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愛よりも青い海-6

「…ふーん」

「本当です」

「…ありがとうね。明智さん。まぁ、そう言ってもらえると、少しは安心できるわ」

「でしょう?」

「あんたは黙ってな」

「…はーい」

「本当にありがとう。こんな遠いところまで来てくれて、そんな風に、うちの子をかばってくれて。ありがたいわね。あんたも、感謝しなさいよ」

「へーい」

「ふざけないで」

「は~い」

「まったく、この子は。こんな子で申し訳ないけど、よろしくしてやってね」

圭一の母親はかしこまって頭を下げた。美雪は慌てて言った。

「そ、そんな。あたしの方こそ、いつもよくしてもらってるんです」

「その通り」

「あんたは黙ってなさい」

「ほーい」

「本当に、ありがとうね。今日は、ゆっくりしていってね」

「あ、でも…」

「母さん、今日中に帰らないと、明日学校だよ」

「え、あら、そうかい?それなら、昨日のうちに来てれば御馳走したのに」

「いえ、お構いなく」

「そんな、遠いところを来てくれたのに。何にもしてやれないなんて、申し訳ないね。もしかして、始発の電車で来たのかい?」

「ええ、まぁ」

「まったく、この子は、何考えてるんだか」

「俺たちさぁ、中学生だから、外泊はできないよ。美雪ン家も、そんなの簡単に許さないよ」

「あぁ、まぁ、女の子だからね。ごめんね、明智さん、こんなとこまで連れ出して」

「いえ。遠くまで来れて、わくわくしました。それに、海がとってもきれいだったから、楽しめました」

「ありがとうね。この辺りはまだ海がきれいだからね。何にもない所だけど、それだけは自慢できるわ」

「ええ」

 美雪は、圭一の母親に笑顔で応えた。ふと、視線を圭一に向けると、圭一は振り返って、弟妹たちと言葉を交わしている。そんな光景を見ながら、いつもの圭一と違う、違うけど楽しそうだと、美雪は思った。



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