クリエイティブスクール(続き)
「了解」
生徒会メンバー全員が「了解」と言い、ついにパフォーマンスが始まった。
ドラムメジャーが先頭に立ち、そして曲が始まる、楽器の音と共に曲が始まった。そしてダンス部、チアダンス部の踊りも始まった。
「宝島」の曲が始まると、パフォーマンスに一体感が生まれた。
「すごい」
かなは思わず、声をだしてしまった。
曲が続いてるところだが、かなは前半の曲のところを止めた。
「すみません、ちょっと止めますね、あの細かいのですが、ちょっと気になった部分を言いますね、皆さんもう少し笑顔でいきましょう、パフォーマーは笑顔ですよ」
「分かりました」
全員が返事をした。
「では、途中からもう一度お願いします」
「宝島」の曲が続きから始まった。
行進とともに演奏者たちは、体を横に移動させて、楽器を横に移動させながらパフォーマンスをした。
かなは、もう一度、曲を止めた。
「ちょっと一旦とめますね、吹奏楽のフルート、サックスの人たちもう少しステップを意識してください、あとはちょっと踊りながらでお願いします」
「なあ、さっきからさいろいろ提案してるけど、要求多いんじゃないの?俺たちそんなところまでやらないといけないわけ?」
「より大きなパフォーマンスにしたいので」
かなは不満を吐かれながらも一心を貫いた。
「なので、一緒に協力してください」
かなは自分の想いをぶつけた。
部員たちは、黙ってその話を聞いて何も言わなかった。
「では、改めて続きから始めてください」
「宝島」の演奏が続きからまた始まった。
校内の階段の所でここで踊りながら進んでいった。
曲は、はじめの「宝島」のソロパートに突入した。
そして、部活メンバーたちは、校庭へとうつるところであった。
「階段の所を通過、もうすぐ校庭へとうつります」
あすかは田辺とりなにシーバーを飛ばした。
「了解」
「了解」
田辺とりなは、あすかからのシーバーに即返答した。
「宝島」のソロの後半にうつった、ここは校庭の真ん中でやりたいと思い、一番盛り上がるところであったので、かなは一番ここをこだわった。
「はい、ちょっと一旦ストップでお願いします、「宝島」のソロパートの時、周りの楽器の方もう少しアレンジ加えられますか?」
「アレンジですか?」
「どんな感じでですか?」
吹奏楽部部員が質問をした。
「その曲のところがたんたんとしているので、演奏する時にちょっと自由に弾いてみてください」
「自由にですか?」
「はい、ちょっと演奏がかたい感じになってしまってるのでもう少しやわらかい感じでいいかなと思います」
「なるほど」
吹奏楽の楽器演奏者たちは、かなのそのアドバイスを受け入れた。
「なかなか、いろんな視点をいうね」
「あの人」
「そこまで追及するんだね」
吹奏楽部の部員たちは口々に言っていた。
「宝島」の演奏が後半部分に入った。
「なかなかすごい演奏」
かなは後半の演奏に感動していた。
ダンス部のダンス、チアダンス部のダンスも盛大であった。
「(もうすぐ終わる、もう少し何かほしい)」
かなは、パフォーマンスについて何かをもうちょっと付け加えたいと思った。
そして、パフォーマンスが終わった。
「皆さん、パフォーマンスお疲れさまでした、初日でいろんなことを要求してしまいましたが、このパフォーマンスを成功させたいと思うので、よろしくお願いします」
すると、かなに対して強い意見が飛び交った。
「ちょっとよろしいでしょうか? 今日感じたことなのですが、これはプロの指導者の方を呼ぶ予定とかはございますでしょうか?」
かなは一瞬、吹奏楽部の男子部員から質問があって一瞬、間が起きた。
すると、あすかが代わりに答えた。
「現在のところはあまり考えてません、私たちはあくまで学校変革プロジェクトのために行っています」
あすかが、そう答えると、さらにまた質問が来た。
「でも彼女はどれくらい楽器をやられてたんですか?そもそもそんなに楽器経験がないのならば、何で彼女なのですか?」
楽器演奏などの経験などについて聞かれ、一瞬周囲は静まり返った。
「その点について言えば、私からも質問させていただきます? チアダンスやダンスの経験はございますか?」
同様な質問をチアダンスの女子部員から質問された。
「経験はないです」
かながそう答えると、周りもざわめき始めた。
「すみませんちょっとよろしいでしょうか?」
突然、りなが吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部に質問を始めた。
「皆さんは、何かの経験がたくさんないものだと感じるのでしょうか?」
「そういうものでないと、やはり厳しいと思います」
吹奏楽部の男子部員が回答した。
「たしかに優秀な熟練の指導者などは高いコンクールだったりなどを狙っていたりする場合には必要かとは思われますが、私たちは学校を変えるプロジェクトを行っていくわけです、それなのに勝つための練習などは果たして必要でしょうか?」
「でもただの素人が教えていたら、やっている人たちのスキルのこれからはどうなるんですか?」
そのあと、りなに続いて、かなが答えた。
「皆さんのスキルはとても尊敬に値するものです、演奏やダンスなどの経験は一切ございません、なので、少し皆さんにとってはご不満かとは思われますが、パフォーマンスやエンターテイメントについてはいろんな形で触れてきました、人を喜ばせたり、楽しませること、さらにお客様を喜ばせる接客などをずっと続けてきました、さらにそのアルバイト先の接客でベストスタッフ賞を取ることができました」
かながそう話すと、部員の何人かのメンバーの顔色が少し変わった。
「私がこのプロジェクトを始めた理由は、かなり前の朝会で話したと思うのですが、学校全体の雰囲気が少し悪いのと何か一つでも学校の強みみたいなものがあればよいと思い、このプロジェクトを始めるようになりました、地域の方の期待にも応えていけるようにできたらとも思ってもいます、それって簡単のようで難しいものだとも思います
すぐに信頼が回復するわけではないですし、さらに数字のように目に見える形で結果が伴うわけではないので、ちょっと難しい部分はあります、楽器を練習してすぐに上達もするわけでもありませんしね、もう一つ言うならば、このプロジェクトを始めるっていろんな人たちからの反対もありました」
たまたま早川は校庭の隣の渡り廊下を通りかかり壁側で誰かが聞いていた。
「このプロジェクトは初めてだし、こんな少ない人数で難しいんじゃないか?とも思ったほどです、何かを練習するように毎日このことについて考えるほどです」
かなは、熱心にその話を語った。
吹奏楽部、チアダンス部、ダンス部の部員全員が話を一生懸命に進めた。
「ちょっと上からになってしまって、すみません、でもきちんと皆さんと一緒にこのプロジェクトを進めたいと思っております、なので協力お願いします」
「かなちゃん、その演説最高にいい、私も見習いたいな」
早川がかなの全員に向けて話していた内容に感心していた。
「早川先生?もうパフォーマンスすでには終わってしまいましたが」
「ああ、でも窓から見てたよ」
「えっそうだったんですか」
かなは、校長のその言葉に驚いた。
「うん、みんなすごい良かったよ、こんな大きなパフォーマンスやるんだなというところに私はすごい嬉しい」
校長は部活のメンバー全員に向けて話をしていった。
「本当にすごいよ、うちの学校がまさかこんな大きなことをやるようになるとはね」
「早川先生、これからですよ」
かなが早川にツッコんだ。
「ああ、まあそうだね」
雰囲気が笑いに包まれていた。
「私は絶対にやれるはずだと思ってます、なので皆さん頑張りましょう」
かなは、自分の想いをもう一度ぶつけ、全員に頑張ろうという気持ちを伝えた。
練習が終わり、ついに解散となった。
「皆さん、本日の練習お疲れ様でした、また次回もよろしくお願いします」
あすかが、最後終わりの挨拶を言い、練習が解散となった。
そして、部活メンバーがはけたあと、生徒会メンバーが残った。
「よし、じゃあ反省会やりますか?お疲れ様です」
あすかがいつも通り司会を務めた。
「今日は初日ということで、まあちょっと大変だったけど、みんなどうだった?」
「まあ、少し疲れましたね、ずっと立ってたので足つっちゃいました、痛いです」
「浅見大丈夫か?」
田辺が浅見の足を少し心配した。
「田辺意外と優しいんだね」
「意外ととか言うなよ」
かなが田辺をちょっとからかった。
「俺は、運営をもう少し頑張らないといけないと思いました、例えばもう少しきちんとまわせるようにしていくとかですかね」
「なるほど、準備をもう少ししていくことかな?」
「はい、そうですね、全体的に準備不足かなとも感じましたね」
「なるほど、まあ本当に直前だったしね」
あすかは反省するべき具体的な点を田辺にヒアリングをした。
「どんな所をもう少し準備していくべきだった?」
「例えば、ストップウォッチ、シーバーなどを事前に持っておいて、使い方などを把握したりですね、ちょっとやり方が分からなかったり、あとはある程度のタイムスケジュールの把握などですかね」
「なるほど、まあ確かにその日に決めるようなことがもしかしたら少し多かったかもしれないしね」
あすかは納得して、田辺が言ってくれた反省点を意識した。
「ありがとう、かなちゃんとかんなちゃんは何かある?」
「そうですね、私は部活メンバーの方々が少しいろんな立ち位置や流れがあまり把握できてなかったかなと思っています」
「なるほど、どんなところ?」
「なんか、まあ普段の練習とはちょっと違う点もありましたし、はじめにインフォメーションを流しておけば良かったかなとも思いました」
「そういうことね、言われてみればちょっと私たち全体的に準備不足だったね」
かんなは部活の人たちにある程度の立ち位置や流れを情報として事前に伝えておくべきだったと言った。
「ありがとう、かなちゃんは何かある?」
「うーんなんだろう、ちょっと思ったようにあまりやれてないような感じがしまして」
「そう?かなり頑張ってたと思うけどな」
「それはありがとうございます、でもイベントみたいなものって運営がしっかりしないといけないものだと思いますし、ちょっと運営全体が反省点かなと感じますね」
「なるほど、かなり全体的なところね」
「まあ、それってたくさんやって慣れていくところだと思うよ?」
「えっ校長先生いつのまに?」
「ああ、仕事終わったから今来たのよ、これは初めてだし何でも完璧にいくとは限らないからね、大丈夫だよ」
早川は、かなたちを励ましていった。
「ありがとうございます」
かなは早川にお礼を言った。
「学校変革プロジェクトをはじめてから、今日までずっとこのことばかりで、成功するかどうかいろいろ考えちゃったりしたんですよね」
「まあ、確かに不安があるか考えちゃうよね、でも希望もあるわよ」
「校長先生がまさかの名言を」
「たしかにかっこいい」
田辺が感心をした。
「かなさん大丈夫ですよ、必ず成功させましょう」
りながかなを励ました。
「ありがとう、りなちゃん」
「かな、大丈夫、私たち生徒会がこの学校を変えるんでしょ?」
「そうだね、かんなの言う通り、私たちがやらないで誰がやるの?」
「私たちだね」
「かなちゃん、私たちはこれから新たなことをやる、批判もあるけどその批判を乗り越えてこそ、次への希望が生まれるんだよ」
「あすかさんも早川先生みたいな言い方しますね」
「そう?」
「はい、でもありがとうございます皆さん」
「俺たち仲間だろ、一人で抱え込むなよ」
田辺がかなをもう一度励ました。
「おっおう、田辺ありがとう」
「いいってことよ」
「さてじゃあ帰りますか?」
あすかが言った。
「帰ろう」
かんながそのあとに反応をした。
「じゃあ今日は特別に車乗せていこう」
「えっいいんですか?」
かなが早川に聞き返した。
「いいよ、あとご飯もいこう」
「まさかのご飯、ぜひ行きましょう」
りなが嬉しそうに言っていた。
吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の合同練習も終わり、ついに休み明けの本番まで2日を迎えた。
「皆さん、ついに本番まであと2日を迎えました、これまでいろんなことがありましたが、一緒に最後まで頑張って乗り切りきましょう」
かなが最後に、挨拶をした、さらに早川からも挨拶があった。
「皆さん、今日まで練習お疲れさまでした、これまでたくさんの練習で辛いこともあった とは思いますが、ここをぜひ糧にして頑張ってください、お疲れ様でした」
早川の話が終わって、全員がはけようとしていた。
「あと最後にですが、当日の観客は全校生徒です、生徒の皆さんには教室の横で見てもらう感じです、最後に校庭に移動してしまうので、窓からみてもらう感じです、ちょっと見にくいかもしれないですが、最終的にはビデオにするので大丈夫だとは思います」
「ありがとうございます、では解散で大丈夫です」
かなが部活全員に呼びかけた。
「ありがとうございました」
「よしやった終わったよ」
「さて、帰るぞ」
「おお帰ろう」
「帰りご飯いこうぜ」
吹奏楽部の男子部員たちが終わったので、騒いでいた。
部活メンバーが解散した後、新山と神山がやって来た。
「校長先生お疲れさまです、パフォーマンスで使うライトの調整をしたいのですがよろしいですか?」
「お疲れさまです、私もイベントで使う機会の音源を持ってきました、少しですが打ち合わせいいですか?」
「あっ新山くん、神山さん、お疲れありがとう、じゃあちょっとだけやりましょう」
早川は新山と神谷と打ち合わせに行った。
「あの、かなさん今大丈夫ですか?本日はありがとうございました」
多賀谷が直接かなにお礼を言ってきた。
「大丈夫ですよ、多賀谷さん?こちらこそ練習ありがとうございました」
「いえいえ、あのこれ手紙です」
「ああ、ありがとうございます、あとなんか練習中にいろいろ部員の皆さんにたくさん要求してしまってすみません」
「大丈夫ですよ、そんなこと気にせず、むしろあれくらいの方があの子たちにはぴったりかなと」
「それなら良かったです」
「まあ頑張りましょう」
「はい、頑張りましょう」
多賀谷とかなはお互いに励ましあった。
すると、誰かがかなの方に来た。
「部長、これ忘れてたよ」
「ああ、ゆかりちゃんありがとう、かなさん良かったらこれ生徒会の皆さんで食べてください」
多賀谷が渡すお菓子を忘れてたので、上村が持ってきた。
「えっありがとうございます、みんな喜ぶと思います」
かなは多賀谷と上村にお礼を言った、多賀谷と上村はあとにした。
「かなお疲れさま」
「ああ、かんなお疲れ、なんか練習終わると気が抜けるね」
「確かにね、まあちょっと休むのも大事だよ、今日さカフェブラウン行こうよ」
「おお、行こう行こう」
かなとかんなはいつものカフェブラウンに行く約束をした。
「久しぶりだし、行きたい、立山さんにも会いたいし」
かなはワクワクしてかんなと行く約束をした。
「お疲れまです、かなさん、かんなさん」
「りなちゃんお疲れ様、りなちゃんもいろいろありがとうね」
「いえいえ」
「りなちゃんもカフェブラウン行く?」
「ええ、行きたい」
かな、かんな、りな3人は一緒にカフェブラウンへと向かった。
3人は、カフェブラウンに着き、席をはじめに確保をした。
「よし、席とれたわ」
「あまり人いないね」
「じゃあ買いましょうか」
「こんにちは、わっかなちゃん、かんなちゃんとあともう一人かわいい女の子いるけど名前は何ていうの?」
「はじめまして、浅見りなと言います」
「りなちゃんね、私は立山愛華と言います、かなちゃんがよく来てくれてて、あとはかんなちゃんも最近来てくれてるの」
「そうだったんですか、じゃあ私も行こうかな」
「ぜひぜひ」
「立山さんがいると、いつも雰囲気楽しいです」
「かなちゃんありがとう、私もかなちゃんたちが来ると楽しいなと思う、いつもなんか笑顔になるんだよね」
「そんな言われると照れますよ」
3人は、話が終わると席へと向かった。
「とりあえず、お疲れ様です乾杯」
「乾杯」
「乾杯」
りなが乾杯を始めてから、かなとかんなが、そのあと乾杯した。
「まあ、カフェで乾杯ってなかなかないけどね」
「かな、たしかにそうだね」
「でもここはあえて行きつけの店でやりたいなというところがあるからね」
「かなの一番の行きつけの店だもんね」
「確かにいつのまにか行きつけの店になってたね」
「そういうの羨ましいです」
「私そういうのあまりないので、むしろかなさんがいいなと思います」
「なるほどね、りなちゃんもつくろう」
「はい、作ります」
3人は、いろんな会話を楽しんだ。
「あっそういえば、吹奏楽部の多賀谷さんから手紙をもらったんだよね」
「お手紙ですか?なんかかわいいですね、小学校みたいで」
りなが、小学生の時にも手紙などを書いてたりしてたので、あえて例えでそのように言った。
「ああ、たしかにそういうのうやってたわ、懐かしい」
かんなが小学校の時、自身もやった経験があったので同じく懐かしがっていた。
「ねね、良かったら読んでくださいよ」
りながかなに読んでほしいことを頼んでみた。
「ええ、恥ずかしいな」
かなが多賀谷からもらった手紙をも読むのを少し恥ずかしがった。
「まあ、分かったよ」
かなは渋々同意をして、読むことにした。
「かなさんへ生徒会業務お疲れ様です、学校変革プロジェクトの一環として、私たち吹奏楽部に声をかけていただき本当にありがとうございます、まさかこのような大きなことをやるのを私は想像しておりませんでした、本当に嬉しいです、大きな期待や今後の湘南北風高校の未来を変えるかもしれないものなら私たちも大きな責任を感じます。私事ではござまいますが、今回のこのプロジェクトイベントが終わるとともに、私は吹奏楽部の部長を辞めるとともに、吹奏楽部も退部しようと思っています、まだ部員には相談はしておりません。退部理由は第一志望の国立大学に行くため、受験勉強に専念するためです。実は湘南北風高校は第一志望ではありませんでした、もっといい学校でなおかつ第一志望の学校にいきたいと当時考えておりました、今度は失敗したくないという気持ちがあり、このような決断に至りました、なのでこのプロジェクトイベントが終わるまではなんとか頑張ります」
かなは、手紙を読み終えた後、ちょっと複雑な気持ちになった。
「なんか自分の将来のために、部活を辞めないといけない決断をしたのはかなり悩んだんだね」
「きっとそうだよね、私もそういう選択をしないといけなくなっちゃうのかな」
かんなはちょっと来年のことを心配した。
「来年、私たち三年生だし、ただでさえ生徒会もやってるからなおさら他の人より忙しいし」
「でも、人によると思うよ」
「そうですよ、人によりますよ」
かなとりなは、人によるということをかんなに伝えた。
「そうかな?」
「そうだよ、かんな考えすぎだよ、生徒会とダンスと学業両立してきたんでしょ?なら大丈夫でしょ?」
「そうかな?」
「あまり心配しなくても大丈夫だよ」
「だから頑張ろうよ」
「ありがとう、かな、りなちゃん」
「とりあえず今はプロジェクトイベントを頑張ろう」
「頑張ろう」
かな、りな、かんなの3人はお互いを励ましあった。
その様子をはじで見ていた立山はにっこりほほ笑んだ。
「よし、じゃあ帰ろう」
かなが2人に言った。
そして3人は店をあとにした。
プロジェクトイベント当日、生徒会室で朝からミーティングを開いていた。
「おはようございます、今日の流れとかはみんな大丈夫?」
あすかがいつも通り司会を務め、みんなに確認した。
「この前の練習みたいな配置とかのことですかね?」
りながそのあとに確認して聞いた。
「うん、そうだね、配置とかあとはりなちゃんはアナウンスをしてもらうからその確認とかだね」
「なるほどです」
「あとはシーバーの使い方などをみんな確認しといてね」
「分かりました」
田辺はシーバーの使い方を入念に確認した。
「かなどうしたの?」
かんなが、かなを心配していた。
「あっ大丈夫だよ、そのなんかちょっと心配でやっぱり」
「そっか、まあ気持ちは分かるよ」
「なんとか、」
するとかなは言葉を言いかけそうになった時に急に倒れてしまった。
「かな?かな?大丈夫?」
「とりあえず保健室に運びましょうか?」
あすかが、かなを保健室に連れていこうと言った。
そして、かなは保健室に運ばれた。
「(あれここはどこだろう?)」
「気がついたみたいね」
保健室の教員である藤宮ゆりがかなに気づいた。
「かな?大丈夫?」
かけつけていたかんながかなに話しかけた。
「ちょっとした疲れね」
藤宮ゆりが言った。
「やはり疲労ですか」
あすかも一緒に来ていた。
「あっプロジェクトイベントは?今何時?」
「大丈夫落ち着いて、今まだお昼だから1、2限の時間については先生に話しておいたから、心配しないで」
あすかがかなに伝えた。
「とりあえずかなちゃんはお昼休みは休んでてね」
「ああ、はいでももう大丈夫ですよ、3限はでれます」
「そう?あまり無理しないでね」
あすかはかなを心配していた。
「すみませんありがとうございます」
かなはなんとか3限の時間は出れるくらいの体力はあった。
「失礼します、かなちゃん平気?」
「早川先生?」
早川も保健室へとかけつけた。
「あすかちゃんから話聞いてかけつけたのよ」
「ご迷惑かけました」
「全然大丈夫よ、まあななんとかなるよ」
早川も同様に心配をしていた。
「かなちゃん、一つだけこんな話があるよ」
早川がかなに話を語ろうとしていた。
「どんな話ですか?」
かなが真剣なまなざしで早川に聞いた。
「その子はアルバイト時代に大きなイベントを考えてました、自分でアィディアを考え ていき、それを達成するために毎日のように内容や運営などを考えていました、そのイベント内容はお客さんと映画を見るイベントで、狭い空間の中でいかに楽しみを与えるか?というようなものでした、でもある時その子もかなちゃんと同じように倒れてしまったのよ」
「その子は結局どうなったんですか?」
「疲労だったから、ちょっと寝たら大丈夫だったのよ」
「なら良かったです」
「その子はちょうどかなちゃんくらいの私なのよ」
「えっそうなんですか?」
かなは、すごい勢いで驚いた。
「そうよ、それでアルバイト先の先輩には「大切なのはイベントじゃなくて、何よりも自分の健康が大切よ、命がないと何もできないでしょ」と言われたことがある、本当にそうだなと感じたわ、だからかなちゃん体大切にしてね」
「はい、ありがとうございます」
かなは、早川の話を聞いて少し感動した。
「よし、じゃあ今日頑張ってね、無理しないでね、じゃあ私は行くから」
「ありがとうございます」
早川は、かなの様子に安心したあとに、保健室をあとにした。
「朝倉大丈夫か?」
「かなさん大丈夫ですか?」
「あっ大丈夫だよ、2人ともありがとう」
田辺とりなの2人が保健室に来てくれた。
「本当に心配しましたよ、どうなるかと思っちゃいました」
「そうだよ、朝倉すごい焦ったよ」
田辺とりなは、かなのことをとても心配した感じであった。
「まあ、体は大切だね、とりあえず昼は休むよ」
「そうですね、ゆっくり休んでください」
「ありがとう」
かなは笑顔でりなにお礼を言った。
放課後、ついにプロジェクトイベントが始まろうとしていた。
「本日、生徒会の学校変革プロジェクトのイベントがもうすぐ始まります、パレードのようにイベントに出る方々の通る横で見る形となります、クラスごとになってますの で、前のめりにならないようにお願いします」
ホームルームで担任が、生徒にプロジェクトイベントについて説明と注意喚起をしていた。
生徒会は最後生徒会室で準備をしていた。
「なんか緊張する」
かなはとてつもなく緊張していた。
「まあ大丈夫だよ、頑張ろう」
かんながかなを励ました。
「なんとか頑張りましょう」
「だね、りなちゃん」
かながりなに励まされた。
「よし、じゃあみんな行こうか」
シーバーを全員が頭につけて、あすかがみんなをリードした。
「まあ、かなちゃん成功することを願おう」
「あすかさん、ありがとうございます」
「朝倉まあ心配するな、大丈夫だよ」
「かな頑張ろう」
「かな先輩頑張りましょう」
生徒会メンバーは吹奏楽、ダンス部、チアダンス部が待機している階段の広い廊下のようなところに向かった。
「皆さん、お疲れ様です、本日はよろしくお願いします、とても緊張するとは思いますが、諦めなければ大丈夫です、頑張りましょう」
「はい、頑張ります」
部活メンバー一同は、その言葉を言った。
「ではあと5分お待ちください」
「あのかなさん?」
「ああ、多賀谷さんどうしましたか?」
多賀谷がかなに話しかけてきた。
「その、この前の手紙読んでいただけましたか?」
「はい、読みました、あのここだけの話、本当に退部されるんですか?」
「一応、そのつもりでいますね」
「なるほど、もう少し考えてみたらどうでしょうか?」
「考えるですか?」
「はい、すぐに決断するよりいろいろ考えてみるのがいいと思います、私が言えたぎりではないですが」
「かな、あすかさんが呼んでるよ」
「分かった、すぐ行く」
「とりあえず、多賀谷さん自身でいろいろ決めてみてください、まずは本番頑張りましょう失礼します」
かなは、多賀谷に手紙のことを考えることを提案すると、かんなに呼ばれたのでその場を去った。
吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の3組の部活が廊下に並んだ。もうすぐ湘南北風高校の初の試みになるプロジェクトイベントが始まる。
「緊張する」
「まじ吐きそう」
「紗栄子まじで吐くなよ」
チアダンス部の女子部員が、本番前に少し話をしていた。
「あすかさん、かんな、りなちゃん、田辺今から始めます」
かなは、生徒会メンバー全員にシーバーを飛ばした。
「皆さん、今日は楽しみましょう」
かなは部活のメンバーにそう伝えた、彼らはゆっくり頷いた。
「宝島」の曲とともに、彼らの行進が始まった。「宝島」の曲が校内に鳴り響いた。
全校生徒が横にいる前を通った。生徒たちの顔はとてつもなく満面の笑みであった。
さらにダンスの踊りも入り、一層パフォーマンスの勢いが増した。
「わあ、凄い」
「やばいね」
見ていた女子生徒が彼らのパフォーマンスを見ていて、かなり驚いていた。
そして、吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部の一番はじめの盛り上がりであるサックスのソロパートに入った。
かなは今回は誘導などをメインでやっているので、彼らの後ろの方にいた。
「もうすぐ、階段降りて一回に行きます」
かなが次の配置にいる、あすかとかんなにシーバーを飛ばした。
「了解」
「了解」
2人は即返事をした。
吹奏楽部メンバーは楽器を揺らし、ダンス部とチアダンス部メンバーも激しく踊った。
「(すごい、練習よりうまくなってる)」
かなは、その様子を見て感動した。
ドラムメジャーに続いて、行進をしていった。
すると早川がたまたま、かなの隣に来ていた。
「かなちゃんお疲れ様」
「早川先生、ついに始まってなんとか頑張ってます」
「ここからがスタートだから気を抜かずに頑張ってね」
「ありがとうございます」
かなは早川に褒められ、モチベーションを上げた。
「次、校内から外にいきます」
あすかがシーバーをりなと田辺に飛ばした。
「了解」
「了解」
りなと田辺の2人が返事をした。
パフォーマンスは「宝島」の後半の盛り上がりであるバリトンサックスのソロパートにいった。
吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部は校庭に入っていた、夕方で少し暗くなってきたが、早川の提案でスポットライトを当てて、幻想的な雰囲気になっていた。
今は、バリトンサックスのソロパートに当たり、かなり注目されている感じだ。
ソロパートが終わると、吹奏楽、ダンス部、チアダンス部全員が踊った。
吹奏楽の演奏も後半も盛り上げていき、演奏を続けた。
そして、最後は楽器を上にあげパフォーマンスを終えた。
全校生徒たち全員は校庭に出てきていた。
そして、一斉に拍手が起こった。
吹奏楽部、ダンス部、チアダンス部はなんとか終わったので、ほっとしていた。
かなたちや他の生徒会メンバーも達成感を感じている顔であった。
「ついに終わったね」
かなは満面の笑みで、生徒会メンバーに声をかけた。
「やったね、達成感がやばいね」
かんながすごい喜んでいた。
「かなさん本当にお疲れさまでした」
「ありがとう、りなちゃん、りなちゃんもいろいろありがとう」
「いえいえ、とんでもないです」
「かなちゃんがこの企画をして良かったよ、ありがとう」
「あすかさん、ありがとうございます」
「かなさん、お疲れさまでした」
「あっ多賀谷さんお疲れ様です」
吹奏楽の多賀谷がかなに声をかけてきた。
「私やっぱりいろいろ考えたんですけど、まだ続けようと思います、今日の演奏楽しかったですし」
「おお、良かったです、自分の可能性を信じてみてください」
かなは多賀谷が退部を考え直して良かったと感じた。
「はい、頑張ります」
「かなさん、皆さんありがとうございました、すごい楽しかったです」
チアダンス部の上条が今度は声をかけてきた。
「良かったです、お疲れ様でした」
「皆さん、お疲れさまでした」
「早川先生?」
「校長先生?」
かなとりなが一斉に反応をした。
「私もすごい終わって嬉しいよ」
「そう思っていただいてなによりですよ、良かったです」
「かんなちゃんもダンス部お疲れ様」
「はい、なんとか終わって良かったです」
「これで、学校もだんだん変わっていくね」
早川は次への期待に対してワクワクしていた。
「あれ、なんかかなりの人が学校来てるよ」
「えっほんとだ」
田辺が先に気づいてそのあとかなが気づいた。
「鹿島先生だ、何であんなに人が来てるんだろう」
鹿島が地域の人30人くらいを連れて学校に来ていた、また大森と上田もいた。
「校長先生もう、あなたのその学校運営は終わりです、もういい加減こんなもので、学校 を生徒会で変えさせようとするのやめませんか?」
ここにいる周りの全校生徒は何も言わずに黙っていた。
「後ろにいるのは学校評議員の方々です、彼らの意見を聞いてください」
「どんなもので「学校」を変えようとしているかご存知ありませんが、公立学校でこんなことして子供たちのためにもならないと思います」
「本当に困るんですよ、こういうことやられるとね、たかが部活程度のイベントで変えようとして、遊びで学校運営をしているのですか?」
「うちの子ども来年受験なんです、こんなくだらないことに付き合わされて勉強がおろそかになったらどうするのですか?」
地域の人、そして湘南北風高校の保護者の何人かが「学校変革プロジェクト」について意見を述べてきた。
「私たちは別にそんなつもりでやっていません」
かんなが鹿島に意見をした。
「じゃあ和田お前これがどういう風に変わると思うんだ言ってみろ?」
かんなは黙っていた。
すると、早川が反論をした。
「鹿島先生、あなたがやっていることは確かに正しいかもしれません、けれども学校というのはいろんな形で変わっていかなければなりません、これは以前にお伝えしておりますが、時代のニーズに合わせた学校づくりが必要です、さらにそれを見込んで私は生徒会が案をだして学校づくりに参画していくようにしました、あなたのような生徒の邪魔をするような意見は教師としてふさわしくありません、そして学校教育法施行規則第49条にも書いてあるように、学校評議員は校長の求めに応じはじめてその効力が発揮されるようになっています、ですのでせっかく来ていただいた方々の意見はまた改めて保護者会などを設けて聞くことにします」
鹿島は悔しそうに、唇をかんでいた。
「それと鹿島先生、あなたこそそんなことしてていいのですか?普段の授業力、指導についても他の先生から様子聞いていますが、私が聞く限り最悪ですね、これはどうしようもないくらいです」
「そんなことは」
「さらに、今回生徒からこんなことを言っていたと聞きました」
「和田さん、例のものを」
「はい、校長」
かんなは例のものを早川に渡した、それは録音するレコーダーだ。それには以前、鹿島が早川と戦っていた時にかんながたまたま聞いていた時にかんなが録音したものだ。
早川が録音レコーダーを再生した。
「(ふざけんなあのくそ校長が)」
「こういうことを言っていたんですね、鹿島先生」
「たかがそんなことをわざわざ録音して、それは盗聴だ」
鹿島が盗聴であると反論をした。
「教師としての仕事、校長に対しての暴言、それと他の先生からもヒアリングさせていただきましたが、インターネットのサイトでさまざまな意見を言って暴言を言っているという情報を聞きました、これは地方公務員法第33条の信用失墜行為にあたると思われます、なのであなたを指導力不適切指導教員として教育委員会に報告します」
鹿島は何も言えなかった。
そのあとに、かなが鹿島に反論した。
「鹿島先生、私たちはこんなことを遊びでやろうとしているつもりはいっさいございません、あなたが言っていることは正しいかもしれませんが、私たち生徒会はそんなきれいごとを並べるだけで学校を変えるつもりはありません、新しいことをやり試していくそういうことをやっていくつもりです、今までにない、型にとらわれない方法で、あなたのような考え方で学校が変わるとは思ってません」
「私たちからもよろしいでしょうか?」
ダンス部とチアダンス部の部員も反論した。
「これだけ毎日練習してるのに、そんなこと言われる筋合いはない、ふざけんなよ」
鹿島は黙ったままであった。
「上田先生、大森先生もあとでお話がありますのでそのつもりで」
上田と大森の2人も今回関わったことで早川に呼ばれることになった。
鹿島と上田、大森はこの場を立ち去った。さらに地域や何人かの保護者も立ち去っていった。
「さあ、みんな楽しいことを考えていきましょう」
早川がみんなを励ました。
「気を取り直して、楽しんでください」
あすかが、さらに楽しくしていくように働きかけた。
「あっじゃあもう一度パフォーマンスを聴くのはどうでしょうか?」
かなが全校生徒に提案した。
「いいですね」
りなが賛成した。
「皆さんそれで良いですか?」
「はい」
全校生徒全員は賛成した。
先ほどのパフォーマンスを聴くために、生徒は先生たちの指示に従い、移動した。「宝島」の曲とともにダンス部とチアダンス部の踊りも始まった。もうあたりは暗く、21時を迎えようとしていて静けさがあったが、この日だけは明るい雰囲気になっていた。
湘南北風高校は、このかなたちが推進した「学校変革プロジェクト」により、少しずつだが変わっていった。多くの部活動が今回のようなパフォーマンスイベントを希望し、湘南北風高校は部活動の活動自体が一番の強みにもなった。最近ではゲーム部と放送部が一緒に協力し、テレビの試合のようなゲームの実況中継などもした。
7月に入り、本格的に暑い時期になった。
「さて、次は何の企画を考えようか?」
かなは次の企画を提案しようとしていた。
「えっもうかな決まってるの?早いな」
かんながちょっと聞いてみた。
「ちょっといろいろ考えていることあってね」
かながワクワクして答えた。
「なんかまた面白いの楽しみにしている」
あすかが期待している感じであった。
「かなさんまたヒーローになれますね」
「朝倉のネタ面白いしな」
りなと田辺がかなを少しからかった。
「とりあえずやりましょう会議、私から提案いいですか・」
「どうぞどうぞ」
あすかがかなを優先した。
「はい、私が企画したいのはこれです」
「えっこれ?難しくない」
かんながちょっと驚いていた。
「まあでもいけなくはないでしょ?」
「じゃあやってみる?」
あすかがやるような提案をした。
「やるんですか?そのプロジェクト」
りながあすかに聞いた。
「うん、やろう」
「新しいことをやり、型にはまらない考え方で「学校」を私たちが変えていくんでしょ?私たちにやれないことはないよ、やるしかない」
かなが全員にそう言った。
かなが次に提案したプロジェクトは「校則」と「学校のシステム」を変えることだ、以前同級生の栗山が提案してくれたことを胸に秘めていたのだ。例えば担任制廃止や宿題、試験をなくす、制服の自由化なども含めてだ。かなたち生徒会はこのあともいろいろ行動していくことになった。
「じゃあ皆さん学校を変えるためのプレゼン考えましょう」
かなは今日も放課後、「学校変革プロジェクト」について考えていた。
いろんな視点でいろんな考え方で学校を創るためにかなは今日も動き出した。