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第四章 ~『治療できる魔法使い』~


 闇オークションの襲撃を終えたニコラたちは、シャノア学園に戻っていた。白い壁に囲まれ、薬品の匂いが充満する保健室で、ジェシカはベッドで横になっている。


「学園に戻ってこれたのね……」


 ジェシカは天井を見上げながら呟く。その声をアリスが拾った。


「クラスの皆さんを呼んできましょうか?」

「今はまだ会えないわ。こんなに弱っている私を見せたら、心配させちゃうもの」

「ジェシカさん……」


 呪いの影響は時間経過と共に強くなっていく。生命力を消費する彼女の額には、苦しみの汗が浮かんでいた。


「先生、ジェシカさんを救えないのでしょうか?」

「フレディを探して捕まえるしかないだろうな」

「そんな……」


 どこにいるのか分からない相手を探すのは困難だ。ジェシカに残された時間も限られており、悠長なことはしていられない。さらにフレディは知恵も回る。易々と居場所の特定には繋がらないだろう。


「私たちにできることは何もないのでしょうか……」

「根本的な治療に関してはな。延命なら方法はある」

「それは……」

「治癒魔法を使えば、多少だが生命力も回復することができる。取り敢えず命を落とすことはなくなるだろうな」

「なら早速使いましょう! 先生は治癒魔法を使えますよね!」

「俺が扱えるのは中位の治癒魔法だけだ。延命効果を期待するなら上位の治癒魔法を扱える者を探すべきだな」

「エルフ領には……上位の治癒魔法の使い手はいませんね。学園にもいないでしょうし。どうすれば……」


 治癒魔法は自分を治すだけの力や、他人も治せる力、同時に大勢を治せる力など、一概に治癒といっても種類は多様なのだ。そんな治癒魔法の中でも効果が高く、無くした腕さえ生やすことが可能なのが上位の治癒魔法だ。


 だが使い手は世界にも数えるほどしかいない。万事休すかと、アリスの顔が曇る。その表情に感情が揺さぶられたのか、ニコラは頭を掻いた。


「はぁー、仕方ない。できれば頼むのは避けたかったが、そうも言ってはいられないからな」

「先生の知り合いに上位の治癒魔法を使える人がいるのですか?」

「いるさ。ただそいつは俺が殺してやりたいほど嫌いな女だがな」


 ニコラの言葉で、アリスは治癒魔法の使い手を察する。勇者パーティに所属していた最強の魔法使い、メアリーの顔が頭に浮かんだのだった。



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