかってしまう。それじゃイマイチなんです。ノンケは釣りづらい。ですが美少女と一緒にいれば、否が応でも女の子しか興味ない人の目にもボクが入るわけです。そこでボクの可愛さを最大限アピールすれば、『男でもありだな』とノンケの性癖を歪ませることができるんですよっっ!!」


 う〜わ。

 ま〜た変なの出てきたよ。

 変人選手権でもやってんのか。

 はい、じゃあもうこいつが優勝でいいです。なのでマトモなキャラの登場を願います。今後は。


「つまりあんたは、ノンケ男子の新たな扉を開けようとしてるってこと?」


「そういうことです」


「……疑ってごめん」


 なんでだよ。なんでそれで信じちゃうんだよ。

 そりゃドン引きする理由だったけどさ、本当かどうかわからないじゃないかよ。


「だいたい、ボクは入学するまでこの国にすらいませんでしたし、エリーナさんを殺す理由もありません。ていうか、部外者が入れるほど、学校にかけられたセキュリティは甘くないじゃないですか」


 ……疑ってごめん。

 

 そうですよね。学校には常に結界が張られていますものね。

 部外者が侵入すれば、即全教員に知らされるシステムですもんね。

 つまりマリトはただの変人だったわけです。どうか許して。


「というわけで、改めてよろしくです」


「ふふん、いいわ。あなた、私がパーニアスな美少女だってのを理解しているみたいだし」


 などと、2人が固い握手を交わしたそのとき!

 4人の周囲に突如、黒ずくめの男たちが現れました。

 その数3名。一瞬クラスメートや教師かと思いましたが、どうやら違う。正真正銘の、不審者です。


 メラルがサーニャを後ろに隠します。


「隠れていろ」


「だ、誰? この人たち……」


「わからん。ふん、学校のセキュリティは甘くないと話していたばかりなのだがな」


 男の一人が告げました。


「コペニュ、エリーナの死を探る者、生かしておけぬ」


 まさか、この人たちが本物の犯人?

 えぇ〜なんだこの急展開。さっきまでド変態男子の謎性癖が暴露されていたのに。

 すると、命を奪うと宣言されたコペニュが、ニヤリと頬をつりあげました。


「数人で来ないと殺せる自信がないんだね♡ 情けな〜い♡♡ いいよ、誰だか知らないけどぉ、私がわからせてあげる♡♡」


 男たちが飛びかかってきました。

 彼らの手にはナイフや棍棒が握られています。呪文が刻まれているので、おそらく魔法具でしょう。

 魔力を流し込むことで、秘められた力が発揮される武器です。

 刀身が伸びたり、電流が流れたり、見えなくなったり、等々。


 が、結局はコペニュの召喚獣とメラルの剣技でボッコボコにされたんですが。

 最後の一人が、マリトに襲いかかります。


「えぇ!? ボクも狙うんですか」


 と次の瞬間、男の前方に魔法陣が現れて、


「なっ!」


 男は勢い余って魔法陣に突っ込むと、消えてしまいました。

 そして上空に似たような陣が出現し、吐き出されるように男が高所から地面に落下します。

 マリトはそれを眺めながら、ホッと一息つきました。


 どうやら彼の魔法のようですね。空間に干渉し、物体を移動させる空間魔法の使い手のようです。


「くっ……うっ……」


 男はそのまま気を失い、不審者たちは全滅しました。


 え、これで終わりですか?

 いくらなんでも弱すぎません?

 これじゃまるでザコ戦闘員ですよ。


「なんですかこの人たち。コペニュさん、心当たりは?」


「さあ?」


「この人たちが犯人なんじゃないんですか?」


「うーん」


 私の死の真相を知ろうとするコペニュを襲った。

 わざわざ学校の敷地にまで入ってきて。

 いったい何故?

 私の死には、それほど重大な秘密があるのでしょうか。


 だとしても、とにかくこれで無事に犯人成敗。あとは徹底的に動機を追求するだけです。

 マリトが再び魔法陣を出すと、自分の手を突っ込みました。

 どこかの空間に繋がっているのか、肘から先が消えてしまいます。


「待っててください、ロープなら常備しているので」


 魔法陣から腕を引き抜くと、その手にはロープが握られていました。

 自分だけの異空間に私物を保管しておく、これも空間魔法の一種です。


 メラルがロープで男たちを縛ります。


「お前の空間魔法で校舎まで運べないのか?」


「いやー、さすがにそんな遠くまではちょっと」


 ガッチガチに縛られたのを確認すると、コペニュが告げました。


「こいつらはあとで先生に任せるとして、サーニャ」


「な、なに? コペニュちゃん」


「そろそろ授業終わるから戻らないとだね」


「……あ」


 その後、全力で森を駆け回って、サーニャは無事、リストにあった蝶々を捕まえました。

 よかったね。



 で終わったらよかったのですが、あのあとコペニュから報告を受けた教師陣たちが、襲撃してきた男たちを回収しに行ったら、彼らは跡形もなく消えていました。


 目を覚まして逃げたのでしょうか。

 どちらにせよ、学校側に一切バレることなく、部外者が敷地内を出入りできるわけがありません。


 物質の移動が得意な空間魔法なら可能? ですがあの犯人たちは戦闘中、魔法は使っていませんでした。

 きっと魔法使いとしては下の下なのです。

 

 ならやっぱり、いかにも怪しいマリトは黒? 彼らの協力者とか?

 しかし、空間魔法が使えるのは彼だけではないですし、空間魔法がそんなに便利なら、とうぜん学校側だってその対策をしてるはずです。


 そもそも、彼らは部外者ではないとか……。

 犯人ですらないとか……。


 う〜ん、考えれば考えるほどわからなくなっていきます。

 早く真相へ導いてください! クソガキちゃん!!

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