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♡第19話♡ 校外学習編④ 追い詰められた天才!!

 メラルがサーニャを自分の後ろに隠します。


「下がっているんだ」


「う、うん」


 さらにコペニュ、マリトに向けて、指示を出しました。


「身体強化の魔法を使っておこう!」


 最初の授業で習った魔法ですね。

 文字通り、五感や運動機能を僅かに上昇させる効果があります。

 『ちょっと体の調子が良い』程度の、ほとんど気休めにしかなりませんが、やらないよりマシです。


「よーし、私の天才的な才能でポコパンしてやるわ!」


 コペニュが幻獣を召喚します。

 雷を纏った狼、サードスターです。

 さらに、予め召喚してあったスライム、うね郎をサードスターに変身させます。


「一網打尽にしちゃえ! ダブルサードスター!!」


「させるか!!」


 仮面の男が魔法陣から複数の魔法の鎖を出し、2体の召喚獣を縛り上げてしまいました。

 狼の幻獣たちは必死に鎖を引きちぎろうとしますが、ビクともしません。

 せっかく超高速で動けるサードスターでも、これではただのワンちゃんです。


「ふっ、捕らえたぞ」


 しかし、これでサードスターの自由を奪ったつもりでしょうが、コペニュの前には無駄骨なんですよね。

 以前メイスと戦った際に、召喚獣の再召喚でしがらみを回避するテクニックを披露しましたから。 


 コペニュが一旦2体を消しました。早速やるつもりですね。

 そしてまた召喚し直そうとしたそのとき、


「コペニュちゃん危ない!」


 仮面の男の部下が、背後からコペニュを切りつけたのです。

 仮面男が笑います。


「俺に集中しすぎたな」


「くっ」


 もう一度召喚しようとしましたが、今度は別の部下に蹴り飛ばされます。


「お前自体はただのガキ!」


 うぬぬ……。たしかに、いくら召喚される幻獣たちが強力でも、コペニュ自体はか弱い女の子。

 ならば召喚される前にリンチしちゃえばいいってわけですか。

 メラルが助けに行こうとしますが、


「ええい、敵が多い」


 得意の剣技でサーニャを守りつつ、大勢の部下たちを退けるので精一杯のようです。

 サーニャもサーニャで、


「え、えい!」


 と、手が少しだけ光る最弱の発光魔法で目眩ましを試みましたが、意味がなかったようです。


 ならマリトは? 彼もまた、


「も、もう!」


 空間転移の魔法陣で、近づいてくる敵を洞窟の端へ移動させることに集中していて、とても手助けができそうにありません。


 なんとかメラルがコペニュに接近しました。


「待っていろ、回復させる」


「あ、ありがと」


 まさに多勢に無勢。敵が多すぎます。

 さすがの天才コペニュでも、幻獣の召喚を妨害されては手も足も出せません。

 しかもここは閉所。逃げ場すらありません。一度距離を取って体勢を立て直すことができないのです。


「コペニュ、やれそうか」


「もちろん。ごめんメラル、身体強化の魔法解くよ。あんまり意味ないし、召喚に集中したい」


「そ、そうか」


「本気でやれば今度こそ秒でポコパンよ」


 と豪語していますが、コペニュは震えていました。

 敗北の危機に死を意識してしまったのでしょうか。

 また召喚しようにも、襲いかかる大量の敵の攻撃を回避するのに必死です。


 メラルがマリトに叫びます。


「マリー、外に転移できないのか!」


「ボクじゃ無理ですメラルさん! 視界に入っている範囲までしか!!」


 マリトは苛立ちのあまり殺気を孕んだ目つきに変わり、舌打ちをしました。


「調子に乗りやがって……」


 まさに絶体絶命。このままじゃ本当に殺されてしまいます!!

 お願いです神よ、4人を助けてください!!


 そう心の底から願ったそのとき、洞窟の入り口の方からガガガガと、けたたましい轟音が響いてきました。


 音はどんどんと大きくなって、どうやら入り口から何かが、狭い通路を削りながらもの凄い勢いでこちらに接近しているようです。


 そして、音の正体が、4人の視界に入りました。


「よっ、大変そうじゃん」


 その場にいた全員が、乱入者の登場に一斉に静まり返ります。

 全員が、彼が放つ凶兆を孕んだ威圧感に硬直したのです。


「なんだよ、挨拶くらいしろよ。嫌な予感して早起きしてやったんだからさ」


 大きなあくびをかまして、ぐぐっと体を伸ばします。


「んじゃ、とりあえずこいつら殺すか」


 学校の問題児、ゼウルが目を輝かせました。

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