ONCE STORY 《Hey what's the purpose(なあ、何が目的なんだ)?》 Part2
―前回のあらすじ―
・「お前達は既に死んでいる」、そう尊達に告げたSORA。
だが、SORAはそれ以上語る事なく、彼らを『転送装置』に乗せる。
その『装置』によって転送された場所は、とても幻想的な『世界』だった―。
※いつもより短いです。
「―うわぁ…!凄く綺麗なとこだね、尊君!」
琴音が眩しい程の笑顔を浮かべた。
確かに琴音の言う通り、今俺達がいるこの場所は、
まるで別世界の様に新鮮かつ、現実からの解放感を感じさせる場所だった。
記憶を失なっている俺からすれば、
猶更この景色は、より一層心に響く。
「…だが、此処は、一体…?」
《観光を楽しむのは後にしな。
それよりも、さっさと俺様についてこい》
SORAはそう言い残すと、目にも止まらぬ速さで、
一人だけ先に飛んでいってしまった。
「あっ、おい!ちょっと待てよ!」
「よし、俺達もマッハのスピードでチェイサーするぞ!」
「…何でそこで英語なの」
「何でって、そりゃあお前―」
年代が近いのもあるのか、
城戸・葛城・雪村のトリオに漂うオーラ(くうき)は、
とても親愛感に満ちている物だった。
「仲良しさんだね、あの三人」
琴音も俺と同じ様に、彼らの和やかな空気を肌で感じ取った模様。
琴音の価値観や感受性が自分と似ている事が、何故か俺はとても嬉しかった。
「…相性がいいのかもしれないな。俺と琴音は」
「…え、ちょっ、な、なに急に尊君」
ふと俺は、そんな言葉を自然と零していた。
それを聞いた琴音は、どういう訳か困惑してしまっている。
「…?すまない、素直な気持ちを口にしてしまった。
不快に感じたのなら謝る」
「い、いや…。べ、別にボク怒ってる訳じゃないから、いいよ…?」
「…?」
いまいち、琴音の言葉の意味と心情を把握仕切れない俺は、
髪を撫でながら首を小さく傾げた。
―登場人物―
尊
・神秘的な雰囲気に満ちた『世界』を見て、感動していた。
自分と同じ感性の琴音に、告白めいた発言をする。
だが、琴音が顔を赤くした意味が分からないなど、天然具合は相変わらず。
逢坂琴音
・尊と同じ、いや彼以上に景色を眺めてはしゃいでいた。
「俺とお前は相性がいい」と尊に言われた時は、かなりテンパっていた。
嬉しい半面、心臓に悪いというのが、
琴音の率直な感想らしい。
城戸一真
・自分達を置いてけぼりにしたSORAに追いつこうと、健斗と七海に提案した。
ちなみに彼の言った「マッハでチェイサー」という言葉は、
某特撮ヒーローによるパロディネタ。
葛城健斗
・さっさと先へ進んでいったSORAを呼び止めるが、例の如くシカトされた。
雪村七海
・一真が発した謎の英語を聞いて、
半分呆れ半分驚いていた。
SORA
・謎の『世界』に尊達を連れてきた張本人。
だが目的地に着くなり、彼らより先に飛んでいってしまった。