段階選定《クラス・セレクション》⑸ 番外編 (超超短編)
セリーナとその友達のお話です。
とても短いです。
本当は『出さなくてもいいかなぁ』とか思いましたが、出します。
あとから改稿で色々追加するかもです。
大きな黄緑の鼬鼠が一人の女子生徒を背に乗せて走り抜ける。
鼬鼠が駆け抜けた跡には稲妻が走り、自身の気に入らないものを感電させ、足の先に作り出した爪はあらゆるものを無残に切り裂いて回っている。
「ミラーナ! 」
「うんっ!」
黄緑のツインテールに同じ色の瞳が目立つセリーナ・アルフォンヌ。
四つん這いで、まるで四足歩行の獣の如く走り回る彼女は上に乗っている女子生徒目掛けて声を上げた。
その声に、赤茶髪のおさげが目立つミラーナ・リーリステッドは、手のひらに小さな炎の塊を四つほど作り出す。
それは小さな狐を形どり、ミラーナの肩に乗って揺ら揺らと火をはためかせている。
「行けぇ!!」
前方に指を差すミラーナの掛け声とともに小さな狐達は空中を駆け、地面に爪を立てて駆ける模擬魔獣へと向かう。
炎の狐を敵と判断した模擬魔獣はあんぐりと口を開け、瞬間頬張る。
まるで本物の生き物の如くムシャムシャともぐもぐと口に含む様はセリーナの顔を引きつらせた。
「気持ち悪ッ」
「セリーナちゃん、離れて!」
「ッ……わかった!」
赤茶髪のミラーナは気持ち悪がるセリーナに指示を出す。その指示に従い、セリーナは四つん這いで歩行を続けながら、模擬魔獣のいる方とは反対に離れていく。
だが、ミラーナの視線は模擬魔獣へと向けられたままだ。
『ガァウ』
『グア、アウ、ガア』
四体いた模擬魔獣が特に戸惑うこともなく炎を頬張ったことを確認し、ミラーナは模擬魔獣の方へと腕を伸ばして掌を向けた。
そして、赤い円環を掌に顕現させる。
「妖狐の火遊び!!」
ミラーナが叫んだと同時に掌の円環が赤く輝いた。その輝きに同調して見せるかのように模擬魔獣の頬張った炎はその姿を膨張させ、
『コーーーンッ!』
と鳴き声を上げながら模擬魔獣の頭部を破壊して見せた。頭部を破壊して見せた四つの狐は空中で一つに固まると瞬間、霧散した。