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第壱話

 その時、ジジ、とノイズのような音が聞こえた。

──校内放送用のスピーカーからだ。

『みなさんお早う御座います。今日も良い音ゲー日和ですね』

呑気な言葉がスピーカーから流れてくる。加工音声なのか、やけに耳障りな声質をしている。

「なんだよ音ゲー日和ってw」

達人がすかさずツッコミを入れる。いや、問題はそこじゃないだろ。

『私は音デス公安委員会の者です。突然ですが皆さんには音ゲーをしてもらいます』

放送は俺達の反応を無視して淡々と説明を続ける。イタズラにしては妙に設定が凝ってるな。

「何よこれ!先生呼んでこの放送辞めさせてくる!」

「あっ……おい、舞原!」

マイが席を立った。マイは正義感が強い娘だ。これで少しは混乱が収まるだろう。──と思っていたのだが……

 「えっ!?何これ……ドアが開かない……!!」

「そんな訳無いだろ?鍵掛かってないじゃん、貸してみろって」

代わりに近くにいた男子がドアを開けようと試みるも、ドアは動かない。まるで空間ごと固定されてしまったかのように。

「……嘘だろ?どういう事だよ、これって」

教室に不穏な空気が流れる。その時再びノイズ音が聞こえた。

『……なお、ゲームが終了するまでプレイヤーは室内から退出することが出来ませんのでご了承下さい。教室のドア、窓は全てロックさせて頂きました。また、ゲームの進行を妨害した者につきましては──』

「ハッ!くだらねえ、俺は降りるぜ。こんなモン、クソ喰らえだ!!」

放送が終わらない内に、クラスの問題児の佐藤君が叫んだ。全員が驚き、視線が声の主に集まる。彼は叫んだかと思うと自分の座っていた椅子を持ち上げ、そのままスピーカーに向けて振り下ろした。

「やめて!危ないよ!!」

女子の悲鳴があがった。血飛沫と共に。

 一瞬俺達は一体何が起こったのか分からなかった。気付いたら佐藤くんは首から下しかない状態で倒れていた。鮮血が床に満ちていく。顔を見上げると、血を浴びて青ざめている人が何人もいた。──そう、彼が椅子を振りかざしたまさにその瞬間だった。彼の頭は爆発したかのように四散したのだ。俺はその時、起きた状況を理解した後に恐怖が訪れるのだと知った。

「いやああああああああああっ!!!!」

「助けて!!死にたくないッッ!!」

一瞬にしてクラスは恐怖と悲鳴に包まれた混沌と化した。

『──このように、ゲームの進行を妨害した者はその時点で“ゲームオーバー”となりますので、ご注意下さい』

『それでは次の指示までしばらくお待ち下さい』

放送を聞いて泣いたり、怒ったりする人はいたが、もう誰も、反抗はしなかった。

『第一の音ゲーは、スマートフォン向けソーシャルゲーム“スノステ”です』

「スノステ?マジかよ、オタクに圧倒的有利じゃん」

「何だそれ知らん」

「俺のデッキ無双ですわ」

静寂が再び破られる。オタクは歓喜し、ウェイは困惑している。

 スノステ──アイドルエキスパート スノーホワイトステージは、今巷で大人気のスマートフォンアプリだ。アイドル育成型の音ゲーということと、人気アイドルがCMをしているということもあり、知名度は高い。因みにアイドルエキスパートシリーズは、アイエキという略称で親しまれている。

 俺も一応非課金で嗜んでるゲームだが、このクラスにも重課金勢はそれなりにいる。ssレア所持数もレベルも圧倒的に不利だ。もし規定値に届かなかったりクリアできなかったりしたら……?俺も殺されてしまうのか?

『では、プレイヤーの皆さんは、ご自身のスマートフォンを机の上に出して下さい』

皆、言われた通りにリュックからスマホを取り出す。しかし、中には今日スマホを学校に持ってきていない人や、ガラケーの人もいた。

「どうしよう……!!スマホ持ってないよ!!」

『あと10秒以内にスマートフォンを提示しなかった場合、ゲームオーバーとなります』

「お構いなしかよ……っ!」

『10,9,8,7,……』

放送は無慈悲にカウントダウンを始める。“ゲームオーバー”ってことは……嫌な予感が頭をよぎる。

『……3,2,1,0』

 悲鳴があがった。スマホが出せなかった人は“ゲームオーバー”、さっきの佐藤くんみたいに死んでしまった。

「こんなことって……一体何の権限があって俺達が殺されなきゃいけないんだよ!!」

「もうやだよ……こんなのってないよ」

俺達の日常は、いとも簡単に崩れてしまった。

『では、アプリを開いて下さい。アプリはこちらの方でインストールさせて頂きました。公平をきたすため、すでにアカウントを所持している方のデータは一時的に預からせて頂きます』

「えっ……俺のフェス限四季にゃんは?」

「50k溶けた……」

オタクの悲痛な嘆きが聞こえる。俺も非課金ながらコツコツ頑張ったんだけどなあ。

『全員がアプリを起動したことを確認致しました。それではゲームのルールを説明します』

『今回皆さんには、楽曲“TOKIDOKIエスカレーター”の、難易度m@ster+をプレイしていただきます。デッキは初期実装のもののみとします』

「呪文かよ」

ウェイそっちのけの指示に俺は補足をしてあげた。

 つまり「最高難易度でヤバイ曲やれ」ってことだ。申し訳ないがウェイの皆とはここでさよならかもしれない……

『途中でライフが尽きたり、規定値に届かなかった場合はゲームオーバーです』


『それでは皆さん、理論値目指して頑張って下さい』


 1話投稿にあたってプロローグでの設定から少し変えています。プロローグも改変していますので、ぜひ読んでみて下さい。

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