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♡第17話♡ 校外学習編② ゼウル先輩!!

 モウーチにいればゼウルの方から会いに来る。教師からは事前にそう伝えられていましたが、夕方になっても彼は現れませんでした。

 しょうがないので4人は適当に宿を見つけ、2部屋借りました。

 コペニュ&サーニャの部屋。メラル&マリトの部屋です。ちなみに部屋割りはじゃんけんで決まりましたとさ。メラル残念。


 そんでもって現在、コペニュ&サーニャの部屋で作戦会議中なのでした。


「メラルちゃん、このまま先輩が来なかったらどうなるのかな?」


「まあ普通なら中止だろうが、逆に良い機会かもしれない。明日にでも山に行って、悪魔の死体の欠片を探せる」


「いいのかな。監視魔法で先生が見てるんだよね?」


 へーきへーき、とコペニュが訴えます。

 毎度のことながら、その根拠のない自信はどこから湧いてくるんだか。

 窓から差し込む夕日に、コペニュが目を細めます。

 と、サーニャ以外の3人が入り口の方を睨みました。


「ど、どうしたの3人とも」


「なんか来る」


「え? え?」


 マリトが苦笑します。


「威圧感バリバリですね。獣が吠えながら近づいているみたいです」


「なにも感じないよ?」


「サーニャ、私の後ろに隠れるんだ」


「メラルちゃんまで……」


 足音が聞こえてきます。

 どんどん大きくなってそして……ノックもなしに扉が開けられました。


「よ、後輩ども」


 学校の制服を着た、黒髪の青年が立っていました。


「わりぃ、シンプルに寝過ごした。朝寝過ごして電車でも寝過ごして、まいったまいった」


 コペニュが問います。


「あんたがゼウル先輩?」


「おう。お前アレだろ? コペニュだろ? 強いんだって?」


「試してみる?」


「んー、いまはいいわ。だりぃし、ガキいじめても楽しくねえから」


「言ってくれるじゃん。そんなバリバリ殺気だしといて。クスクス♡ 負けるのが怖いの?」


 あからさまな挑発ですが、ゼウルは聞き流すかのように大あくびをかましました。


「また今度な。昨日夜ふかししちまって、ねみぃんだ。んじゃ、俺も部屋取ったから寝る」


 扉を閉めようとするゼウルに、メラルが慌てて質問します。


「ちょっと待て先輩、確か用心棒の仕事をするのだろう? 私たちはその見学をするんだ。仕事の詳細は? 依頼主は?」


「あ? ねえよそんな仕事」


「は?」


「最近先生どもがうるせえから、外に出る口実に作ったホラだよ。依頼主も俺の偽名。あ、やべ、これ見られてんのか。……あー、まあいいや。めんどくせ」


「意味がわからない。なにが目的なんだ」


「ズーキから近いから、前のりしたかっただけ」


 ズーキ地方といえば、昼間マリトが説明した通り、近々戦場になると予想される平野があります。

 脳裏に、戦場で暴れるのが趣味だというゼウルの噂話が過ります。


「騙した感じになるけど、お前らもラッキーだろ。自由に遊んでていいぜ。あと2日は外出許可でてっから。ほれ、これやるから許せよ」


 ゼウルは財布から1万ギル札を投げ捨てました。

 嫌な感じです。金渡しとけば女は黙ると思っているんでしょうか。


「んじゃあな」


 パタンと扉が閉じられて、4人は取り残されてしまいました。

 まるで嵐のように現れて過ぎ去ってしまったゼウルに、コペニュたちは顔を合わせてしばらく沈黙してしまいます。


「変なやつ」


 この学校には変人しかいないのですね。


「と、とりあえずどうする? コペニュちゃん」


「自由にしてて良いって言ってんだから、そうしよーよサーニャ。明日山にいって、欠片見つける」


 それしかないね。と3人も同調し、メラルとマリトは部屋に戻っていきました。

 んー、いまいち納得しかねますが、これで私の死の真相を追う時間が増えたと考えれば、僥倖でしょうか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 深夜、サーニャは寝心地に違和感を覚え、目を覚ましてしまいました。

 いつもくっついているコペニュが側にいないのです。


「あれ?」


「起こしちゃった?」


 コペニュは窓から外を眺めていました。

 夜の都会が興奮しているのでしょうか。

 確かに、モウーチは眠らない街なので夜景が綺麗でしょうけど。


「コペニュちゃん、どうしたの?」


「誰かが見てた」


「え? 誰? ここ、2階なのに?」


「さあ? 数秒だったからわかんないけど、視線を感じたの」


「こ、怖いね。泥棒かな」


「んー、どうだろ。もう感じないから逃げと思う」


 言いながら、コペニュはベッドに戻ってスムーズにサーニャに抱きつきました。

 サーニャもとっくに慣れているようで、自然に頭を撫でてあげています。


「ゼウル先輩の威圧感を感じれたの、そういう魔法なの?」


「んーん。別に」


「そ、そうなんだ。すごいね、3人とも」


 サーニャが小さなため息をつきました。


「もー、また暗くなる」


 すぐ卑屈になるのがサーニャの悪い癖ですね。


「だって、みんな私と違うから……。コペニュちゃん、正直に答えてほしいんだけど」


「ん?」


「どうして私と友達でいてくれるの? 一緒に寝てくれるから?」


「楽しいし、好きだからだよ」


「ど、どうして?」


 かなり回りくどいですが、要は自分の良いところを聞きたいんですね。

 めんどくさい彼女みたいです。


「笑われても、授業に追いつけなくても、ネガティブになっても、結局サーニャは真面目に頑張るじゃん。授業もサボらないし、行動力もある。そういう勇気と根性があるとこ、好き」


 サーニャは途端に顔を赤くして、「あぅ」と唸りました。

 褒められたいのに実際褒められたら照れちゃうとか、ダル可愛いですね。


「あと、私の友達でいてくれるとこもね。ほら、私って天才過ぎてクセが強いじゃん?」


 自覚はあったんですね。


「わ、私こそ、友達になってくれてありがとうだよ」


「きっと見つかるよ、サーニャが成長する方法」


「天才の勘?」


「違う、完璧な天才パーニアスの勘」


「ふふっ、じゃあ信じられそう」


「ちなみに、サーニャは私のこと好き?」


「うん、大好き!」


 ガバッと、サーニャもコペニュに抱きつきました。

 もう見ているこっちが恥ずかしくなるくらいラブラブです。


「私もね、最近はコペニュちゃんにくっついてないと寝付きが悪いの。コペニュちゃん、ひんやりしてて気持ちいいから」


「心が優しい人間は体温低いんだよ」


 自分で言うかね。

 否定はしないですけど。


「そうなの? わ、私はどうかな……」


「サーニャは特別。優しいのにあったかい」


「え、えへへ」


 ……これ以上覗くのは無粋ですね。

 やめときます。

 次回へ続く。

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