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♡第30話♡ サーニャ、修行の成果?

 それはとある深夜のできごとでした。


「う〜ん、サーニャ眩しい〜」


 眠っていたコペニュがサーニャを叩き起こしたのです。

 理由は単純で、サーニャの発光魔法が眩しかったからです。


「あれ? ごめん、手袋とれちゃってた」


 ゼウル指示通り、サーニャは魔力が尽きるまで連続して発光魔法を使用しています。

 最初は1時間経つ頃には魔力が切れて、数時間かけて魔力が回復してはまた切れるまでやっていたのですが、


「にしてもサーニャ、魔力量増えたね」


 いまでは3時間は持つようになりました。

 一応、遮光性の特別な手袋をつけているので、周りに迷惑が掛かることは滅多にありません。


「う、うん! 嬉しい!!」


 しかも器用に、寝ながらでも発動できるようになっています。

 目に見えて、サーニャは成長していました。


「けどまだ光るだけだよね」


「それは……そうだけど。うぅ〜」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 異変はさらに次の日に起こりました。


「おや、サーニャ、手袋が落ちたぞ」


「え、ちゃんとつけてたのに。ありがとう、メラルちゃん」


「サイズがぶかぶかなのか?」


「ううん。ピッタリのはずなんだけど……」


「それは変だな。ところで、いつまで同じ修行を続けるんだ? ゼウル先輩はなんて?」


「寝ながらでも使えるようになったから、ちょうど今日、先輩に聞いてみようと思ってたの」


 そして放課後、サーニャは校舎から寮へ向かっていたゼウルを呼び止めました。

 振り返るなりアクビをかまして、相変わらず眠そうです。

 こんなんでも、メイスと並び称される強さを持つとされている殺人鬼なのですから、人間とは風体だけで判断できないもんです。


 サーニャは自分がどれだけ成長したのか、事細かに説明しました。もしこれで認められて、修行が次の段階へ移ったら、自分はもっと成長できるかも。そんな期待を込めながら。


「ほ〜、やるじゃん。睨んだ通り、お前は発光魔法と相性がいいんだな。あとは? 変わったこととかねえの?」


「えっと……。手袋がよく落ちるんです。サイズぴったりなのに」


 瞬間、ゼウルは驚愕に目を見開いたかと思えば、愉快そうに頬をつりあげました。

 しかもテンションが上がりすぎたのか、突然サーニャの頭を撫で出したのです。

 これには陰キャ女子サーニャ、ビックリです。みるみる顔が真っ赤になっていきます。


「へ!? せ、先輩!!??!?!?」


「いやはや、お前に出会えて本当によかった」


「それって、どういう?」


「なれるぜ、お前。俺の次ぐらいには」


「え? え?」


「よし、これから修行内容を増やす。発光できる部分を広げろ。最終目標は全身」


「え? は、はい!」


「そして手袋が落ちる現象、コントロールできるようにしろ」


「コントロールって?」


「まだわかんねえのか? 手袋はすり抜けたんだよ。お前の手が、光そのものになったから」


 私もサーニャも意味がわからず、ポカンとしてしまいました。

 手が光になった? そんなわけないじゃないですか。魔法を発動していない時はただの手ですし、発光していても物に触れたり、持ったりできます。光そのものなら、両方とも無理なはずです。


「それが終わったら魔力操作の修行もしねえとな。ふ、お前の未来を想像するだけで鳥肌立つぜ」


「あの、えっと、よくわかんないんですけど……」


 ゼウルは眉を顰めながら、未だ困惑しているサーニャの頭に手をおきました。

 そしてずいずいっと顔を寄せて、断言したのです。


「いいから俺を信じて言われた通りやってみろ。お前をアリアにしてやる」


「アリアに?」


「あぁ。化けるぜ、お前は」


 サーニャはゼウルの真っ直ぐな瞳に耐え切れず、視線を落としてしまいました。

 しかしよっぽど嬉しかったのでしょう、笑みが溢れてしまっています。


 ずっと諦めていた、アリアになるという夢。

 そこへ通ずる道が、開けたのですから。


「やれるか?」


「はい、やります! 私、がんばります!!」


 サーニャの修行は、まだまだ続きます。

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